[中国] いま日中関係は最良だが、いつ反日カードが出てくるか分からない(by FT)

 
             今年のエントリは、今回を含めてあと2個アップする予定です。アクセスしてくださったすべての人に感謝します。
 英国のコラムニストDavid Pilling氏がFinancial Timesで日本と中国に関するコラムを書いています。

 <Beijing finds fine words for its old enemy>
 http://www.ft.com/cms/s/0/0b636690-ea7a-11de-a9f5-00144feab49a.html?nclick_check=1

 記事のタイトルは「北京はかつての敵に良い言葉をかけた」という意味深なもの。当然、「かつての敵」とは、日本のことです。(翻訳しながら読んでいるので、原文の改行が変則的になっています。ご了承ください。)

 <Xi Jinping, the man widely tipped to succeed Hu Jintao as China’s president in 2012, dropped in on Japan’s emperor this week.
 Though such visits are normally arranged months in advance, Beijing gave just a couple of days’ notice, the equivalent in imperial-etiquette terms of loudly banging on your neighbour’s door at 3am asking to borrow a cup of sugar.>

(拙訳)2012年、胡錦涛国家主席の後継者として広く注目されてい習近平〔国家副主席〕は、今週、日本の天皇のもとを訪〔たず〕ねた。
 〔天皇との〕会見は通常数ヶ月前から調整されるものであるが、北京政府が面会の申込みをしてきたのは、ほんの数日前のことだった。皇室の儀礼では、真夜中3時に砂糖を1カップ借りるために近所のドアを騒々しく叩きに来るのと同じことである。

 <A request by Yukio Hatoyama, Japan’s freshly installed prime minister, that an audience be granted even at such short notice, was criticised by some in Japan, particularly on the right. They saw in it a willingness by the new left-of-centre government to kowtow to Beijing.
 Even the normally discreet head of the Imperial Household Agency, the stern and secretive body that controls the royal schedule, objected publicly that the emperor should not be used as a diplomatic tool.>

 新しく就任した日本の首相である鳩山由紀夫氏の指示は、これほどまでに直前の申込みであっても〔国家副主席との面会を〕承諾する、というものだった。これは、日本の一部、とりわけ右翼から批判を受けた。彼らには、中道左派の新政権が北京に媚びているように見えているのだ。
 宮内庁は皇室のスケジュールをコントロールする厳格で閉鎖的な組織であるが、その宮内庁の、普通は控えめな長官でさえも、天皇を外交上の道具として利用すべきでないと公に反対した。

 <But he did coo, in no doubt entirely off-the-cuff remarks: “I hope my visit will contribute to the development of friendly co-operation between the two countries and boost friendship between the two peoples.”>

 しかし習副主席は、全く疑いもなく即興で、次のように〔天皇陛下に〕心地の良い言葉を口にしたのである。
 「私は今回の訪問で日中両国の友好協力の発展と両国人民の友好を後押ししたいのです。」

 〔コラムでは、このことが驚くべきことだ、と指摘します。〕

 <You only need to cast your mind a few years back to realise how remarkable has been the change in tone.〔・・・〕
 Mr Koizumi’s penchant for visiting Yasukuni shrine, a Japanese war memorial vilified by Beijing, meant he was effectively banned from setting foot on Chinese soil.
 Relations entered dangerous territory in 2005 when Japan’s (aborted) endeavour to secure itself a permanent seat on the United Nations Security Council sparked three weeks of anti-Japanese demonstrations in which Japanese commercial and diplomatic interests were attacked the length and breadth of China.>

 数年前の出来事を思い出して欲しい。どんなに珍しいことか気づくことだろう。どんなに彼らのトーンが変わったか、を。
 北京から中傷されている日本人による戦争の記念館「靖国神社」に参りたがる小泉首相の傾向のせいで、事実上小泉首相は中国の土地に上陸することが禁止されていた。
 平成17〔2005〕年には、日本が安保理の常任理事国入りになろうとしたために(後に中止した)、3週間にわたって中国のあちらこちらにある日本の商業施設、外交団が襲われる反日運動が相次いだため、日中関係は危険水域に入った。

 〔・・・〕
 北京にとって、天安門事件以降、反日カード(anti-Japan's card)は使い勝手の良いものだったが、使いすぎを悟ったのもこのころ(小泉政権時)だったこと、その証拠に、明らかに国家主義者であった安倍元首相に中国は友好ムードで迫ってきたこと、などと指摘した上で、このコラムは次のように書いています。

 <Indeed, it is a stated policy aim of Mr Hatoyama’s government to draw even closer to China as part of its strategy to embed itself more solidly in its Asian context.
 Yet it may be too early to declare one of the most prickly relationships in Asia permanently de-thorned.
 When it comes to substantive issues – such as a long-running attempt to settle a demarcation dispute over disputed underwater gas reserves – little tangible progress has been made.
 Fine words can go only so far in healing historical scars.
 There may also still come a time when being nasty to Tokyo becomes more useful to Beijing than being nice.
 If the Communist party ever wants to distract attention from domestic problems, it could yet be tempted to play the anti-Japanese card again.>

 実際のところ、アジアのコンテクストの中に「日本を組み込む」という戦略の一部として、鳩山政権は中国への接近を政策目標に掲げている。
 現時点で、アジアで最も面倒な日中関係から完全にトゲを抜いたなどと断言するのはあまりにも早いかもしれない。
 本質的な問題、たとえば、ガス田をめぐる領海の争いのようなものに至っては、ほとんど進歩がない〔からだ〕。
 美辞麗句は、歴史の傷を癒すにはあまり意味がないかも知れない。
 北京にとっては、東京に卑劣なこと〔反日運動〕をすることのほうが都合がよくなることもあるかもしれない。
 もし、中共が国内の問題から人民の目をそらそうと考えれば、中共はふたたび反日カードを使いたくなることもあり得るのだ。

 (酷い訳をご提供してしまったのは、私がお酒を飲みながら書いているからです。という言い訳を今年の最後にしてしまうのは、なんともお恥ずかしい限り。。)

 ただ、ポイントをまとめてみると、こんな感じになるでしょうか。

1.特例会見問題は、皇室の儀礼から言えば、かなり失礼なものであることは間違いない。

2.それでも鳩山首相が「Go」サインを出したことで、日本の右派を中心に非難の声が上がっている。

3.だが、その問題に覆い隠された事実にも目を留めなければならない。それは、習副主席が天皇陛下に向かって美辞麗句を述べた、という事実だ。

4.これまでの日中関係を見れば、それが意外なことである、と受け止める必要がある。

5.小泉政権時代、日中関係は危険水準に達していたものの、中国はそのときに「反日カード」を使いすぎたことを自覚していた。そのため、安倍政権時代には、中国は日本に対して友好的な態度で接することにした。

6.日中関係の強化という点で、今日、日中両国は同じ方向を向いている。なぜなら、中国は日本の発展に倣うべく、日本の公共政策や技術開発を通じたエネルギー効率の良い国を作る方法を知りたがっている一方、日本は最大の貿易相手である中国の無尽蔵の労働力を使いたいと思っているからだ。

7.ただし、アジアにおける日本の地位を確立させたいという鳩山政権であるが、日中関係が美辞麗句で固められ、一見関係が良好のように見えたとしても、中国国内の情勢いかんによっては、中共が自国の不満のガス抜きをさせるために、いつまた反日カードをきってくるかわからない、というリスクがある。

 このコラムは、なかなか有益な指摘だとおもいます。みなさんはどのようにお考えになりましたでしょうか。

theme : 天皇陛下・皇室
genre : 政治・経済

tag : 民主党 鳩山由紀夫 マスコミ 中国 フィナンシャル・タイムズ FT

プロフィール

くるくる

管理者:くるくる
 主に政治ニュースを取り扱っています。メディア・リテラシーを身につけて客観的に物事を見つめる能力を養うことが目的です。
 コメントは遠慮なくお寄せください。

記事一覧
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最近のコメント
最近のトラックバック
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>
リンクツリー

 
Twitter
ブログ内検索
管理人へメール
管理人へ私信を送りたい際にご利用ください。

名前(匿名可です。):
メール:
件名(任意):
本文:

カテゴリ
月別アーカイブ
タグクラウド
平田健二(#1)チベット仏教(#1)死刑(#1)構造改革(#1)住民訴訟(#1)思想及び良心の自由(#1)夫婦別姓(#1)新自由主義(#1)一票の格差(#1)裁判員(#1)外務省(#4)府知事選(#1)比例区(#1)朝鮮(#1)毎日新聞(#3)追徴課税(#1)衆議院(#1)正社員(#1)環境税(#1)グリーンピース(#1)中国(#27)内閣府(#1)年頭所感(#1)片山虎之助(#1)社畜(#1)ソマリア(#1)天皇(#16)外国人参政権(#22)衆院選(#2)ワーク・シェアリング(#1)平野博文(#3)高田晴行(#1)石原慎太郎(#1)ロキソニン(#2)国連気候変動首脳会合(#1)保守(#2)社民党(#4)クラスター爆弾(#1)報道(#1)急性副鼻腔炎(#13)尖閣諸島(#1)社会保険庁(#1)議員立法(#1)高校(#6)中西一清(#1)青木幹雄(#1)児童ポルノ禁止法(#1)中央大学(#1)産経新聞(#1)憲法(#9)真言宗(#1)指導(#1)不法残留(#1)神社(#1)脱税(#1)自由党(#1)大阪府知事選(#1)普天間(#1)山本孝史(#1)即位20周年(#1)二分論(#1)モラル(#1)博士の独り言(#1)ユーラシアグループ(#1)消費税(#3)ベトナム(#1)接続時間(#1)FT(#1)象徴天皇制(#1)政教分離(#2)戸籍法(#1)平和(#1)宗教右翼(#1)胡錦涛(#1)人権(#3)被害者の権利(#1)李明博(#1)国連(#2)国家共同体(#1)米国(#10)パキスタン(#1)平沼赳夫(#1)南沙諸島(#1)肝炎(#1)ネブライザー(#3)上田清司(#1)刑事責任(#1)体罰(#8)新党日本(#2)自衛隊(#1)民主党(#100)司法(#1)Wi-Fi(#1)日本国憲法(#5)法規範(#1)北朝鮮(#1)横路孝弘(#2)オバマ(#10)裁判(#1)Constitution(#1)副鼻腔炎(#13)規制緩和(#1)加藤紘一(#1)マルキスト(#1)バッテリー(#1)民事責任(#1)わいせつ(#1)沖縄(#2)記者クラブ(#3)パイレーツ・オブ・カリビアン(#1)山崎拓(#3)日本維新の会(#1)中川昭一(#1)吉永みち子(#2)頭痛(#13)SWINC(#1)多摩キャンパス(#1)無申告加算税(#1)中学(#1)死刑廃止(#1)悪魔ちゃん(#1)食の安全(#2)核兵器なき世界(#1)PRAM(#1)聖域なき構造改革(#1)Apple(#1)年収要件(#1)倫理(#1)慢性副鼻腔炎(#13)事業仕分け(#2)岡田克也(#5)大阪(#2)ファシズム(#1)マスコミ(#36)平和的生存権(#1)千葉景子(#3)最高裁(#3)麻生首相(#1)國体ノ護持(#1)アフガニスタン(#1)玻南ちゃん(#1)外交(#1)田中康夫(#2)日米安保(#2)成年(#1)麻生太郎(#3)北京五輪(#1)チャレンジド(#1)障碍者(#2)後楽園キャンパス(#1)鳩山由紀夫(#50)ネット(#1)長妻昭(#3)組合(#1)田中均(#1)学校(#1)朝ズバッ!(#1)自殺(#6)検察(#2)日韓トンネル研究会(#1)ボートマッチ(#1)日本テレビ(#1)ポツダム宣言(#1)派遣村(#2)阿久根市(#1)ブッシュ(#1)非正規雇用(#1)鼻(#13)福田康夫(#2)日の丸(#1)萩本欽一(#1)国家(#1)児童ポルノ(#2)裁判権(#1)軍国主義(#2)農薬(#1)日韓トンネル(#1)命名権(#1)Mac(#1)表現の自由(#1)外国人(#2)平松賢司(#1)民主主義(#1)永住外国人地方参政権付与法案(#1)毒入り餃子(#2)刑法(#1)検察審査員(#1)75条(#1)核兵器(#1)政府(#1)天皇誕生日(#1)扶養控除(#2)世論調査(#1)中曽根康弘(#1)厚生労働省(#2)差別(#2)死刑存置(#1)NYT(#1)公務執行妨害罪(#1)イスラエル(#1)マクリーン事件(#1)開かれた政党(#1)演説(#2)国家戦略室(#2)日本共産党(#3)ワーキングシェア(#1)事件(#1)winny(#1)田付景一(#1)新党大地(#2)カダフィ(#1)リアリスト(#1)プラハ演説(#1)クジラ(#1)高窪統(#1)社会党(#1)イラク(#1)君が代(#2)MacBook(#1)長島昭久(#1)尾辻秀久(#1)東アジア(#1)ブログ(#1)公明党(#7)安重根(#1)日本(#2)暴力(#6)民法(#2)一君萬民ノ政治(#1)伴奏(#1)鼻づまり(#13)平沼グループ(#1)関門海峡衝突事故(#1)竹原信一(#1)コンテナ船(#2)首班指名(#1)国民主権(#1)仏教(#2)小泉構造改革(#2)朝鮮総連(#1)議長(#1)マードック(#1)GHQ(#3)所得控除(#2)沖縄密約(#1)コリアン(#1)鼻水(#13)参政権(#1)タイ(#1)高木八尺(#1)外国人管理職事件(#1)guardian(#1)日米首脳会談(#1)思いやり予算(#1)東アジア共同体(#5)単純所持(#1)吉野文六(#1)失言(#2)自由(#1)占領政策(#1)重加算税(#1)telegraph(#1)幇助犯(#1)歴史認識(#1)日本郵政(#1)渡部恒三(#2)川上義博(#1)信仰(#1)核持ち込み(#1)責任(#1)ノーベル平和賞(#1)大前研一(#1)児童手当(#1)リスク(#1)子ども手当(#2)不起訴不当(#1)韓国(#9)密約(#2)平手(#1)亀井静香(#3)ラジオ(#1)改正(#1)宮内庁(#1)国民新党(#4)起訴相当(#1)判例(#2)おことば(#1)増税(#2)参院選(#2)適正手続(#1)国際(#1)進歩党(#1)閣僚(#2)憲法改正(#4)市橋達也(#1)議員定数不均衡(#1)平和主義(#3)財務省(#1)朝日新聞(#2)酒井法子(#1)空知太神社(#1)COP15(#1)同意(#1)官房長官(#2)扇子(#1)選挙権(#1)検察審査会(#1)非正規社員(#1)改憲(#1)ニクソン(#1)海上自衛隊(#1)前文(#2)リベラル(#1)キリスト教(#2)仕分け人(#1)厳罰化(#1)拉致(#2)税金(#1)前原誠司(#1)地球温暖化(#2)西山太吉(#1)iMac(#1)Buddhist(#1)所得税(#1)小泉純一郎(#4)不安神経症(#1)生活(#1)緊張型頭痛(#7)野中広務(#1)日比谷公園(#1)給付(#1)アジア主義(#1)GHQ(#1)民本主義(#1)護憲(#1)9条(#3)AirMac(#1)ピルグリム・ファーザーズ(#1)ASEAN(#1)国務省(#1)チベット(#3)イスラム教(#2)配偶者控除(#2)大阪市(#6)アダムスミス(#1)生活保護(#2)海賊(#1)政治(#1)刑事罰(#1)派遣(#1)イデオロギー(#2)シーシェパード(#1)総裁選(#1)自民党(#37)郵政民営化(#1)核密約(#1)創価学会(#2)鯨(#1)年金(#2)法務大臣(#1)川田龍平(#1)罪刑法定主義(#1)みんなの党(#4)死刑廃止論(#1)就任(#1)関門海峡(#1)行政罰(#1)アジア(#1)訴追(#1)信教の自由(#1)ベーシックインカム(#1)安全保障(#1)イラク戦争(#2)非正規(#1)大法廷(#1)偽装献金(#3)核兵器のない世界(#1)投票(#1)政治利用(#7)労働市場の流動化(#1)戦争(#1)生徒(#7)政治資金規正法(#1)読売新聞(#1)フィナンシャル・タイムズ(#1)TBS(#2)グローバリズム(#1)起訴議決(#1)民団(#1)捕鯨(#1)教師(#2)法治国家(#1)国体明徴(#1)仙谷由人(#1)外国人労働者(#1)宗教(#1)特例会見(#1)西沙諸島(#1)橋下徹(#2)政界再編(#1)佐藤栄作(#1)日韓併合(#1)南京大虐殺(#1)菅直人(#4)小沢一郎(#25)報道の自由(#1)後鼻漏(#13)青山繁晴(#2)護衛艦(#1)振り込め詐欺(#1)