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Il testimone...

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[司法] 死刑制度容認が過去最大に

 死刑制度存置を望む国民がここまで膨れあがっていることにまず驚きました。

 統計方法についてですが、私は基本的に問題はないと考えています。
 質問内容が存置論に誘導的になっているとの批判もありますが、今回の内閣府調査で設定された質問は以下の3通り。

1.「どんな場合でも死刑は廃止すべきだ」
2.「場合によっては死刑もやむを得ない」
3.「わからない・一概に言えない」

 場合によっては死刑をやむを得ないと考えるのが存置論であるのは明らかであるし、いかなる場合であっても、いかなる罪を犯した場合であっても死刑を選択することは絶対的に禁止されるべきだと考えるのが廃止論の立場であるから、上記質問項目は適切でしょう。

 批判者の多くは廃止論者なのでしょうが、廃止論とはそういうものである以上、そのような質問をされても「廃止すべきだ」を選択するだけの覚悟が必要です。

 という私も廃止論に与しますが、このような世論を受けた以上、即時、現行死刑制度を廃止するよう求めることは、問題があると言えるでしょう。
 国民感情を無視して刑罰制度を論じることは避けなければならないからです。

 最近、死刑廃止論者も柔軟な態度を示すようになっており、中には、死刑の代置制度として、仮釈放のない、いわゆる絶対的な終身刑を設けるべきではないか、との意見があるようです。

 私もそのような意見には耳を傾ける必要があるとは思いますが、憲法36条の禁止する「残虐な刑罰の禁止」に抵触しないかは別途論じる必要があり、学者の中にも、絶対的終身刑が仮釈放を絶対に認めず、自然な形で死に至るまで一定の場所に合法的に監禁を強いるものであるとする点で、「残虐な刑罰」に該当するのではないか、との意見もあるくらいです。

 絶対的終身刑を導入する場合には、かかる違憲論に対してどのような反論をすべきか理論的に固めておく必要があるでしょう。

 私は、まず国民が死刑制度をはじめとする我が国の刑罰全般に対する知識を持つことが必要だと感じています。
 たとえば、無期懲役刑は、確かに数年前までは仮釈放も柔軟に認められており、ある一定の期間が経過すると、仮釈放が認められ、仮釈放中に別の罪を犯して逮捕される…などということも多々ありました。実際、死刑に処せられた者の一部は、仮釈放に罪を犯したがために死刑判決を受けたものもいるくらいです。

 ただ、今でもそのような「甘い」無期懲役刑がなされていると考えているのであれば、そのような認識は今にでも改めたほうがいいでしょう。
 ここ数年は、仮釈放が認められた者は10人に満たない数に止められ(まず20年内に出られることはないと考えるべきです。)、一時期は「10年くらいで出てこられる」などと言われた無期懲役受刑者ですが、今は40年以上懲役に服している者も珍しくはなくなりました。

 このような運用を知らず、無期懲役刑が甘いからと言って安易に死刑制度を存置することを希望している者も少なくはないと思います。まずは運用実態を知ることから、死刑制度を考えてみてはいかがでしょうか。そもそも我が国の死刑執行の方法すら知らない人もまだ大勢いるのでしょうし。

 もちろん、わたしは自分の廃止論を他人に押しつけるつもりはないし、国民の多くが存置論を妥当と考えているからといって、他の廃止論者のように国民をバカにするようなことはすべきではないと思っています。

 また、我が国の一つの文化として他国と明確に違うのは、「死をもって償う」文化がある、というのも尊重すべきだと思います。死者に鞭を打つようなことは言わないというのも、このような精神的文化によるところが大きいのでしょう。
 だから、文化の異なる他国から「死刑で人は救われない」などと言われる筋合いもない、との意見も理解することができます。

 それに、我が国の司法が長らく無視し続けてきた「被害者」の人権にも、ようやく光が当たろうとしています。
 これまで社会的にも法律的にも無視されてきた被害者(これはもちろん遺族を含む。)の過酷な現実が世に知られるようになったことで、国民が我が国の司法に怒り、被害者を支援する動きに伴って、死刑制度の存置を支持する人が増えている一つの現象もまた認められるのでしょう。
(もちろん遺族の中には死刑廃止を望む人もいますが、まず例外であって、そのほとんどが死刑の存置を望んでおられる現実も受け止める必要があります。)

 なお、上記毎日新聞の記事によれば・・・

1.死刑を容認する理由(複数回答)
(1)「死刑を廃止すれば被害を受けた人や家族の気持ちがおさまらない」(54・1%)
(2)「命をもって償うべきだ」(53・2%)
(3)「死刑を廃止すれば凶悪犯罪が増える」(51・5%)

2.死刑を廃止する理由(同)
(1)「生きて償ったほうが良い」55・9%
(2)「裁判で誤りがあった時に取り返しがつかない」43・2%
(3)「国家であっても人を殺すことは許されない」42・3%

・・・というのが、各立場の意見のようです。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

  1. 2010/02/07(日) 15:18:13|
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