人工透析と療養費(2)人工透析と迷い

 
            1  人工透析を提案された祖母は迷っているようだった。

   これまで90年近く生きてきたが,人工透析をしていた人を何人も知っていて,そういうひとびとが人工透析に苦しんできたことも知っていたようだった。

2  変心した主治医から突如「人工透析やってみないか」と言われた祖母は,「やっていいかどうか分からない」と言葉を返すのみだった。

   このやり取りを聞いていた看護師の方が「おばあちゃん,人工透析の何が不安?やっぱり大変だから?それとも痛いとか,辛いとか?」と言うと,祖母は,「人工透析は嫌なんだよ」と答えた。

   ここで看護師の方が機転を利かせて
「だったら,いちど人工透析の現場を見せてもらう?人工透析の先生からも話を聞いてみようよ?それでどうしても嫌だったら人工透析やめる,やってみようかなと思うなら,人工透析試してみよう」
と言ってくれたのである。

   すぐに祖母は,車いすに乗せられたまま,人工透析室に行くことになった。私たちも同行した。
   既に看護師が話を付けてくれていたのか,そこには人工透析を担当する医師が待っていた。

3  人工透析を担当しているという医師は,祖母の目の前で人工透析のパンフレットを開いて説明をしてくださった。
   私たちも漠然とその話に耳を傾けていたが,突然,医師は鋭い眼光を祖母に向け,次のように言い放った。

「あなたは,何をやり残したのですか?人工透析は夢の治療ではありません。嵐が来ようが,大雪が降ろうが,あなたは病院で透析をするのです。中2日,空けることは許されません。その覚悟があなたにありますか?人工透析後の人生をどうしようと考えているのですか?もし,透析やっても,そのまま生き地獄になることもあるんですよ!」

   強烈だった。まもなく90歳になろうかという祖母に対する残酷な意見だ。

「90年近く生きてきて,それでもまだやり残したことがあなたに存在するのか。生き地獄になっても後悔しないかーーー」

4  医師の視線は,呆気にとられている私たちにも向けられた。

「あなたたち家族も人生が変わるのです。これから生活は一変すると考えてください。これからあなたたちは障害1級の障害者を新たに抱えるのです。あなたたちが仕事を続けていられなくなるかもしれない。あなたたちにそれだけの覚悟がありますか?」

   ーーー即答できなかった。

   そもそも人工透析の話があったのは今日たった今のことだ。覚悟があるかどうか問われても,今は現状を理解しようとするので頭がいっぱいだ。

5  閉口してしまった私たちに対し,医師は,

「シャントを作る前でも人工透析はできます。首から管を入れるのです。やるなら今日の午後です。透析やるかどうかは,昼までに教えてください。」
と言って,その場を立ち去っていった。

6  医師が最後に放った言葉は,医師が私たちに残した最後の希望のようにも感じた。この医師は,「おまえたちに覚悟があるなら,俺たちは全力で支えるぞ」と言ってくれたような気がした。

   説明が終わったのが午前11時。決断までのデッドラインまで1時間を切っていた。
   
   病室に戻った後,祖母は「みんなに迷惑がかかるから,私は決められない」と言って,黙り込んでしまった。

   無理もない。私たちも祖母も頭がいっぱいだったから。
   まさかこのままなら週単位で祖母が死ぬことになるなんて思ってもみなかったし,まもなく90歳になる祖母が人工透析を行うことなんて選択肢に入っていなかった。

7  そのまま透析するかどうか決められず,お昼になってしまった。

   そこで,私はダメ元で一つの提案をしてみることにしたのである。

「今日は透析やる。それで嫌だったらやめる。そしたら,数日家で暮らして家族が最期を看取る。」

   孫の突然の提案だったが,祖母は「あんたがそう言うなら」として,しぶしぶ応じてくれることになった。

   嫌ならやめれば良い。でも,やるだけやってみよう。

8  人工透析の担当医にその提案をしたところ,医師はニコッと笑みを浮かべて,
「分かりました!では,これからすぐ透析をやります。首から管を入れる手術をする準備をします!」
と言ってくださった。

9  すぐに祖母は手術室へ。数十分で首に人工透析を行うための管が取り付けられた。出血はあったが,医師によれば,「完璧」であったそうだ。

   その日の午後,祖母は初めて3時間の人工透析を受けた。

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人工透析と療養費(1)人工透析実施までのいきさつ

 
            1  先月,私の祖母が体調不良を理由に入院することになった。
   祖母は大正生まれ。まもなく90歳である。

2  入院直後,「食欲がまったくない」とか,「身体が怠くて仕方が無い」と訴えていた祖母だが,検査の結果,クレアチニンや尿素窒素の数値が悪く,どうやら腎臓が正常に機能していないことが分かった。

   もともと長年,糖尿病を患っていた祖母だが,
入院当時も,それ以前も,HbA1cの値(血糖値の平均値のようなもの)は6のままで,決して状態が悪いわけではなかった。

3  入院当初,主治の医師は,「長年の糖尿病と加齢が腎臓を悪くしたのだろう」と診断した。診断された病名は「慢性腎不全(の急性憎悪)」である。

4  入院後1ヶ月程度は,投薬によって腎臓の機能が戻らないかどうかが試されたが,結果は日増しに悪くなるばかりで,祖母は次第に嘔吐が多くなり(実際には食べていないので何も吐くものがないが嘔吐感が続くらしい),全身倦怠感も悪化していった。胸水が溜まっていることも確認され,胸の突き刺す痛みもひどくなってきた。

   後から聞いた話だが,主治の医師は,嘔吐などに苦しむ祖母を鎮静剤で楽に逝かせることを考えていたらしい。

   まあ,これが医療の現実なのかもしれない。
   既に亡くなった私の祖父も肺炎で病院に入院したことがあったが,そのとき医師は最初から祖父を死なせるつもりだった。しばらく入院した後,医師から言われたのだ。
「もう栄養点滴も難しいです。針を刺せる血管がもうありませんから。もう薬も飲めないでしょう?このまま楽に逝かせてあげることを考えては?もう90歳過ぎてますよね?十分じゃないですか?」

   つまり,もう何もしないで,このまま枯れさせてあげよう,というのである。
   祖父の場合,認知症があったので,本人の意思を確かめる術が無かったが,だが,家族の一人が祖父が無意識に”何かをほうばる仕草”をしているのを目にして,家族の考えは変わった。

   祖父は食べる気があるのだ。ゼリー状にするなど,上手に食べ物の形を変えてあげれば,祖父は食べる…。きっと薬も飲めるはずだ。

   私たちは,無理を承知で医師に「栄養点滴が無理なら口から(薬やご飯を)飲ませてみたい」と提案したのだ。
   医師は「もう薬も飲めないですよ?」と最初から諦めていたようだが,しぶしぶ次の日から食事が摂れるかどうか試してみることに。
   すると,祖父は,その次の日からご飯を食べ出した。薬も工夫すれば飲めるようになったのだ。

   祖父は「あと2週間生きればいいだろう」と言われていたが,結局,3週間後に退院を果たした。
(祖父は施設に入所していたが,退院後6ヶ月間も生きた。最後は施設で眠るようにして死んだ。”老衰”だったそうだ。)

5  祖母の場合も同じだ。もう90歳になる老婆が腎不全で入院してきた。1ヶ月投薬してみたが効果が出ず,毎日嘔吐して苦しんでいる。ならば,このまま鎮静剤を使って眠らせてあげようーーー。

   それが主治の医師の考えだった。

   入院して3週目に主治の医師から突然「明日,鎮静剤を使います」と家族に電話があった。
   私たちは「なぜ鎮静剤なのか」と困惑し,翌日早朝に病院にかけつけて主治の医師から説明を聞くことにした。

   主治の医師は,私たちに対し「(祖母の)数値がどんどん悪くなっている」ので「週単位で命を落とす状態だ」。「このまま苦しんでいる姿を見ていられないので,鎮静剤を使うことにしたい。」と説明した。
   しかし,私たちは「鎮静剤を使ったら眠り続けてしまうのでは?もう話をすることも難しくなるのでは?」と聞くと,医師は「うまいように調整はしますが…」と歯切れない返事をしてきたのであった。

   私たちが引っかかったのは,「週単位で命を落とす状態」であり,安らかな死を迎えさせるために「鎮静剤を用いる」ことを,医師が祖母に直接説明しているのか,ということだった。
   そのことを問い詰めると,医師は「まあ,そうですね。話したほうがいいかもしれませんね」と返してきた。要は祖母には何も言っていなかった,ということだ。

6  認知症だった祖父と違って,祖母は物事の是非もよく理解できる。入院前は,一人でも家事をこなし,毎日,新聞をくまなく読んでいたくらい頭はハッキリしていた。入院後も「私はもう家に帰れないんじゃないかって気がするんだ…」とか,「満期になった口座があるから手続きしておいて欲しい」とか,「私の(医療費などの)お金を用意してあるので使ってくれ」とか,祖母は心配事で頭を駆け巡らせていたくらいだ。

   果たして意思表示ができる祖母の意思を確認することなく,このまま”逝かせる”ことが正しいのだろうか??

7  私たちは車いすで祖母を主治医のところに連れてきて,主治の医師から改めて祖母に直接話をさせることにした。

   主治の医師は,私たちに対してした説明を改めて祖母にしてくれた。
「あなたは腎臓が悪い」「そのせいで体中に毒が回っているような状態だ」「このままいくと,週単位で命を落としてしまうだろう」

   辛い宣告だが,祖母は一生懸命医師の話を聞いていた。

   主治の医師は,自分の話を理解する祖母の姿を見て,突如,
「うーん,これだともったいないですよね!」
と言い出した。

   そう,カルテ上は「まもなく90歳になる後期高齢者の女性」だったのだが,実際に話をし,話を理解する祖母をみて,医師は「このまま逝かせてしまうのは”もったいない”」と考えを改めたのである。

8  そのとき初めて提案されたのが
人工透析
であった。


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耳鳴りを気にするな?!

 
            先日、病院に行ったときのことをTwitterでつぶやいたらいくらか反響があった。

まだ20歳台の私だが、ここ最近、ひどい耳鳴りに悩まされている。少し経緯を書こう。

今年に入ってすぐ、耳が詰まったような感じが続いていて、耳抜きをしようにもうまくいかない、しつこい症状に苦しんでいた。

耳鼻科に行き、聴力検査を受けたが異常はなく、
「もう少し様子を見てください」
とのことで、とくに薬の処方は無かった。

一週間ほどしてもなかなか症状は良くならない。次第に自分の声が耳に反響するようになったり、高音の耳鳴りまでしたりするようになった。

最初に行った耳鼻科に行ったが、聴力検査もせずに、医師は、
「聴力は平気です!」
と最初からキレ気味の対応。こちらの話なんてほとんど聞いてくれず、私が話そうとすると喰い気味で話を遮ってくる。

私が一週間足らず再度病院に来たのがそんなに気にくわなかったのだろうか?それとも、私が神経質な患者と思ったのか。

様子を見ていたが、どうやら耳鳴りがするようになったというと、
「だから、耳鳴りなんて気にしないことです!ビタミン出しておくので、また様子を見てください!」
と、投げやりな対応をされてしまった。
どんな音がするか、とか、どのくらいの音の大きさか、とか、聞きもしない。
こちらがそれを説明しようとすると、今度は、
「はい、じゃね、寝れば治るから」
ときたもんだ。

んなもん、できるかよ。
こっちは耳鳴りがつらいから受診しているのであって、気にしないようにすれば良い、と割り切ることができるなら、そもそも病院に来てねえよ。
寝れば治るって、もう二週間以上様子見てるんだから、馬鹿言うなよ。


Twitterでの反応を見ていると、みなさん同じような経験があるらしい。

中には、医師の「もう少し様子を見て」とか、「気にしなきゃ良い」という発言で、精神的にストレスを受けて、症状が悪化した人もいるみたいだ。
こっちは何日も様子を見て変だから病院に来ているわけで、いつまで苦しいのに様子を見れば良いんだ、と言いたくなるし、気にしたくなくても気になるから苦しいのに、気にしないでいられるわけがない。
医師もまた人間だから、患者の苦しみを完全に理解することはできないのは分かる。だが、患者は統計で把握するものではない。一人一人千差万別の苦しみを抱えているのだから、その主訴によく耳を傾けて欲しい。

ちなみに余談だが、私のような法律で飯を食っている人間が、「様子を見ろ」とか「気にするな」と言って、お客さんを帰したら、大問題だ。
「あなたのお父さんは亡くなったらしいけど、相続のことは気にしないで。様子を見てください」なんて言ったら、その方はどうなるだろうか(ーー;)
相手から十分に話を聞く。話を聞く時間が取れなければ、予め相談票に書いてきてもらう(口頭より書面の方が事態を掴みやすいからだ。問診票と同じ。)。
それに対して、こちらは問題がないと判断したとしても、相手に納得いただけるだけの説明を尽くさなければならない。これを怠れば、ただでさえ気力を振り絞って足を運んでくださっている相手に失礼だし、説明不足がかえって疑心暗鬼などの苦しみを増幅しかねない。

いずれにせよ、その耳鼻科に処方された、アデホスコーワとメチクールという薬の二つを二週間分飲むことに。

さらに一週間。症状はヒドくなるばかりだった。
耳鳴りは四六時中鳴るようになってしまったし、耳鳴りの音もかなり大きく、それによって生活に支障がでるようになった。既に書いているように、実は、私の耳は難聴だったことが別の耳鼻科で分かった。運良くその後の治療で治ったのだが、では、最初の耳鼻科ではなぜ異常が見つからなかったのか不思議でならない。

【副鼻腔炎】私の症状と治療(13)病気をネットで調べること

 
            1 副鼻腔炎になったのは初めてだったので、症状が出てすぐは、自分がなぜ顔の奥が痛いのか分からずにいました。

2 そのため、耳鼻科にかかる前に、自分の症状をネットで検索することにしました。ある程度似たような症状の病名を知ることができたのは良かったのですが、私の場合は、ネットで病気を検索することによってかえって精神的に追い詰められる失敗を犯したのも事実です。

3 前にも書いているように、ネットで症状を調べると、自分の症状にかすっている病名は何個が出てくるんですが、最終的には「ガンの可能性があります」「医師の判断に従って下さい」という記述で終わるのです。
  私の場合は、「あー、俺は脳腫瘍で頭が痛いのか…」などと、ネットの記載通りに信じて落ち込んでいました。

  なら、すぐ病院に行って診断してもらえ、という話なのですが、耳鼻科に通院するようになっても、1週間、ほとんど症状が改善しないばかりか、抗生物質の副作用も相俟って、どんどん体調が悪くなり、全身の倦怠感がひどくなってきて、日常生活に大きな支障を伴うようになりましたから、結局、またネットで調べちゃうんです。
  で、「あ、治っていないということは、副鼻腔炎じゃなくて髄膜炎なんじゃないか」とか、「誤診で脳腫瘍を見逃しているんじゃないか」なんて、本気で疑うようになっていました。

4 私の場合は、副鼻腔炎の典型的な症状としてネットで掲げられている・・・

<症状は、痛みと鼻汁(びじゅう)です。かぜ症状が先行し、続いて膿性の悪臭を伴う鼻汁がみられます。上顎洞に炎症を起こした時には頬部の痛み、篩骨洞に炎症を起こした時には眼の内側の痛み、前頭洞に炎症を起こした時にはおでこの痛み、蝶形骨洞の炎症では頭痛や頭重感が特徴です。
 一般に片側にだけ発症し、発熱は軽微です。まれに副鼻腔の炎症が眼や脳に進むことがあります。眼に及ぶとまぶたがはれたり、視力が落ち、脳に及ぶと強い頭痛や意識障害が起こります。
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10C21000.html(goo!ヘルスケア)

  この症状のうち、私に当てはまらないものを灰色にしていますが、御覧にいただければ分かるように、私にぜんぜん当てはまらないんですよね・・・。
  肩こりが酷くなるとか、後鼻漏が酷くなるとか、書いてませんし、手足の倦怠感などという症状もまったく関係ないようにも見えますね。

 
 結果、私の中では、「俺は本当は副鼻腔炎じゃない・・・」という不安が生じるわけです。

5 ネットで毎日のように病気を調べていた私ですが、今、冷静に考えますと、次のように総括することができます。

<ネットで病気を調べることの良い点>
・初診に適した科がどこか指標を得ることができる。
・確定診断があった場合に限り、自分の治療方針を調べることができる。

<ネットで病気を調べることの悪い点>
・素人判断で闇雲に病気を調べることになる。(見当違いな病気を調べ続けることになりかねない)
・結局、不安感しか残らない。(腑に落ちるような病名がない限り、堂々巡りとなり、不安がかえって増幅する。)
・民間療法や効果不明確な食材の購入を誘導するサイトがかなり多い。
(「○○は△△を食べれば治る!1パック5,000円から!」というようなサイト。たいていこういうサイトには、「病気は病院では治らない」として病気の深刻さを強調し、不安を煽る不適切な記述が多い。)

6 特に最後のステマには苦しめられました。症状をネットで調べていると、「○○を食べて△△が治った」というようなサイトに必ずアクセスすることになります。(アクセス数が多いのか、検索サイトでも上位に表示されるんですよね。)
  そこには、「○○はもう治らない」「△△を食べて治ったとの声が多数!」というような触れ込みが書いてあるんです。ページの最初のほうは、淡々と病気の説明が書いてあり、それを見て不安にさせられたところで、ページのラストで商品の紹介が掲載されている、というパターンです。
  薬事法ギリギリだと思いますが、こういうページのせいで不安が強くなったのは事実ですね。元気なときは絶対に引っかからなかったと思いますけど、自分が病気になって心が弱っていると、こういうサイトの記述に重みが出てくるんです。
(治ったという声は紹介しているけど、治るとは書いてないことが多いのが狡いところ。) 

  ただ、私も「えー、病院では治らないの!?」ってちょっと信じ込まされそうになりました。平気で「薬を使わずして!」って書いてあったりしますからね。
  心が弱っているときは、簡単に引き込まれます。

  もちろん民間療法で病状を改善させている例は少なくないでしょう。
  しかし、医師の治療を受けた上で試すとか、医師に問い合わせるとか、そういうことをせずに、「病気に行かなくても(治る)」かのように誘導し、誤信を深めさせる記載をし、いきなり民間療法に飛びつかせるようなやり方はいかがなものかと思いますね。

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【副鼻腔炎】私の症状と治療(12)治って感じたこと

 
            1  これまで副鼻腔炎になったことの無かった私ですが、副鼻腔炎をきっかけに緊張型頭痛が起こるようになり、この頭痛の原因となっている肩こり・首こり、それと一緒に出てくる全体倦怠感、食欲不振、神経痛(のようなもの)といった症状を感じました。また、副鼻腔炎が治っているにもかかわらず、後鼻漏のような症状が数日間残りました。

   副鼻腔炎そのもの以外の諸症状は、どちらかというと自律神経失調症の症状に酷似しています。
   副鼻腔炎をひっかけに、私も自律神経のバランスがおかしくなったのかもしれません。

2  ネットでいろいろと調べて見ますと、副鼻腔炎をきっかけに、私と同じように、自律神経症状のようなものや不安神経症のようなものを訴えておられる方が多いようです。
   原因はよく分かりませんが、とにかく副鼻腔炎による頭の痛みから(副鼻腔炎が引き起こしているとは考えにくい)、さまざまな症状を引き起こしているような印象を持ちます。

   医学的にどうかは存じませんが、何か関係があるのかもしれません。

3  私の場合は、副鼻腔炎による顔面痛(顔の奥の痛み)を経験したことが無かったことから、「もしかすると重い病気ではないか」という不安が強くなり、また、副鼻腔炎による顔の痛みで日常生活を満足に送れなくなるという精神的ストレスを感じました。
   その結果として、おそらく緊張型頭痛が出てきたのだろう、と思います。

   肩こりや首こりの直接の原因は分かりませんが、私が日頃不良姿勢をとり続けていたこと、副鼻腔炎になってから横になる機会が増え、動かなくなったことなど、いろいろと考えられます。

   後鼻漏にも神経質になって、その結果、食欲がほとんどなくなりました。抗生物質の服用で、胃腸の不調を来しました。特にグレースビットという抗生物質を服用してからのお腹の調子は、これまでに無いほどのものでした。

   結果、何か物を食べようと思っても,喉の奥の不快感が差し障りになるだけでなく、胃酸がこみ上げてくる逆流性食道炎のような胸焼けの症状もあり、次第に物を飲み込みにくくなり、たびたびゲプゲプしてました。
   それでも食べないと薬も飲めなかったので、お茶碗1杯を4時間以上かけて食べるようなことをしていました。

4  当時は、身体のすべてのバランスがおかしくなっていたと思います。心を病んでいたといっても過言ではありません。

   副鼻腔炎による顔の(奥の)痛みは、時間帯関係なく生じますから(俯くと痛みが酷くなると言われていますが、私の場合はどんな姿勢を取っても痛かったですう。)、とにかくそれがストレスでした。
   何かやろうと思っても、とにかく気になる顔や頭の痛み。その上、後鼻漏がひどくて何も食べてない。

   結果、どんどんおかしくなっていく。特に副鼻腔炎になって1週目から2週目にかけては、もう外出もしたくなくて、家の中で閉じこもるようなことをしていました。

5  私自身、もともとがさつなようで実は神経質で臆病、そしてネガティブ思考があったので、私のいわば心的な素因が私の症状を悪化させていたと言えるでしょう。

   以前も書きましたが、私が(心も)病んでいた頃は、とにかく一日中横になって、スマフォで「鼻 頭痛」「副鼻腔炎 直らない」「鼻腔 ガン」というようなキーワードで病気を調べまくっていました。
   ネットで病気を調べると、おきまりのように最後に「ガンの可能性があります」と書いてあるので、それを見て落ち込む、というパターンが定型化していました。情けないことですが、ダメなときの私は、そうやってどんどん心まで弱らせていたように思います。

6  副鼻腔炎それ自体は2週間ほどして完治したのですが、それ以外の緊張型頭痛だとか、全身の倦怠感だとか、動悸、胃酸がこみ上げてくるような食欲不振、下痢などは、なかなか治りませんでした。
   その改善のために、さらに数週間の期間が必要でした。

   しかし、私の症状を劇的に良くしたのは、やはり病院に行ったことでしょうか。特に頭痛外来に行って、頭のCTを撮影してもらったことが大きかったです。
   医師に「頭に問題はありません」と説明を受けた瞬間に、一気に目の前が晴れたような気分になりましたから。

   「自分は大丈夫なんだ」と教えられたことで、前向きになったわけです。と同時に、今まで「たかが頭痛」と思っていたものについて、頭痛外来の受診を通して、「頭痛の原因」「頭痛の症状」を教えてもらったことで、対策を採ることも可能になりました。これも大きな意味があったと思います。

   偏頭痛で苦しまれている方は、強烈な痛みでさぞおつらいと思います。
   私のように緊張型頭痛の場合は、何日も頭が締め付けられるように痛いので、強いストレスを感じておられると思います。

   私の場合は、以後とにかく肩こりの解消と日頃の姿勢を矯正することを徹底しました。特に筋肉のこりは、動かなければ動かないほど酷くなるので、肩こりが酷いからといってゴロゴロしていると余計に症状が悪くなります。
   そこで、できる限り動くことを意識しています。

   結果、ずいぶんと緊張性頭痛は解消しています。

6  以前も書いたように、ひどい肩こりや精神的ストレスのある場合は、頭痛解消のためにお薬を処方される先生もいらっしゃるようですが、私の場合は、医師から「原因がある限り、薬じゃ治らない」と言われて何も処方されませんでした。
   しかし、自分の日頃のちょっとした工夫により、頭痛のない生活を送ることができています。

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