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オバマ大統領がBuddhistsと言わなかった理由はなにか

 
             少し更新が滞ってしまい,申し訳ありません。

 遅ればせながら,オバマ大統領の就任演説について,少々。

 私は眠い目を擦りながら,NHKのオバマ大統領就任演説を同時通訳を介して視聴しました。
 後日,私の周りでは「オバマはすごい!かっこいい!」と絶賛していますけれど,私個人は物憂げに演説を聞きました。
 あの場に集まった市民らと「We can!」などとシュプレヒコールするのかな,なんて予想していましたがしませんでしたね。

 あの演説については,日本でも多くの評論家らが,それぞれご立派な分析をしています。
 しかし私はこの演説を分析するほど,オバマ大統領が複雑難解なことを述べているとは思えませんでした。

 もちろん演説の中には<To the Muslim world>とイスラム世界や独裁国家に対しての彼の踏み込んだメッセージも含まれていましたから,分析する価値がないとまでは言いません。

 ですが,私は結局のところ,演説の全てがこの一節に表現されているように思うのです。

 <America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. >

 どういう意味かと申しますと,米国は数々の脅威を経験した。だから危機にある今こそ,米国で理想の国を作ろうと模索したピルグリム・ファーザーズPilgrim Fathersの精神に立ち返ろう,とオバマは演説で述べているのです。
 すなわち,オバマ大統領があの演説の中で述べた内容は,詰まるところ「米国建国の精神」を確認しただけなんですよね。

 彼は同演説の中でこう米国国民を鼓舞します。
 <With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. >
 希望と美徳をもって,凍て付く時代の潮流に今再び立ち向かい,いかなる嵐が来ようとも,これに耐えてみせよう。(拙訳)

 結局,今の米国には,最後にパトリオティズムしか残らなかったのでしょう。
 自分の国が全世界の理想を体現しているんだ。この国のデモクラシーは全世界に通じる普遍の価値なんだ・・・オバマ大統領の言っていることって,その程度のことなんだと,私は思います。

 もちろん優れた演説であることは間違いないと思います。具体的な名詞をわざと挙げず,抽象的ながらも,それとなくブッシュ元大統領や今回の金融危機において無責任な振る舞いをした会社の経営者を鋭く批判してみせたあたりは,この演説がいかに周到に,巧妙に作られたものであるかを示しています。

 ただオバマ大統領の就任演説を無条件に賛美しているかたには今一度考えて欲しいことがあります。
 私も,オバマ大統領が建国の精神に学ぼうと訴えていることは評価します。自分たちの歴史から学ぶことは本当に大切なことです。

 しかし考えてみてください。
 いくらオバマ大統領が建国の精神に立ち返ろうと諭したとしても,オバマ大統領自身<We remain a young nation>と認めているように,米国の歴史は日本に比べれば本当に短いものです。
 口は悪いですが,そんな浅い歴史を振りかざしてみせたオバマ大統領に,なぜこれほどまで日本人が歓喜しているんでしょう?

 オバマ大統領を「かっこいい」と言うのも結構ではありますが,「かっこいい」と言うだけでは何も得られませんし,そこからは何も生まれません。

 彼に倣って,自国の歴史を真摯に学ぼうとする謙虚な姿勢を身につけることが大切です。
 日本には,米国よりも遙かに長い歴史があります。祖先が困難にどのように立ち向かっていったのか,歴史はその試行錯誤の実験記録であって,歴史に学ぶべきことは大変多いものです。

 * * *

 ・・・と長々と書きましたが,これは実はただの前振りでございます(それと同時に,私の周囲にいるオバマLOVEオバちゃんへの不満のはけ口でもあります・笑)。

 このエントリで,上に関連して,皆さんにもお考えいただきたいことがあります。

 オバマ大統領就任演説で,大統領は次のように言いました。

 <We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers.We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth.>

 簡単に訳しますとこんな感じです。
 「私たちはキリスト教徒,イスラム教徒,ユダヤ教徒,ヒンドゥー教徒,そして無信仰者からなる国家だ。私たちはあらゆる言語と文化によって形成され,この地球のあらゆる場所から集合している。」

 で,同時通訳で聞いていた私ですが,この部分では流石にずっこけました。
 「キリスト教徒,イスラム教徒,ユダヤ教徒,ヒンドゥー教徒・・・無信仰者」?!

 え!仏教は!?え~~~!!!
 正直ビックリしました。スピーチライターの人,Buddhists(仏教徒)を書き忘れてるよっ!!

 しかし後々ゆっくり考えてみると,なんだか敢えてBuddhistを演説の中に入れてくれなかった気がしてきました。
 もちろん可能性としてはいろいろなものが考えられます。例えば・・・

 (1)単純にBuddhistを書く必要性を感じなかった。あるいは書き忘れていた。
 (2)Buddhist(仏教徒)とHindus(ヒンドゥー教徒)が実は同一のものだと勘違いしていた。
 (3)何らかの理由で,Buddhistを書けなかった。
 (4)私が考えすぎなだけだ。

 だとしても(1)はともかく,(2)は論外だろうと思います。
 さすがに勉強熱心だったオバマ大統領ですから,仏教とヒンドゥー教が同一のものでないことくらい知っているでしょう(知っていなかったとしたらリチャード・ギアが黙っていない・笑)。

 そうなると,おおむね(1)か(3)のどちらかだということになりそうです。
 ちなみに産経新聞のコラム(具体的な出典は後ほどチェックしておきます)では,Buddhistと言わなかったことについて,オバマ大統領が仏教徒の多い国々の存在を軽視,即ち,日本を軽視している証左ではないか,と危惧するものもありましたが,まあ,そこまでは言いません。私は。

 しかし先ほどネットを巡っていましたら,中には<中国からのプレッシャーではないか>という意見を述べるブログに巡り会いました。
 そのブログの著者は,Buddhistと言えば,未だ記憶に新しいTibetan Buddhism(チベット仏教)を聴衆に想起させることになり,ひいては中国への牽制と受け取られる可能性があった。だから演説の中でBuddhistとは言わなかった。・・・そのブログの著者はそう言うんですね。

 そのブログの言わんとすることはなんとなく分かる一方で,なんとなく陰謀論めいたものも感じなくもないですから,まあ,私も判断しかねるものがあるんですが,みなさんはどうお考えになります?

 なぜオバマ大統領の口からBuddhistという言葉が聞かれなかったのか。
 私はその理由が分かりません。これが杞憂に過ぎぬもの,すなわち(4)であればよいのですが。
 

tag : オバマ 米国 日本 就任 演説 中国 Buddhist 仏教 ピルグリム・ファーザーズ チベット仏教

母校で起きた悲劇 - 良き校風がこういう形で失われるのは残念だ

 
             中大教授刺殺:監視カメラ増設、今週にも
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090118k0000m040048000c.html?inb=rs

 中央大理工学部教授の高窪統(はじめ)さん(45)刺殺事件を受けて設置された同大対策本部(本部長・田口東(あずま)理工学部長)は17日、今週にも後楽園キャンパス内の監視カメラを22台増設することを明らかにした。これまではエレベーターや女子更衣室など数台があるだけだった。大学のホームページ上で警備の様子を定期的に一般公開することも始める。

 私は中央大学の卒業生。
 学部は違いますが,今回の事件には衝撃を受けています。

 中央大学の広報室が言うように,中央大学の校風は<自由で開かれた大学>。
 私もそんな校風が大好きでした(学生時代は自由な校風にかまけて遊びまくりましたが・笑)。

 だから,「監視カメラ設置」と聞いて,大学関係者の安全確保のためにやむを得ないと理解できる一方で,良き校風に相反するものとして残念に思いました。

 私が過ごしていた多摩キャンパスでは,監視カメラを設置しない代わりに,タテマエは「歩きタバコの取締り」でしたが,おそろいのパーカーを着た職員のかたがたが,校内中を見回ってくださっていました。
 見回りを担当していた職員だけでも何人いたでしょうか。多いときは10人以上いたんじゃないでしょうか。

 後楽園キャンパスでどのような防犯対策をしているのかは知りませんが,多摩キャンパスでやっていた(やっている?)職員の見回り。
 犯罪の抑止力として十分な効果があると考えます。
 後楽園キャンパスでも,ぜひ検討して欲しいところです。

 しかしどんなヤツが犯人なんでしょう・・・本当に許せません!

 * * *

 高窪教授のご冥福をお祈りします。
 私事で失礼しました。。

tag : 中央大学 後楽園キャンパス 多摩キャンパス 高窪統 事件

温情主義との決別を - 年越し派遣村

 
             TBSラジオ「アクセス」という番組で,田中康夫氏が次のように述べていました。
 以下は,実際に田中氏が述べられたことと完全に一致するかは自信がありませんが,可能な限りご本人が述べられた言葉のとおりメモしたつもりです。

 年越し派遣村。12月31日の日に日比谷公園で湯浅誠さんが行ってんだけど,私も一緒に手伝って,で,そのときに,いや,こういうことがあるのが異常なんで,あの,次の年の暮れにはこういうことがないようにしたいね,っていう挨拶をして。

 一緒にテントを貼るのを手伝っているときに,若い人たちも来て手伝っているときに,「おい!テントの張り,もっとこうやって広げんだよ,こうやんだよっ」って言っているオジサンたちが三,四人いるんですよ。

 で,私はその背後にいるプロ労働組合活動家のオジサマなのかな,と思ってたの。
 そしたら,実はその人たちは,いわゆる企業から突然クビ切られたとかではなくて,日々,まあ,ハンバの様な仕事をしていて,で,そのときは,聞きつけて「どうも日比谷公園に行くとメシが食えるらしいぞ」って言って来た人だったのよ。

 でも,その人達も早くメシが食いたいから「俺も手伝ってやるぞ,テントの張り方ならOKだ」って言ってやってくれる・・・のではなくて,その人達はそう言ってただ見てるわけ。
 この人達は,当然,「俺達は虐げられているんだから,お前ら若造のなんかボランティアで来た奴らが,田中も含めて,おい張れよ」って感じなのね。

 で,午後になったら,共産党の志井委員長ってのがきて,「ふんふん,素晴らしい具合だなあ」って言って,「こういうことがあってはいかん」ってお帰りになったらしいんだけども・・・

 で,まあ,そのときに湯浅誠さんが思い描いている年越し派遣村とは違うような形に,その彼や彼の周りの純粋な思いとは違う形でどんどん歯車が動いて言ってしまう気がして,私は違和感を感じたんですね。

 そして,今日になってみると,鈴木宗男さん,そのほかの野党の人たちがみんな集まって,真面目な顔をしてその人達の話を聞く。
 そして,私たちは生活保護の申請をします,って言っている。

 でも私は生活保護をするのが悪いと言うわけではなくて,やはり働くチャンス,人々に公正な,私は社会的な公正と経済的自由を同時に達成すると言っています。
 でも,民主党の人たちは公平って言っているんですよ。
 でも,ボクは公正と公平って違う気がするのね。

 そしてその生活保護を受けるということ,を本当に困窮して,あるいは,本当に身体が不自由で,というわけではない形だと,それが多重債務のなかで自己破産すればマイペンライですよ,っていう弁護士の人たちがそういうことを言う人がいて,多重債務を自己破産していった人と同じような具合が来てしようがない。

 私のメモが分かりにくかったので,文章も分かりにくくなってすいません。
 ただ田中康夫氏の仰りたいことはなんとなく分かるんじゃないでしょうか。

 私は田中康夫氏を全面的に支持するつもりはありません。彼の言うことを全て正しいなんて思ったことはありません。
 しかし彼のいう「公平」と「公正」は違う,との意見には従来から大賛成でして,最近の日本ではどうもこの違いが分かっていないような人たちがやれ「公平」だと口うるさく言っているように感じられるのです。

 * * *

 コレに関連して少し気になっていることがあります。
 新自由主義を批判している論者の一部に見られる傾向なんですが,日本国内に広がる自己責任論を否定した上で,それを労働者の責任がないことの根拠に用いている人たちが増えている,ということです。
 つまり会社から解雇された者には責任はない。全て雇用者が悪いんだ,という人たちです。まるで「社畜くそったれ」「フリーター万歳」の時代が戻ってきたかのようです(笑)。

 私は自己責任論を盲信するつもりは一切ありませんし,そのことは私がネオリベラリストでない一つの証明でもあると思うんですが,私は時には労働者の責任を認める,あるいは,企業の責任を認めない場合もあって然りだと思っています。

 自己責任(遠巻きに言えば資本主義における「自助の原則」)を一切否定した上で,労働者の責任を一切認めず,企業の責任のみ追及するその姿勢は,私の目にはまるでマルキストが独占資本論を語っているかのように映ります。
(ただ私がよくやっている左右のイデオロギー批判も,元はといえばマルキストがよくやることなんですけどね・汗)

 今年はなんとなく,ワーキングシェアとか,ベーシックインカムだとかが流行語になりそうな予感がしてきました。

tag : 派遣村 生活保護 マルキスト ベーシックインカム ワーキングシェア 日比谷公園

この程度の認識では自衛隊員の生命の安全を確保できない - ソマリア沖海自派遣

 
             最近よく話題になっている「ソマリア沖の海自派遣」。この程度の認識で派遣される自衛官の生命の安全が心配です。

 産経新聞。
 【麻生首相インタビュー詳報(4)完】ソマリア沖の海自派遣「自衛官襲う強盗いるかね」
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090110/plc0901102113009-n4.htm
 

海賊ですから。そういった、陸(おか)でいえば、陸でやって、陸上でいえば強盗ですから。そういうものから襲われるというのを何もしないで放置しているというのは、これは日本の国家として、なんとなく日本の船が襲われてなきゃいいんじゃないかという種類の話じゃないじゃないかねえ。世界中でみんなこれいろいろ海軍を出し、そういった取り締まりをやっているんであれば、日本もそれに参加して、まずは海上警備行動、やれる範囲がありますから、そういったもので出ていく。

 揚げ足取りみたいになりますが,ソマリア沖の「海賊」の実態を麻生首相は知らないのでしょうか。
 「陸でいえば強盗」・・・などというレベルではないことくらい知っておいて欲しいものです(怒)
 首相は「海賊」=「パイレーツ・オブ・カリビアン」とでも思っているのでしょうか。
 日本の新聞はなぜか「海賊」を「元漁師」と書いていて,みずから無知をひけらかしているのですが(笑),ソマリア沖で展開する「海賊」は準海軍。他国の軍隊に負けない装備と実戦訓練を積んだ組織犯罪のプロ集団です。

 少なくともそこに、なんていうの、自衛官が出てきてよ、自衛官に襲いかかる強盗っているかねえ、ふつう。

 もはや仰ることが妄想の域に達し始めている麻生首相・・・(笑)。
 この首相の認識は致命的かもしれません。この程度の認識で海自を派遣するわけにはいきません。

 で、撃たれた場合、撃ち返せるわけですから。そういった意味で、まずはそれでやって。

 いやいや,麻生首相(汗)。
 <撃たれた場合>って,撃たれちゃ困るんですよ。普通の軍隊なら撃たれないためにpreventionあるいはpreemption,つまり,予防的先制攻撃するわけで・・・。

 皆さんもご存じのように,日本の自衛隊は正当防衛状況下でないと具体的な武力行使ができないことになっています。すなわち,実際に隊員が撃たれるしかない。
 それなしには船体に威嚇射撃すらできないのが現状です。

 だからこそ国会は「現状で隊員の生命の安全が確保できるのか」を議論しているのであって,麻生首相は国会の議論の内容を理解しているのでしょうか。

 しかし、派遣される自衛官のことも考えたら、これは危険で、丸腰でとかいう話やら、よくある話でしたけれども、われわれはカンボジアにPKOを派遣したとき以来、殉職者も出しますんで、そういった意味では十分にそういったものを考えてやる配慮は、やっぱりそういった危険な地域に行かせる立場としては、そういったものを十分に配慮してやるのが当然だと思います

 ん・・・?<カンボジアにPKOを派遣したとき>の殉職者?
 まさか高田晴行さんのことを言っているんじゃないでしょうね?!高田さんは自衛官じゃないよ,麻生さん・・・

 ただ、時間的なことをいいますと、もうかなりあちゃこちゃ、あちゃこちゃになって、まだ日本人は襲われていないだろうとかなんとかいう種類の話ではないんじゃないかと私自身は思いますけれどもね。

 これも眉唾な話。麻生首相って,国際問題に疎いのでしょうか。
 <日本人は襲われてい>「る」んですよ!麻生さんっ!!ソマリアでは日常的に日本人や日本国籍の船が襲われていることくらい知らないのですか!(涙)

 海自をソマリア沖に派遣するかどうかの議論の前に,政治家たちのソマリアに対する認識を質したいものです。
 

tag : ソマリア 海上自衛隊 パイレーツ・オブ・カリビアン 海賊 麻生首相 高田晴行

弱者救済が不公平な一語に転化するとき - 派遣村に関する一連の行政の対応に関して

 
             <「住まいを」「働きたい」…派遣村から再出発への一歩>
 http://www.asahi.com/special/08016/TKY200901090306.html

 みなさんは「派遣村」というものをご存じでしょうか。
 ネット上では「派遣村」に関して賛否両論あるように思われますが,私個人としては基本的に支持してきました。
 もちろん一部で言われているように,「派遣村」の中には「派遣切り」の対象ではない人も含まれているようではありますが,一つのパフォーマンスとしては有効適切なものであって,問題はないと思っていました(一部行きすぎの点はありますが)。

 しかし私はこの朝日新聞の記事を見て,目を疑ったのです。
 

■250人に生活保護
 「派遣村」を出た元派遣労働者ら約250人に対し、東京都千代田区や練馬区などは9日までに、生活保護費の支給を決めた。

 「やけに支給決定が早いなあ」と思っていますと,次のような一文に目が留まります。

 通常は申請から決定まで2週間程度かかるが、千代田区は資産や親族の調査などは後回しにして支給を急いだという。

 いったいぜんたいどういった理由なのか,といいますと,朝日新聞は次のように報ずるのです。

 一斉に支給を決めた理由について、厚生労働省社会・援護局は「特定地域で大量の人がほぼ同時に保護申請したことや、入居施設の使用期限があるなど特別な事情があったため、集中的かつ優先的に支給した」と説明している。

  <特定地域で大量の人がほぼ同時に保護申請したことや、入居施設の使用期限があるなど特別な事情があった>??
 これは問題ではないでしょうか。
 生活保護を受けたいと望む者が一定の地域に押しかけ,集団的に保護申請すれば認められやすくなる,という前例を作ってしまったに外なりません。
 
 麻生政権下では,法治国家とは思えないことがまかり通っているように思われます。

 定額給付金だってそうです。法律の根拠があるわけではないのに,高額所得者に「遠慮」を求めている。法治国家ではあり得ないことです。

 恐ろしいのは,マスメディアがこの異常さに気づいていないということです。
 上の朝日新聞もそうです。千代田区の生活保護に関して,朝日新聞は無批判にこれを書いていますが,記者らは<特定地域で大量の人がほぼ同時に保護申請したことや、入居施設の使用期限があるなど特別な事情があった>ことにまず疑問を感ずべきでしょう。

 * * *

 結局,朝日新聞がここまで無批判に報ずるのは,派遣切り,貧困や格差といった問題をイデオロギーの問題として捉えているから,だと言えます。

 しかしこういうときだからこそ,われわれはイデオロギーを排して,冷静に事態を見つめなければなりません。

 もちろん「派遣村」に対して「かわいそうな人たちが集まっている」とセンセーショナルに捉えることが間違っているとは言いません。

 しかし先日,お正月に会った90歳を過ぎた祖父が言っていました。
 「働きたい人は職安に行ったらいいのに,なんで行かないのかね?」「なんでここにいる人は(カメラに)顔を出さないのかね?」。

 イデオロジカルなものを排して冷静に考えてみれば,昨日まで働いていた人たちが今日は生活保護を受け取っていることのおかしさに,そして,その背景にそういう人たちを「利用」しようとするイデオローグ(イデオロギーに凝り固まった人のこと)の存在に気づけるハズです。

 私たちは今一度,派遣切り,貧困,格差といった問題をイデオロギーの問題として捉えるのではなく,右派も左派も関係なく,一人の国民として問題解消のための知恵を絞るべきだと感じました。
 

tag : 派遣村 生活保護 法治国家 朝日新聞

もう戦争を思想で語るのはやめないか - イスラエルによる攻撃の前に沈黙する人たち

 
            毎日新聞
 <社説:ガザ地上侵攻 米国はイスラエルを止めよ>
 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090107k0000m070136000c.html

 これは自衛のためだと言って殴り続ける。血まみれになった相手が抵抗したと言っては、また馬乗りになって殴る。しまいには、こぶしだけでなくバットやゴルフクラブでも殴り始める。通行人は見守るだけ。警察官は「自衛のためだから仕方がない」と澄ましている−−。
 空爆に加え地上作戦が始まったガザ(パレスチナ自治区)で起きているのは、そんな出来事ではないか。国連も含めてイスラエルの軍事行動をすぐに止められる国や機関はありそうにない。時に世界の警察官役が期待される米国も、「イスラエルは自国を守る決断をした」(ブッシュ大統領)と同盟国を擁護する。

 毎日新聞の社説を読んで思ったのは,毎日新聞も<イスラエルの軍事行動>に反対してはいますが,結局イデオロギーでしか戦争を語れていない,ということです。

 しかも毎日新聞の社説が「オバマ」を一言も触れていないのには驚きです。「初の黒人(アフリカ系)大統領」に対して,批判することが人種差別にあたるとでも思っているのでしょうか(汗)。
 金のための戦争を好んでしてきたブッシュ大統領に対して,米国の民主党はイデオロギーで戦争に関与してしまう恐ろしさがあります(米国の民主党が平和政党だと信じている日本人が多すぎます・涙)。

 AFP通信。
 <イスラエル国防相が攻撃を正当化、オバマ氏のコメントも引き合いに>
 http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2553128/3639910

 同国防相はバラク・オバマ(Barack Obama)米次期大統領が2008年6月に、日常的にハマスの標的となっているイスラエル南部スデロト(Sderot)を訪問した際のオバマ氏の言葉を引用した。国防相によるとオバマ氏は、「2人の娘たちが眠っている間にわたしの家に向かって誰かがロケット弾を発射するとしたら、わたしはどんなことをしても彼を止めるだろう。イスラエルの人たちも同じことをすると思う」と語ったという。引用後、バラク国防相は「オバマ氏はこう述べた。わたしたちがやっていることはこれと同じことだ」と述べた。

 このAFP通信の報道を,日本のマスメディアはどこも表立って報じていません。(もし見つけたらおしえてくださいね。)

 私のブログでもかつて取り扱ったことがありますが,オバマ氏は親イスラエル団体との蜜月が伝えられており,大統領選挙中も何度もオバマ氏はイスラエル関係者と会談しています。
 そういった情報を総合的に考慮すれば,オバマ氏の発言がイスラエルによって攻撃の正当化根拠に使われたことも納得できますし,また,以下のオバマ氏の対応も,イスラエル側は攻撃前から既に予測していたでしょう。

 朝日新聞。
 <ブッシュ大統領、ハマスを批判 オバマ氏論評せず>
 http://www.asahi.com/international/update/0106/TKY200901060140.html

ワシントン入りしたオバマ次期大統領も記者団からガザ情勢についての見解をただされたが、「外交に関する限り、現職の大統領は常に1人だけという原則を順守するのが大切だ」と述べ、就任前の論評を控える姿勢を示した。

 これは単に口実に過ぎないでしょう。少なくとも米国国外ではそう見られています。
 しかも恐ろしいのは,Al Qaeda(アルカイーダ)のザワヒリがオバマ氏の対応の「怪しさ」に気づき始めている,ということです。

 日刊スポーツ。
 <「オバマがガザ住民を殺している」>
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20090107-447684.html

 国際テロ組織アルカイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者は6日、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ侵攻について「米大統領就任前のオバマからパレスチナ住民への贈り物」「オバマがあなた方の兄弟であるガザ住民を殺している」などと批判する音声声明をウェブサイト上に発表した。
 イスラエル軍のガザ侵攻について、同容疑者をはじめアルカイダ系組織が声明を発表するのは初めて。また今回の声明は、テロ対策などブッシュ現政権の対外強硬政策を転換するとして、オバマ次期政権を歓迎する声も出ているアラブ、イスラム世界に対し警戒を呼び掛け、明確な対決のメッセージを示した。

 ー ー ー
 少し話は変わりますが,日本国内で平和主義者を自称していた人たちがイスラエル軍の攻撃について沈黙を続けているのはどういうわけなのでしょうか。

 イスラエル軍がクラスター爆弾を使用したとの情報も流れています(他にもウィリーピートを使用した可能性があります)。

 クラスター爆弾廃止条約締結を,小躍りするように喜んだ「平和主義者」らはなぜ抗議しないのでしょう?それこそ憲法9条の精神を,世界に広めるための絶好の機会じゃないですか?

 結局,彼らもまた,廃止条約をイデオロジカルな視点から賛成していただけなのでしょう。
 そもそもクラスター爆弾を初めから「非人道的兵器」と呼んでいる時点で,イデオロジカルなものでいっぱいなのですが(笑)。

 イデオロギーで物を語る場合,欠落するのは現実です。

 私は前から申し上げていることではありますが,例えば,「核」を廃絶したとしても,核兵器を作る知識・経験・技術は必ず残存します。つまり,核廃絶後も核存置前と変わらぬ脅威がそこに存在してしまうわけです。
 世界が核廃絶したとしても,もしかするとテロリストが核兵器を生産する技術を手に入れるかもしれません。そのときの国際秩序は誰が護るのでしょう。

 だから,イデオロギーで脳を束縛された彼らは,国内のこういった動きに無頓着であり続けます。

 讀賣新聞。
 <クラスター爆弾に代わる精密誘導弾に66億円>
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081220-OYT1T00559.htm

 政府は20日、自衛隊が保有するクラスター(集束)爆弾に代わる精密誘導弾の整備費について、2008年度第2次補正予算案に約60億円、09年度予算の財務省原案に約6億円をそれぞれ計上した。
 クラスター爆弾禁止条約に同意したことに伴う措置。

 イラク戦争のときは,すすんで人間の盾としてイラクへ向かっていたかたがたは何をしているのでしょうねえ・・・(ため息)

tag : イラク クラスター爆弾 イデオロギー イスラエル オバマ 毎日新聞

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