失言を取り上げないのはおかしい

 
            前に書いたように、民主党の小沢幹事長が記者団の前でキリスト教について「排他的で独断的な宗教だ」と述べたのは、明らかな失言であり、与党第一党の幹事長として責任は重い。

だが、ほとんどのメディアが失言ととらえておらず、日本キリスト教連合会が抗議文を送付してようやくメディアがポツポツと報じはじめたくらいだ。

これが仮に森喜朗氏など自民党の人間の発言であれば、マスコミは連日これを失言として執拗に報じ続けたにちがいない。
少なくとも前首相の漢字の読み違いよりは、タチの悪い発言である。

小沢氏は今日になって「私の宗教論を言ったまでだ」と釈明したが、だとしても、仏教に関して論として成り立ってもいないようなことを言ったことに替わりなく、あまりにも浅はかで、愚かな発言である。

theme : 民主党
genre : 政治・経済

tag : 民主党 小沢一郎 失言 仏教 キリスト教 イスラム教

オバマ大統領がBuddhistsと言わなかった理由はなにか

 
             少し更新が滞ってしまい,申し訳ありません。

 遅ればせながら,オバマ大統領の就任演説について,少々。

 私は眠い目を擦りながら,NHKのオバマ大統領就任演説を同時通訳を介して視聴しました。
 後日,私の周りでは「オバマはすごい!かっこいい!」と絶賛していますけれど,私個人は物憂げに演説を聞きました。
 あの場に集まった市民らと「We can!」などとシュプレヒコールするのかな,なんて予想していましたがしませんでしたね。

 あの演説については,日本でも多くの評論家らが,それぞれご立派な分析をしています。
 しかし私はこの演説を分析するほど,オバマ大統領が複雑難解なことを述べているとは思えませんでした。

 もちろん演説の中には<To the Muslim world>とイスラム世界や独裁国家に対しての彼の踏み込んだメッセージも含まれていましたから,分析する価値がないとまでは言いません。

 ですが,私は結局のところ,演説の全てがこの一節に表現されているように思うのです。

 <America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. >

 どういう意味かと申しますと,米国は数々の脅威を経験した。だから危機にある今こそ,米国で理想の国を作ろうと模索したピルグリム・ファーザーズPilgrim Fathersの精神に立ち返ろう,とオバマは演説で述べているのです。
 すなわち,オバマ大統領があの演説の中で述べた内容は,詰まるところ「米国建国の精神」を確認しただけなんですよね。

 彼は同演説の中でこう米国国民を鼓舞します。
 <With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. >
 希望と美徳をもって,凍て付く時代の潮流に今再び立ち向かい,いかなる嵐が来ようとも,これに耐えてみせよう。(拙訳)

 結局,今の米国には,最後にパトリオティズムしか残らなかったのでしょう。
 自分の国が全世界の理想を体現しているんだ。この国のデモクラシーは全世界に通じる普遍の価値なんだ・・・オバマ大統領の言っていることって,その程度のことなんだと,私は思います。

 もちろん優れた演説であることは間違いないと思います。具体的な名詞をわざと挙げず,抽象的ながらも,それとなくブッシュ元大統領や今回の金融危機において無責任な振る舞いをした会社の経営者を鋭く批判してみせたあたりは,この演説がいかに周到に,巧妙に作られたものであるかを示しています。

 ただオバマ大統領の就任演説を無条件に賛美しているかたには今一度考えて欲しいことがあります。
 私も,オバマ大統領が建国の精神に学ぼうと訴えていることは評価します。自分たちの歴史から学ぶことは本当に大切なことです。

 しかし考えてみてください。
 いくらオバマ大統領が建国の精神に立ち返ろうと諭したとしても,オバマ大統領自身<We remain a young nation>と認めているように,米国の歴史は日本に比べれば本当に短いものです。
 口は悪いですが,そんな浅い歴史を振りかざしてみせたオバマ大統領に,なぜこれほどまで日本人が歓喜しているんでしょう?

 オバマ大統領を「かっこいい」と言うのも結構ではありますが,「かっこいい」と言うだけでは何も得られませんし,そこからは何も生まれません。

 彼に倣って,自国の歴史を真摯に学ぼうとする謙虚な姿勢を身につけることが大切です。
 日本には,米国よりも遙かに長い歴史があります。祖先が困難にどのように立ち向かっていったのか,歴史はその試行錯誤の実験記録であって,歴史に学ぶべきことは大変多いものです。

 * * *

 ・・・と長々と書きましたが,これは実はただの前振りでございます(それと同時に,私の周囲にいるオバマLOVEオバちゃんへの不満のはけ口でもあります・笑)。

 このエントリで,上に関連して,皆さんにもお考えいただきたいことがあります。

 オバマ大統領就任演説で,大統領は次のように言いました。

 <We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers.We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth.>

 簡単に訳しますとこんな感じです。
 「私たちはキリスト教徒,イスラム教徒,ユダヤ教徒,ヒンドゥー教徒,そして無信仰者からなる国家だ。私たちはあらゆる言語と文化によって形成され,この地球のあらゆる場所から集合している。」

 で,同時通訳で聞いていた私ですが,この部分では流石にずっこけました。
 「キリスト教徒,イスラム教徒,ユダヤ教徒,ヒンドゥー教徒・・・無信仰者」?!

 え!仏教は!?え~~~!!!
 正直ビックリしました。スピーチライターの人,Buddhists(仏教徒)を書き忘れてるよっ!!

 しかし後々ゆっくり考えてみると,なんだか敢えてBuddhistを演説の中に入れてくれなかった気がしてきました。
 もちろん可能性としてはいろいろなものが考えられます。例えば・・・

 (1)単純にBuddhistを書く必要性を感じなかった。あるいは書き忘れていた。
 (2)Buddhist(仏教徒)とHindus(ヒンドゥー教徒)が実は同一のものだと勘違いしていた。
 (3)何らかの理由で,Buddhistを書けなかった。
 (4)私が考えすぎなだけだ。

 だとしても(1)はともかく,(2)は論外だろうと思います。
 さすがに勉強熱心だったオバマ大統領ですから,仏教とヒンドゥー教が同一のものでないことくらい知っているでしょう(知っていなかったとしたらリチャード・ギアが黙っていない・笑)。

 そうなると,おおむね(1)か(3)のどちらかだということになりそうです。
 ちなみに産経新聞のコラム(具体的な出典は後ほどチェックしておきます)では,Buddhistと言わなかったことについて,オバマ大統領が仏教徒の多い国々の存在を軽視,即ち,日本を軽視している証左ではないか,と危惧するものもありましたが,まあ,そこまでは言いません。私は。

 しかし先ほどネットを巡っていましたら,中には<中国からのプレッシャーではないか>という意見を述べるブログに巡り会いました。
 そのブログの著者は,Buddhistと言えば,未だ記憶に新しいTibetan Buddhism(チベット仏教)を聴衆に想起させることになり,ひいては中国への牽制と受け取られる可能性があった。だから演説の中でBuddhistとは言わなかった。・・・そのブログの著者はそう言うんですね。

 そのブログの言わんとすることはなんとなく分かる一方で,なんとなく陰謀論めいたものも感じなくもないですから,まあ,私も判断しかねるものがあるんですが,みなさんはどうお考えになります?

 なぜオバマ大統領の口からBuddhistという言葉が聞かれなかったのか。
 私はその理由が分かりません。これが杞憂に過ぎぬもの,すなわち(4)であればよいのですが。
 

tag : オバマ 米国 日本 就任 演説 中国 Buddhist 仏教 ピルグリム・ファーザーズ チベット仏教

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