[外国人参政権] 外国人の人権保障について考えたことがありますか

 
             外国人参政権について、これまで平成7年最高裁判決をたびたび引用してきましたが、そもそも「外国人の人権」とは何か、という問題があります。

 外国人には参政権がなく、「日本国民のみにその保障が及ぶ」として、いわゆる禁止説に立脚した平成7年最高裁判決も、「外国人の人権」の問題を前提に議論を進めています。

 外国人も同じ人間なのだから、日本国民と変わらず、同程度の人権保障が及ぶ、と普通の人は考えるかもしれませんが、我が国の最高裁は、そのような立場に立脚しているわけではありません。

 外国人の人権について、おそらく法学部の出身であれば、必ず憲法の講義で「リーディングケース」として教わるのは、いわゆる「マクリーン事件最高裁判決」(最高裁昭和53年10月4日大法廷判決)でしょう。

 マクリーン事件最高裁判決では次のように「外国人の人権」について判断が示されています。

 <基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであ>る。

 この立場は、一般に「性質説」と呼ばれており、「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」については、外国人に対して人権保障が及ばない、とされています。

 この立場によれば、たとえば、参政権に関しては、上述した平成7年2月28日最高裁判決が言うように、参政権が「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」に該当することになりますから、「在留外国人に対して地方公共団体における選挙権を保障したものということはできない」ということになるのです。

 これは、参政権に限った話ではありません。たとえば、政治活動の自由に関しても、外国人と日本国民とでは、保障の程度に差異があります。
 先のマクリーン事件最高裁判決は、「政治活動の自由についても、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼすものを除き、その保障が及ぶが、その保障は在留制度の枠内で与えられているに過ぎない」としています。ここでも、外国人の政治活動の自由について、<我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼすものを除き>という留保があることに注目すべきでしょう。

 しかしながら、外国人参政権のような、永住外国人を対象とする場合は、人権保障の考え方も上記のような「外国人の人権」とは異なるのではないか、とする意見もあります。たしかに、外国人にも、一時的な旅行者から、難民や永住者など長期的滞在を目的とする外国人まで幅広い人たちが含まれていますから、「外国人の人権」とひとくくりに議論することが適切ではないとの意見は、十分傾聴に値する議論だと思います。

 ですが、在日コリアンの東京都管理職試験受験拒否をめぐる最高裁平成17年1月26日「大法廷」判決(大法廷判決ですから、具体的な憲法判断が下されたものと考えてよい。)は、次のように判示しています。

 「公権力行使等地方公務員の職務遂行は、住民の生活に直接間接に重大な関わりを有するので、・・・国民主権の原理に照らすと、原則として日本国籍を有する者の就任が想定されている
 地方公共団体が、公権力行使等地方公務員の職とこれへの昇任に必要な経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築し、日本国民である職員に限って管理職への昇任を可能とすることには合理的な理由があり、労働基準法3条、憲法14条1項に違反しない。
 この理は、特別永住者についても異ならない。

 最後の一文からも明らかなように、最高裁大法廷は、永住者であっても一般外国人と特段異なる取扱いをしない旨を述べています。いわゆる外国人類型論を全否定したかどうかは議論の余地がありますが、いずれにせよ、最高裁大法廷は、かなり慎重な立場を採用している、と考えて良いでしょう。

 こういった外国人に関する人権論を踏まえた上でなければ、外国人参政権に関する議論をすることは適切ではないように思います。

 簡単に考えれば分かることですが、今のところ、外国人と日本国民とでは、人権保障の程度に差異があるのです。政治活動の自由に関しても、それなりの差があります。そうであるのにもかかわらず、一定の要件を満たした外国人に、いきなり参政権を付与するというのはどういうことか・・・容易に想像がつくようにおもいます。

 次回更新予定 2010年1月18日(月)

theme : 外国人参政権問題
genre : 政治・経済

tag : 外国人参政権 民主党 自民党 外国人 人権 日本国憲法 参政権 マクリーン事件 外国人管理職事件

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