[法律]「小沢氏が首相になった場合,憲法上は起訴困難か」について

 
             小沢氏が首相になった場合、憲法上は起訴困難か(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100826-OYT1T00752.htm

 国務大臣の起訴を巡っては、憲法75条が、首相の同意がなければ大臣の訴追はできないと定めている。
 この条文によれば、小沢氏が代表選に当選し、指名を受けて首相となった場合には、仮に東京第5検察審査会が小沢氏を「起訴すべきだ」と判断しても、小沢氏自身が同意しない限り、強制起訴されないことになる。
 憲法学者の間でも、「首相が自身の訴追同意するとは考えにくい」との理由から、首相は起訴できないとの意見が強い。

 ただ、憲法75条が設けられたのは、検察当局による不当な圧迫を避け、国務大臣の身分を保障することで内閣の一体性を保つためだとされている。このため、検察関係者の中には、「国民の代表でもある検察審査会の出した結論は、検察当局の判断とは性質が異なるため、強制起訴は可能だ」との見方もある。

 憲法75条は、国務大臣在任中は首相の同意がないと起訴されないとしているだけで、その間は時効の進行が止まり、辞職後に起訴が可能になると理解されている。このため、検察審査会が起訴議決した場合は、大臣退任後、裁判所が指定した弁護士が、議決に基づき起訴すると考えられる。



○ 問題となっている憲法75条の条文

 第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は害されない。

○ 憲法75条がなぜ定められているか

 <訴追が慎重に行われることを担保するとともに,総理の首長的地位を確保するため>(芦部信喜『憲法(第三版)』平成14年,岩波書店。298ページ)

○ 内閣総理大臣の訴追に関して

 内閣総理大臣が「国務大臣」との文言に含まれるか否かが,学説上争われている。

 ある見解は,内閣総理大臣は「国務大臣」との文言に含まれず,内閣総理大臣に対する訴追自体一切許されないと主張する。

 これに対する見解としては,内閣総理大臣は「国務大臣」との文言に含まれるのであって,内閣総理大臣が自らに対する訴追について,内閣総理大臣として同意するか否かを決しなければならない,と主張する。
 つまり,この見解によれば,内閣総理大臣が敢えて自分の訴追に同意し,いわば裁判で身の潔白を主張することを選択することも可能となる(もっとも仮に小沢「総理」が誕生したとして,小沢氏が自らの訴追に同意するとは考えがたい。)。

○ 但書「訴追の権利は害されない」の意味

 読売新聞の記事に紹介されているように,内閣総理大臣の同意がない場合には,公訴時効が停止すると考えられている。
 つまり,あくまでも同意なくして訴追できないのは「その在任中」に限られるのであって,国務大臣がその職を退いた場合は,「その在任中」とは言えない以上,訴追が妨げられることはない。

○ 強制起訴の場合はどうか

 読売新聞が紹介するように,強制起訴の場合は,憲法75条の「訴追」に該当しないのではないか,と考えられないわけではない。
 憲法75条の趣旨を,検察による不当な訴追を防ぐことにある,と考えるのであれば,検察審査会が主導する強制起訴の場合は,内閣総理大臣の同意なしに訴追することも可能ではないか,とも言える。

 もっとも,憲法75条の趣旨が<訴追が慎重に行われることを担保する>ことに止まらず,<総理の首長的地位を確保するため>あるいは「内閣の一体性保持」にあるとすれば,やや無理のある解釈のように思えなくもない。

 個人的には,内閣総理大臣は「国務大臣」に含まれると考えるので,仮に小沢氏が首相になった場合には,小沢氏は自らの訴追について同意するか否かを決しなければならず,自らの訴追に同意を与えない場合には,政治道徳上の非難が加えられることになるだろうし,同意を与える場合には,現役の内閣総理大臣が裁判で自らの潔白を争うという事態を招来することになるのではないか,と考える。

 なお,上記のような学説上の争いがあり,最高裁の明確な判断もない条文に関する問題であるため,マスコミもできる限り曖昧な表現をもってこのニュースを伝えているものと思われる。
 

tag : 民主党 マスコミ 小沢一郎 訴追 同意 憲法 75条

[司法] 被疑事件の55%が不起訴ー知っていましたか?

 
             逮捕されたら、法廷に引っ張り出されて、裁判官から判決の言い渡しを受ける・・・というのが逮捕後のイメージかもしれませんが、実際にそのようなところまでいく人の割合は決して大きくはありません。

 検察官は、被疑者を起訴するか、起訴しないか、について便宜的な裁量がある、というのは皆さんもご承知のとおりだと思います。
 そこに不当な起訴があれば、これをチェックするのが検察審査会である、ということもおそらくご存じだと思います。

 しかし、検察官がどのくらいの割合で起訴と不起訴に振り分けているのか(事件処理)、ということはほとんど知られていません。

 被疑事件のうち、55%は不起訴(起訴猶予)です。起訴されるのはわずか35%程度で、実際に公判請求に至るケースは全体の6%に過ぎません。

 車で人をはねてしまったときに、いわゆるひき逃げをする人が多いですが、自動車による過失致死傷に限って見れば、実際に起訴されるのは10%程度です(平成19年は10%を切りました。)。
 自動車による過失致死傷の場合は、特に悪質な場合は論外ですが、そのほとんどが過失に起因するもので、被害を弁償するなどの措置を講じれば、いちいち検察が起訴しなくてもよいであろう、と考えられるからです。

 このデータ一つをとってみても、検察の有罪獲得率99%のカラクリが分かっていただけるのではないでしょうか。

 * * * * *

 国民はつい被疑者が逮捕されると、「起訴されて当然」と思いがちです。

 ですが、国民が思うほど「起訴」というのは、簡単なものではないのです。
 また、あえて「起訴」しないことにより、軽微な犯罪である場合には早期に社会復帰させるチャンスを与えることができますし、上述したような自動車による過失致死傷の場合には、被害者との間でよく話し合って、民事で解決してもらうほうが適切な場合も多いものです。

 これに関連して、もう一つ、最近、小沢幹事長を一日も早く逮捕せよ、という意見をネット上でよく目にします。その中には、公訴時効の消滅を懸念する声もあるので、一概に悪いとは言えないのですが、逮捕という手続きもそう簡単なものではないのです。

 逮捕のように、強制的に身柄を拘束するような強制処分は、あくまでも例外なのです。
 だからこそ、特捜部は、嫌疑が十分に固まっていない場合、あるいは、固まっているような場合でも、まず任意捜査として取調を行おうとするのです。

 なお、逮捕するということについては、捜査機関にも慎重にならざるを得ない面があります。なぜならば、刑事訴訟法上の身柄拘束の期間制限があるからです。強制的に身柄を抑えることはできるのですが、逮捕・勾留を1年や5年も続けることができるわけではないのです。

 だからこそ、相手を取り調べる際には、まず任意でじっくりと聞いて、嫌疑が十分に固まり、捜査機関としてある程度の心証を形成できて初めて強制捜査という形になるのです。

 こういった基本的な話をおさえた上で、いろいろと考えて欲しいなあ、と思います。

 * * * * *

 ちなみに、勾留期間の制限という話で思い出しましたが、現在、勾留中の石川議員は2月4日で勾留期間の満了となります。事態が動くのは、それからではないかなあ、と思っています。それまでは、さほど目立った動きを期待しないほうがいいとおもいますし、過度にマスコミ報道に振り回されないほうが得策だと思います。

 次回更新 2月6日(土)予定

theme : 法律全般
genre : 政治・経済

tag : 民主党 小沢一郎 マスコミ 検察

2009年の政治の総まとめ

 
             今年のブログの更新は、今回のエントリで最後とさせていただきます。ネット空間のすみで細々とやらせていただいている弱小ブログではございますが、ご愛好くださった方に心より感謝申し上げます。

 途中からケータイからブログが更新できるということに今さらながら気づきまして、更新頻度もかつての数倍にまでもってこられました。

 来年も更新頻度の保障はできませんが、小さな脳で一生懸命あーでもないこーでもないとるる書かせていただければと存じます。

 さて、2009年もあと1日となりまして、せっかくですから、この一年間を振り返ってみることにしました。皆さんもこの一年を思い返して、いろいろと考えてみては如何でしょうか。

○ 1月

 1月3日 「永田メール事件」で議員を辞職されていた元民主党衆議院議員の永田寿康氏が死去。自殺と見られる。
→「永田メール事件」は政界に見られる「ブーメラン」現象として、今でも記憶に残っている方がおられるかと思います。
 若さ故のことなのか、生前の永田氏の言動にはこれまでにも数回にわたり物議を醸すようなものも多く見られましたが、タブーに切り込む数少ない国会議員でもありました。創価学会と公明党の政教一致問題など、普段国会で取り上げられないテーマについても、質問で取り上げていたことについては、今でも評価する声があります。

 1月13日 渡辺喜美元行政改革担当相が自民党離党する。
→渡辺氏は、自民党離党後「みんなの党」を結成しました。

 1月20日 米民主党のオバマ氏が米大統領に就任する。
→NHKでLIVE放送されていた就任式典は、私も生で見ていました。

 当時の私のブログは、当時オバマフィーバーを起こしていた日本の世論と真っ向対立するような論調でした。
 オバマ大統領がBuddhistsと言わなかった理由はなにか

○ 2月

 2月16日 ヒラリー・クリントン米国国務長官が初来日する。
→日本のマスメディアは「日本がアジアで一番最初の来訪だ!ヒラリーは日本重視の姿勢を示したに違いない!」と言っていましたが、歴訪の順番が一番最初だったのは、特に日本とは話すことがなかったからでした。
 なお、ヒラリーがアジア歴訪の最後に立ち寄った国は中国でした。米中間の懸念問題などを多くの時間を割いて話し合われたと言われています。

 2月17日 2月14日に開催されたローマでの首脳会合において、事実上いわゆる「もうろう会見」の責任を取る形で中川昭一財務金融相が辞表を提出する。
→この映像は、半年後の衆院選までの間に、何十回と執拗に日本のテレビで流れました。その映像を今でも覚えている人は多かろう、と思います。

○ 3月

 3月3日 東京地検特捜部:小沢代表(当時)の公設第一秘書を政治資金規正法違反で逮捕する。

 3月4日 第二次補正予算関連法案成立

 3月13日 浜田靖一防衛大臣:ソマリア沖の海賊対策で海上警備行動発令。

 3月24日 東京地検特捜部:小沢代表の公設第一秘書を起訴。同日、小沢代表は、代表を続投すると表明する。
→考えてみれば、まだこの時点では、小沢幹事長は代表をなさっていたんですよね。

 3月29日 森田健作氏が千葉県知事に。
→森田健作氏は、千葉県知事当選後、経歴詐称など数々の指摘を受けることになります。

○ 4月

 4月26日 民主党を離党していた元衆議院議員の河村たかし氏が名古屋市長に。
→そもそも河村氏は、民主党内では数少ない保守系議員の一人であり、行動力のあるパワフルな議員でした。その河村氏が現在、民主党に止まっていれば、小沢幹事長に真っ先に噛みついていただろうなあ、と思います。その意味では、民主党は惜しい議員を失いましたね。

○ 5月

 5月11日 民主党の小沢代表が代表を辞任する。
→小沢氏が代表辞任して半年くらいしか経っていないのですが、そう思わせないところに小沢氏の政治力があるのでしょうね。

 5月16日 鳩山由紀夫氏が民主党代表に就任。岡田克也氏に競り勝つ。
→鳩山代表は、注目されていた小沢氏を代表代行に就任させることを決めました。

 5月23日 韓国前大統領の盧武鉉(ノ・ムヒョン)が死去。自殺と見られる。
 
○ 6月

 6月12日 鳩山邦夫氏が総務大臣を辞任。日本郵政の社長人事をめぐる混乱の責任をとった形となった。

○ 7月

 7月5日 静岡県知事選で、民主党などが推薦していた川勝平太氏が当選する。
→静岡県知事選で自民党候補が敗北したことで、一ヶ月後の衆院選で自民党が大敗をすることが濃厚になった、などと報じられました。
 もっとも、民主党の推薦を受けて当選した川勝平太氏は保守派として知られています。当時の私は、一般にリベラルの傾向の強い民主党から保守系候補が当選し、そのことで保守政党を標榜する自民党が追い詰められているのを見て、日本は国政に限らず国内全体が不可思議な「ねじれ現象」に遭遇しているのだと感じました。

 7月12日 東京都議会議員選挙で、自民党が大敗。民主党が第一党に躍り出る。
→都議選でも自民党が敗北したことで、衆院選で自民党は大敗北を喫するだろう、との憶測が広がりました。
 当時、落選した自民党所属の元都議らは「国政のせいだ」などと不満を漏らしていました。

 7月13日 脳死を一律に「人の死」と位置付け、臓器提供の年齢制限を撤廃する内容の改正臓器移植法が成立する。
→私は、改正の内容に強く反対しています。脳死を一律に「人の死」と考えるべきではありません。

 7月14日 自民党の古賀選対委員長が選対委員長を辞任する。

 7月21日 衆議院解散

○ 8月

 8月8日 渡辺善美氏がみんなの党を結成。
→3週間後の衆院選で、みんなの党が健闘。比例区では、候補者を立てなかったために、2議席分を民主党に与えてしまう珍事も。

 8月18日 元韓国大統領の金大中氏が死去。
→翌日、JR駅の売店で朝日新聞を購入したところ、多くの面で金大中氏の偉業を讃える特集が組まれていて、朝の通勤列車の中で具合が悪くなったのを今でも覚えています(笑)。

 8月30日 衆院選 政権交代が実現する。

 8月31日 綿貫国民新党代表が落選のため、亀井静香代表代行が代表に就任する。

○ 9月

 9月1日 麻生首相が自民党総裁を辞任する。
→総裁選をいつにするのか、首班指名で誰に投票すればいいのか、が大きな問題になりました。

 9月3日 太田昭宏公明党代表が代表を辞任する。
→衆院選において、小選挙区で公明党はまさかの全敗。太田代表も落選。
 新代表は山口那津男政務調査会長、幹事長に井上義久衆議院議員が就任。支持母体である創価学会と距離の近い人が党の代表に。

 9月9日 民社国の連立政権樹立の合意がなされる。
→社民党党首の福島瑞穂氏の署名がネットで話題になりました。

 9月16日 国会召集。鳩山内閣が正式に発足。
→自民党は首班指名選挙で苦渋の策として若林氏に投票しました。

 9月28日 自民党総裁選。谷垣禎一氏が自民党総裁に就任する。

○ 10月

 10月4日 中川昭一元財務相が死去。
→中川氏を衆院選で破った民主党の候補が、現在、立件が予定されている小沢氏の公設秘書であった石川議員なのだから、なんとも複雑です。。

 10月26日 国会召集。

○ 11月

 11月3日 アフガニスタン大統領選挙でカルザイ氏が再選する。
→カルザイ氏が再選したことで、アフガニスタンの復興が遅延することが決定的に。

○ 12月

 12月18日、22日と、自民党参議院議員が二人続けて離党する。

 12月24日 東京地検特捜部:鳩山由紀夫内閣総理大臣の元公設秘書を在宅起訴、元政策秘書を略式起訴処分に。
 12月25日 来年度予算案の閣議決定
      自民党から参議院議員3人目の離党。
 
 こうやってみると、そもそも麻生政権ってなんだったのか、そして、鳩山政権はこれからどこへ向かうのか、良く分からなくなってきます。

 来年はどうなることやら・・・

 いえ、でも悲観してもよろしくないですね。来年はより良い一年になることを祈って、今年を締めくくりたいと思います。

 それでは、みなさん、良いお年をお迎えください!!

theme : 民主党・鳩山政権
genre : 政治・経済

tag : 民主党 鳩山由紀夫 マスコミ 自民党 小沢一郎

[中国] いま日中関係は最良だが、いつ反日カードが出てくるか分からない(by FT)

 
             今年のエントリは、今回を含めてあと2個アップする予定です。アクセスしてくださったすべての人に感謝します。
 英国のコラムニストDavid Pilling氏がFinancial Timesで日本と中国に関するコラムを書いています。

 <Beijing finds fine words for its old enemy>
 http://www.ft.com/cms/s/0/0b636690-ea7a-11de-a9f5-00144feab49a.html?nclick_check=1

 記事のタイトルは「北京はかつての敵に良い言葉をかけた」という意味深なもの。当然、「かつての敵」とは、日本のことです。(翻訳しながら読んでいるので、原文の改行が変則的になっています。ご了承ください。)

 <Xi Jinping, the man widely tipped to succeed Hu Jintao as China’s president in 2012, dropped in on Japan’s emperor this week.
 Though such visits are normally arranged months in advance, Beijing gave just a couple of days’ notice, the equivalent in imperial-etiquette terms of loudly banging on your neighbour’s door at 3am asking to borrow a cup of sugar.>

(拙訳)2012年、胡錦涛国家主席の後継者として広く注目されてい習近平〔国家副主席〕は、今週、日本の天皇のもとを訪〔たず〕ねた。
 〔天皇との〕会見は通常数ヶ月前から調整されるものであるが、北京政府が面会の申込みをしてきたのは、ほんの数日前のことだった。皇室の儀礼では、真夜中3時に砂糖を1カップ借りるために近所のドアを騒々しく叩きに来るのと同じことである。

 <A request by Yukio Hatoyama, Japan’s freshly installed prime minister, that an audience be granted even at such short notice, was criticised by some in Japan, particularly on the right. They saw in it a willingness by the new left-of-centre government to kowtow to Beijing.
 Even the normally discreet head of the Imperial Household Agency, the stern and secretive body that controls the royal schedule, objected publicly that the emperor should not be used as a diplomatic tool.>

 新しく就任した日本の首相である鳩山由紀夫氏の指示は、これほどまでに直前の申込みであっても〔国家副主席との面会を〕承諾する、というものだった。これは、日本の一部、とりわけ右翼から批判を受けた。彼らには、中道左派の新政権が北京に媚びているように見えているのだ。
 宮内庁は皇室のスケジュールをコントロールする厳格で閉鎖的な組織であるが、その宮内庁の、普通は控えめな長官でさえも、天皇を外交上の道具として利用すべきでないと公に反対した。

 <But he did coo, in no doubt entirely off-the-cuff remarks: “I hope my visit will contribute to the development of friendly co-operation between the two countries and boost friendship between the two peoples.”>

 しかし習副主席は、全く疑いもなく即興で、次のように〔天皇陛下に〕心地の良い言葉を口にしたのである。
 「私は今回の訪問で日中両国の友好協力の発展と両国人民の友好を後押ししたいのです。」

 〔コラムでは、このことが驚くべきことだ、と指摘します。〕

 <You only need to cast your mind a few years back to realise how remarkable has been the change in tone.〔・・・〕
 Mr Koizumi’s penchant for visiting Yasukuni shrine, a Japanese war memorial vilified by Beijing, meant he was effectively banned from setting foot on Chinese soil.
 Relations entered dangerous territory in 2005 when Japan’s (aborted) endeavour to secure itself a permanent seat on the United Nations Security Council sparked three weeks of anti-Japanese demonstrations in which Japanese commercial and diplomatic interests were attacked the length and breadth of China.>

 数年前の出来事を思い出して欲しい。どんなに珍しいことか気づくことだろう。どんなに彼らのトーンが変わったか、を。
 北京から中傷されている日本人による戦争の記念館「靖国神社」に参りたがる小泉首相の傾向のせいで、事実上小泉首相は中国の土地に上陸することが禁止されていた。
 平成17〔2005〕年には、日本が安保理の常任理事国入りになろうとしたために(後に中止した)、3週間にわたって中国のあちらこちらにある日本の商業施設、外交団が襲われる反日運動が相次いだため、日中関係は危険水域に入った。

 〔・・・〕
 北京にとって、天安門事件以降、反日カード(anti-Japan's card)は使い勝手の良いものだったが、使いすぎを悟ったのもこのころ(小泉政権時)だったこと、その証拠に、明らかに国家主義者であった安倍元首相に中国は友好ムードで迫ってきたこと、などと指摘した上で、このコラムは次のように書いています。

 <Indeed, it is a stated policy aim of Mr Hatoyama’s government to draw even closer to China as part of its strategy to embed itself more solidly in its Asian context.
 Yet it may be too early to declare one of the most prickly relationships in Asia permanently de-thorned.
 When it comes to substantive issues – such as a long-running attempt to settle a demarcation dispute over disputed underwater gas reserves – little tangible progress has been made.
 Fine words can go only so far in healing historical scars.
 There may also still come a time when being nasty to Tokyo becomes more useful to Beijing than being nice.
 If the Communist party ever wants to distract attention from domestic problems, it could yet be tempted to play the anti-Japanese card again.>

 実際のところ、アジアのコンテクストの中に「日本を組み込む」という戦略の一部として、鳩山政権は中国への接近を政策目標に掲げている。
 現時点で、アジアで最も面倒な日中関係から完全にトゲを抜いたなどと断言するのはあまりにも早いかもしれない。
 本質的な問題、たとえば、ガス田をめぐる領海の争いのようなものに至っては、ほとんど進歩がない〔からだ〕。
 美辞麗句は、歴史の傷を癒すにはあまり意味がないかも知れない。
 北京にとっては、東京に卑劣なこと〔反日運動〕をすることのほうが都合がよくなることもあるかもしれない。
 もし、中共が国内の問題から人民の目をそらそうと考えれば、中共はふたたび反日カードを使いたくなることもあり得るのだ。

 (酷い訳をご提供してしまったのは、私がお酒を飲みながら書いているからです。という言い訳を今年の最後にしてしまうのは、なんともお恥ずかしい限り。。)

 ただ、ポイントをまとめてみると、こんな感じになるでしょうか。

1.特例会見問題は、皇室の儀礼から言えば、かなり失礼なものであることは間違いない。

2.それでも鳩山首相が「Go」サインを出したことで、日本の右派を中心に非難の声が上がっている。

3.だが、その問題に覆い隠された事実にも目を留めなければならない。それは、習副主席が天皇陛下に向かって美辞麗句を述べた、という事実だ。

4.これまでの日中関係を見れば、それが意外なことである、と受け止める必要がある。

5.小泉政権時代、日中関係は危険水準に達していたものの、中国はそのときに「反日カード」を使いすぎたことを自覚していた。そのため、安倍政権時代には、中国は日本に対して友好的な態度で接することにした。

6.日中関係の強化という点で、今日、日中両国は同じ方向を向いている。なぜなら、中国は日本の発展に倣うべく、日本の公共政策や技術開発を通じたエネルギー効率の良い国を作る方法を知りたがっている一方、日本は最大の貿易相手である中国の無尽蔵の労働力を使いたいと思っているからだ。

7.ただし、アジアにおける日本の地位を確立させたいという鳩山政権であるが、日中関係が美辞麗句で固められ、一見関係が良好のように見えたとしても、中国国内の情勢いかんによっては、中共が自国の不満のガス抜きをさせるために、いつまた反日カードをきってくるかわからない、というリスクがある。

 このコラムは、なかなか有益な指摘だとおもいます。みなさんはどのようにお考えになりましたでしょうか。

theme : 天皇陛下・皇室
genre : 政治・経済

tag : 民主党 鳩山由紀夫 マスコミ 中国 フィナンシャル・タイムズ FT

[鳩山] 暫定税率維持が「環境目的」なのは当然

 
             民主党支持層から「暫定税率の廃止を撤回したのはうらぎりだ」との声が上がっているようです。

 しかし、これは大きな間違いで、支持者であればそのくらいのことは理解していなければおかしいのです。
 
 いまさら文句を言うのであれば、なぜ民主党に投票したのでしょうか。

 財源や地方財政を逼迫することから、暫定税率を単体として廃止するのは無理筋の話であることは明らかです。
 だからこそ、民主党政権は、暫定税率をより使途を明らかにした形に改めるべきである、と主張してきたのです。

 ですから、「暫定税率廃止とともに同水準の課税措置をもうける」としたことにつき、「地球環境のためだ」とした鳩山首相の発言は、あながち間違ったものとはいえません。

 民主党が最終的に目標とするのは、環境税の導入です。今回の措置は、それこそ環境税導入の準備的措置です。

 それなのに民主党支持層から批判の声が上がっている、というのは驚くべきことです。

 ここまで読むと、私は、民主党政権について擁護する立場のように思えますが、私は先の衆院選でも民主党には投票していませんし、彼等の目玉政策であるこども手当に関しては「時代錯誤」だとして反対の立場をとってきました。

 このようないきさつを見ると、民主党支持層は、自分の利益ばかりを考えているだけで、やや傲慢のように映ります。

 なお、基本的に民主党政権を存続させるだけの素質を持つ人間は、よくも悪くも鳩山首相以外にはいないのでしょう。
 これほど人が善く、感化されやすく、そして鈍感で、かといって検察権力とはタイマンをはれるしたたかさももち、右左問わず良い顔をしていられる男は、他にはいませんよ(笑)。

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genre : 政治・経済

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