暴力と体罰の概念をどう整理すべきか

 
            1  体罰の是非をめぐっては、ひとりびとり言葉の使い方が異なるために、議論がかみ合わないことがしばしばあります。

2  体罰は、いかなる場合であっても暴力です。しかし、同じ暴力でも、許される暴力と正当化できない暴力の2つがあることは認めなければなりません。(例えば、美容師さんがお客さんの髪を切る行為だって、ボクシングの選手のジャブだって、ぜんぶ広い意味では暴力又は暴行の概念に含まれています。しかし、これらの暴力は、いずれも社会的に相当なものとして正当化され、彼らは罪に問われることはありません。)

3  先に見てきた東京高裁を参考にして考えていくと、暴力と体罰に関する言葉の概念は次のように整理しておくべきでしょう。
叩く・つねるといった暴力を含む「有形力の行使」
●教師による暴行として程度を越えるようなものか
(YES)→学校教育法11条ただし書「体罰」(時として刑法208条「暴行」)
(N O)→教師の正当な懲戒権行使(学校教育法11条本文)

theme : 気になるニュース
genre : ニュース

体罰事件と裁判例

 
            「体罰」という言葉の問題点については既に書いたが、「体罰」事件に関しては、次のように整理して考えると分かりやすいと思う。

まず、「体罰」とは、(さまざまな定義があると思うが)罰として相手の身体に直接有形力を行使することであるから、形式的には、暴行罪として処罰されうる「暴行」に該当する。
(このように定義する限り、やはり学校教育法が禁止する「体罰」という言葉の概念は通常の用語例から離れることになるので、不適切で改正したほうが良い。)

しかし、教職員の場合、教職員には児童・生徒に懲戒を加えることが認められている(学校教育法11条本文)。

その教職員の懲戒権は、児童・生徒の健やかな成長とその将来のために、教育者として指導するのに必要な行為を含むから、その中に有形力の行使(暴行など)が含まれることを認めて良い。

そこで、形式的には「暴行」罪を構成する教職員の行為が、教職員に認められた懲戒権の範囲を逸脱し、又は、濫用するものかどうか、が問われることになる。
もし、教職員に認められた生徒等に対する懲戒権の限界を超える程度の悪質な有形力が行使された場合は、刑法上処罰に値する「暴行」があったものとして、犯罪の成立を認めて良い。

もう少し簡単に整理すれば、体罰事件は、次のように検討していくと分かりやすい。

(1)教師の暴行等によって、児童・生徒を負傷させたか(因果関係の問題)
  =暴行→負傷の関係が認められれば、形式的には、教師の暴行等は、刑法で処罰される「暴行罪」を構成する(程度が重く、児童・生徒の生理的機能に障害を加えたときは、より法定刑の重い「傷害罪」になる。)。

  ↓(認められる)

(2)教師の暴行等は、教師の適法な懲戒権の行使として正当化できないか
  =学校教育法11条本文は、教師に児童・生徒に対する懲戒権を認めている。この懲戒権には、時として有形力の行使も含まれるとされているから、ケース次第では、教師が児童・生徒に平手打ちをするなど暴力を振るうことが適法に行われることもあり得る(これを「正当業務行為」と言い、刑法上違法性が阻却されます。)。

  →(認められる場合) 暴行罪又は傷害罪(犯罪成立)
   (認められない場合)無罪(犯罪不成立)

この検討順序で特に判断を悩ませるのは、(2)であろう。

例えば、部活動の練習試合において、高校生である部員がミスをしたことによる罰として、顧問が平手打ちを複数回行うことが「教師の懲戒権」の範囲内なのか、ということである。
もしこれが社会的にも認められない暴力ならば、もはや教師の適法な懲戒権の行使とは言えないから、この暴力を教師の正当な業務行為として適法視することはできない(したがって、その教師には、暴行罪や傷害罪が成立しうる。)。

ー ー ー ー ー

裁判所も、どこまで教師が児童・生徒に有形力を行使して良いのか、ということに頭を悩ませているようだ。
どこからどこまでの暴力が教師に認められるのか、明確な判断基準も確立しているわけではない。下級審レベルの判決を見ても、結局は、「さまざまな事情を総合的に考慮して決する」というスタンスだ。
この事実は、児童・生徒又はその保護者からすれば、教師からどの程度の懲戒を受けることを甘受すれば良いのか分からないことになるし(教師から犯罪に該当するほどの暴力を受けているのに、被害生徒は教師の適正な「指導」「懲戒」として我慢してしまう可能性もある。)、教師の側からすれば、どの程度、児童・生徒に指導することが認められるのか分からない(自分がよかれと思ってしたことが場合によっては暴行罪として罪に問われることもある。)。

* * *

次の記事以降から【いわゆる体罰事件に関する裁判例】を具体的に見ていきたい。

theme : 許されない出来事
genre : ニュース

tag : 体罰 大阪市 自殺 生徒 高校 暴力

誤報か?竹島領有権、ICJに提訴せず、との報道

 
            1月9日に、次のような記事が公開されているのを見て強い違和感を覚えた。

<竹島領有権、当面提訴せず…日韓関係改善を優先>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130109-OYT1T00689.htm?from=tw

<日本政府は、島根県・竹島の領有権問題をめぐる国際司法裁判所(ICJ)への単独提訴を当面、行わない方針を固めた。
 安倍首相は、韓国の
朴槿恵パククネ次期大統領との間で日韓関係の改善を目指しており、韓国の反発が予想される単独提訴は得策でないと判断した。>

   この記事では、安倍首相の考えとして、日韓関係を重視することによって、<沖縄県の尖閣諸島をめぐり圧力を強める中国をけん制する狙いもある>などと分析している。

   同趣旨の記事が朝日新聞からも出ていたので、私はすっかり記事の内容が真実だと信じ込んでいたのだが、Twitterにおいて、「誤報ではないか」とのご指摘をいただいた。

   それから自分でも調べて見た結果、確かに新聞記事のいう「当面見送り」というのは、事実と異なるのではないか、という疑いを持つに至った。

   その理由として、

第一に、上記読売記事では、閣僚や議員などの発言が一切引用されていなかったこと

第二に、同じように「ICJ提訴、当面見送り」を報じる韓国の中央日報日本語版では、岸田外相が「準備・検討をしている」とだけ述べた旨が報じられていたこと

第三に、1月9日現在、記者会見などの場において、岸田外相は「見送り」と明言したことがないこと

が挙げられる。

   特に重要なのは、外務省のHPの記述内容だと思う。外務省HPによれば、(韓国の中央日報が日本政府が提訴見送りを固めたとされる1月8日の)会見で、岸田外相は、朝日新聞の二階堂記者との間で次のようなやり取りをしている。

【朝日新聞 二階堂記者】
(略)一方で、竹島を巡ってはICJの単独提訴の問題があります。安倍政権ではどのような方針で臨むお考えでしょうか。提訴の時期を含めてお聞かせください。>

【岸田大臣】
 (略)ICJについて御質問がありましたが、このICJの提訴の問題については、今、準備・検討をしているといった段階にある、それに尽きると思っております。


   この記者会見でのやり取りを見るに、「当面提訴せず」という結論を導くことは困難だと思う。

   最低限言えることは、

・安倍政権としては、日韓関係を重視していること(岸田外相会見より)

・現在、日本政府が竹島領有権に関してICJへの提訴を「準備・検討」している状態であること(岸田外相発言より)

だけである。

theme : 韓国について
genre : 政治・経済

横田夫妻「解決できなければ他の国から日本は人間の命を大事にしないんだねと言われてしまう」

 
            横田滋さん(拉致被害者家族)
解決できなければ、他の国から、日本は人間の命を大事にしないんだね、と言われてしまう。
@平成24年10月8日開催の拉致被害者の早期救出を求める集会において

石原慎太郎(都知事):日本維新の会所属国会議員について

 
            石原慎太郎(都知事)
「そうそうたるメンバーが駆け込んで集まったならともかく、あの顔触れでは周りも失望するんじゃないか。橋下君自身が失望しているんじゃないか」
(2012年10月5日記者会見)

加えて
橋下君自身が(国会議員団に)失望してるんじゃないのとも発言。

ちなみに,現時点における日本維新の会所属国会議員は以下のとおり。

【衆議院】
松野頼久 元民主党
松浪健太 元自由民主党=比例
石関貴史 元民主党
谷畑孝  元自由民主党(その前は日本社会党)=比例
今井雅人 元民主党=比例

【参議院】
水戸将史 元民主党
小熊慎司 元みんなの党=比例
上野宏史 元みんなの党=比例
桜内文城 元みんなの党=比例

theme : 政治
genre : 政治・経済

tag : 日本維新の会 石原慎太郎 橋下徹

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