日本郵政新体制発表:評価がさまざまなのは当然の話

 
             日本郵政の新体制が発表された。マスメディアは「亀井=小沢の意向が強く反映された」などと報じている。

 日本郵政の新体制を見て、みなさんはどのようにお感じになったであろうか。

 私は未だにどのように新体制を評価してよいのか迷っている。ことが大きすぎるからだ。

 これからの日本の郵政を考えるに必要な視点はいくらでもある。

 ユニバーサルサービス。

 郵便局員の雇用問題。

 金融問題。

 だから、良い悪いはともかくとして、「天下り」批判一辺倒の世間は、日本郵政の新体制を適切に評価していない、ということだけは言えるだろう。
(むろん日銀人事であれだけ「天下り批判」を続けた民主党に対して「言っていることが違うじゃないか」という批判はあり得なくはない。民主党は「天下り批判」一辺倒だったかつての姿を率直に省みるべきだ。)
 というか、すべての公法人(一部は天下りを受け入れている)の金融資産の合計をもってしても、日本郵政グループの金融資産の10%に過ぎないのだから、日本郵政そのものが最大規模の天下り組織に転じないわけがない(これは批判ではないですよ。それだけの規模があるのだから、どこかで天下りになるのは必須でしょう?)。

 今の民主党政権に必要なのは、デューデリジェンスではないか。

 残念ながら今の民主党はノウハウがない。各大臣がそれぞれの知識と思考で物を語るから、憲法の求める「内閣の統一性」はまったく確保されていない。
 政権一年生という意味では、それは当然だし、しかたがないとも言えるが、だからこそ、民主党は慎重に動いて欲しい。
 迅速さを求めるあまり、日本郵政を、特定の政治家のためだけの玩具にするようなことがあってはならない。

 今回、私は、現政権の掲げる「民営化凍結」が、民営化を一時中止して、時間をかけて日本郵政の進むべき方向性を見極めるための時間を確保するためにある、と善解することにした。
 新体制発表段階で、良い悪いの評価はひとまず差し控えられるべきだろう。

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theme : このままで、いいのか日本
genre : 政治・経済

tag : 民主党 日本郵政 亀井静香 郵政民営化

〔外国人参政権〕実現可能性高まる

 
            ○ 「悲願の」外国人参政権実現へ
 以前より取り上げていた「外国人参政権法案」が現実に提出される運びとなった。どうやら公明党が主導して提出するようだ。
 まずその前提として、各政党で、賛成と反対がどのくらいの分布でいるのかを確認しておこう。

民主党>当選者308人

(賛成)184人 (反対)35人 (保留)57人
<社民党>当選者7人

(賛成)7人 (反対)0人 (保留)0人
国民新党>当選者3人

(賛成)0人 (反対)1人 (保留)1人
自民党>当選者119人

(賛成)8人 (反対)60人 (保留)42人
公明党>当選者21人

(賛成)19人 (反対)0人 (保留)0人
<みんなの党>当選者5人

(賛成)0人 (反対)0人 (保留)3人
<新党大地>当選者1人

(賛成)0人 (反対)1人 (保留)0人
<新党日本>当選者1人

(賛成)0人 (反対)0人 (保留)1人
<日本共産党>当選者9人

(賛成)7人 (反対)0人 (保留)0人
<無所属・諸派>
当選者6人 *新党大地は諸派に含めていません。

(賛成)3人 (反対)2人 (保留)1人




 公明、外国人の地方参政権付与法案を提出へ
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090926-OYT1T00802.htm

 公明党の山口代表は26日、静岡市内で記者団に、永住外国人に地方選挙権を付与する法案を10月中下旬にも開かれる臨時国会に提出する方針を明らかにした。[…]
 同法案を巡っては、民主党の小沢幹事長が19日、李相得(イサンドゥク)・韓日議員連盟会長に次期通常国会への提出に前向きな姿勢を明らかにした。同法案成立に向けて「共闘」が成立すれば、公明党が野党に転落して以降、初めて民主党と連携する機会となる。
 ただ、民主党内でも、慎重派と積極派が対立しており、意見の集約は図られていない。山口代表は連携について、「民主党がどういう政策決定をするかは定かでない。否定的な意見もあるようなので、よく見定めて検討していきたい」と述べるにとどめた。

 この動きは、ある種の公明党による民主党へのラブコールと見るのが素直だろう。
 大敗を喫した公明党が再び政権にありつくためには、民主党の気を惹く以外に手段はない。外国人参政権は、公明党と民主党の共通の政策である。民公が共闘するきっかけを作るには、外国人参政権は絶好の機会なのだ。

 大手新聞社の調査を参考に私がまとめたところ外国人参政権の付与に賛成の議員が衆議院で間違いなく過半数を超え、態度保留の者が賛成に回れば、容易に3分の2以上の賛成を得ることができる。すなわち、提出されれば、成立するのはほぼ間違いない。

 あらためておさらいをしておこう(具体的数値はこちらのエントリを参照していただきたい。)。

 読売新聞は民主党内には賛否あると言うが、その実質は過半数以上が賛成、態度保留を合わせれば、民主党内だけでも賛成は3分の2を超える
 自民党は反対者と同じくらい態度保留も多く外国人参政権というナーバスな問題について、無関心な議員が多いことが分かる。加藤紘一氏など有力議員が外国人参政権に賛成と述べていることなどを考えると、態度保留者が賛成に流れてもおかしくない。

 法案の通過を決める上で、見過ごせないのは、公明党だ公明党は衆議院で21人の当選者を出したが、ほぼ全員が外国人参政権付与に賛成している

 その他の政党もおおむね賛成者が多いので、それらの数を合わせれば、衆議院で3分の2以上の賛成を得ることができよう(つまり、参議院で否決されても、衆議院の優越を使って、衆議院が3分の2以上の賛成で再議決すれば、法案は成立するのである。)。
 
 私は未だに外国人参政権を付与する積極的理由を見出していないので ー 永住外国人が「税金を払っているから参政権を付与するべきだ」という論調が強いが果たしてそうだろうか?もし彼らが言うように納税と参政権に牽連性ないしは対価性?があるのであれば、税金を払っていない日本国民から参政権を奪うことができることになる。それはどう考えてもおかしい。 ー ここに私は明確に反対の立場を表明しておきたい
 別にこれは外国人を排斥しようと言っているわけではない。最高裁平成7年2月28日第三小法廷判決が示すように、国民主権を採用する日本国憲法の下において、日本国民のみが参政権を有するのは当然の話であって、これは地方参政権においても異なるものではないのである。
 なぜ、外国人参政権が必要なのか・・・私はそれを合理的に説明したところをまだ見たことがない。

 今のところ、上記「外国人参政権法案」を阻む策は、民主党の数少ない37人の反対派と、反対派の多い国民新党、そして世論の力だけである。

 特に国民新党は明確に反対を表明する議員も何名かいるため、連立を組む上で、民主党執行部は国民新党と内部の賛成派との間で板挟みにあうのは避けられない。

 しかし、それはまだ楽観的な展望で、実際、国民新党もどこまで反対を貫き通せるかは不透明だ。今のところ、国民新党の興味は郵政にあり、外国人参政権には向いていない。「そこまで反対するほどのものではない」という政治判断に至ってもおかしくない。

 世論については、ネットでは関心が高くても、実社会では無関心な者も多い
 マスメディアは、外国人参政権についてほとんど報じることもしていないから、国民が知らぬまま、外国人参政権付与が決まっていた・・・などという事態も十分に考え得る。

 残念なことに、まずは、多くの国民に外国人参政権法案が提出されようとしていることを知っていただくことから報せなければならないようだ。

 みなさんは、公明党が外国人参政権法案を提出しようとしていることについて、どのようにお考えになるだろうか。

〔追記〕10月30日に、公明党は、民主党内で同法案提出の動きがあるとして、臨時国会での提出を見送る方針を明らかにしました。
次回更新:今週中には一回以上エントリします。

theme : 外国人参政権問題
genre : 政治・経済

tag : 外国人参政権 民主党 公明党 小沢一郎 自民党 国民新党 加藤紘一

民法上の成年者を「18歳に」

 
             法務大臣の諮問機関である法制審議会が「成人の年齢を20歳から18歳に引き下げるのが適当」として、法務大臣に答申した。

 関心の強いかたも多いと思います。しかし、これによってどういうことが起きるのか、そして、現行法がどういう規定になっているのかを知っている人はあまり多くはないでしょう。

 民法は成人の年齢を20歳としています。

 第4条(成年)年齢20歳をもって、成年とする。


 そして、20歳に満たない者を「未成年者」とし、未成年者のする法律行為(売買契約など)について、以下のような規定を置いています。

 第5条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。


 このblogは、司法試験受験生応援ブログではないので(笑)、専門的な解説は省きますが、要は、未成年者は自分一人で有効な契約等を締結する能力がない、ということです。だからこそ、法定代理人(親など)の事前の同意がなければ、有効に契約を結べないのです(ただし、ガス・水道供給契約などは別です。)。

 仮に、成人年齢が引き下げとなれば、18歳以上の者が自由に契約等の法律行為を行いうるようになります。
 答申でも指摘されていますが、これにより、18歳であっても自由に契約を締結することができるようになりますから、悪質業者の餌食になるおそれもありますし、適切な判断を下すことができずに無計画なローン契約を締結してしまう、などということも考えられます。

 一方で、成年となる年齢を2年早めて18歳以上(高校卒業程度)とすることによって、社会参加の時期が早くなるので、より大人として、社会人としての自覚を早期に持てるようになるのではないか、と言う人もいるようです。

 自由を認めることは、同時にそれに伴う責任・リスクを負わせる、ということです。

 私は、20歳以上の者であっても、自分の自由を行使する一方で、それに伴うリスクを真に理解して、これを引き受けている人は決して多くはないと感じています。
 ですから、仮に成年に達する年齢を2年早めることで、彼らに社会人としての自覚を早期に目覚めさせることが可能なのであれば、それはそれで賛成できなくもありません。

 ですが、彼らが社会人としての自覚を持つかどうかという問題と、民法上の成年を何歳にするかどうか、という問題とを連動させて考えるのはどうかなあ、と思っています。

 今回の答申では、「成年に達する年齢を引き下げること」イコール「社会人としての自覚を持たせること」と考えているようですけれども、これらの問題は、彼らが置かれた社会的環境や教育状況によるところが多いような気がします。

 法律によってこれらを解決しようというのは、どうかなあ。順番が逆な気がしますね。
 

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tag : 民主党 成年 民法 改正 千葉景子 法務大臣 自由 責任 リスク

岡田外相:天皇陛下の「おことば」に意見するも・・・

 
            もう少し民主党政権は、天皇制の仕組みから勉強されたほうがいいかもしれません。

官僚的発想で同じ表現=お言葉、「陛下に申し訳ない」−岡田外相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009102300871

 岡田克也外相は23日夕の記者会見で、天皇陛下が国会の開会式で述べるお言葉の在り方を見直すよう提起したことについて、「無難に対応しようという官僚的発想で(お言葉が)同じ表現になっている。わざわざ国会までお出かけいただいているのに、陛下に申し訳ない」などと説明した。
 外相は「国事行為に準じるので、『あまり政治的にならないように』という配慮が行き過ぎた結果、(お言葉の内容が)繰り返しになっている。ある意味で内閣の責任で、もっと陛下の思いが伝わる工夫がされるべきではないか」とも語った。

 お言葉の法的な位置付けは、憲法学上広く議論されているところであって、どこまでを天皇陛下の国事行為(憲法7条等)として是認できるのかどうか、という複雑な問題をはらんでいますが、それは置いておいたとしても、もはや野党ではないのですから、一閣僚の立場にある者が天皇陛下の「お言葉」の内容に干渉するかのような発言はすべきではなかったでしょう

 政権交代以降、一部の国が日本政府に対して天皇陛下の来訪を打診してきています。
 特に、来年、日韓併合100周年を迎える韓国の李明博大統領は、公式に来年の天皇陛下の訪韓を要請しています。これは明らかに韓国政府が天皇陛下を政治的パフォーマンスに利用する意図をもってのことです(岡田外相は「慎重に検討する」と前向きに受け取られかねない返答をしています。)。

 天皇陛下を政治利用したいと思っているのは、国内の勢力だけではありません。
 天皇陛下の政治利用をもくろむ他国の策謀に対しては、政府の原理原則を踏まえた毅然とした対応が必要です。

次回更新 10月29日予定

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tag : 民主党 岡田克也 外務省 外交 韓国 中国 天皇 おことば 内閣府 宮内庁

新党大地、みんなの党、そして、私(笑)

 
             遅ればせながら、毎日新聞が提供するサービス「ボートマッチ」をやってみた。
 いくつかの質問に答えるだけで、自分の考えと各政党がどれほど近い考え方なのかを数値をもって知ることのできるものだ(数値の算出方法は至って単純なものなので、正確な数字かどうかは疑わしいが・笑)。
 みなさんも試してみてはいかがだろうか。
 http://mainichi.jp/select/seiji/eravote/

 私の結果は以下のとおりであった。

 screenshot_01_20091022161441.jpg
 *クリックすると、画像を拡大表示できます。

 うーん、私と一番考え方が近いのは、新党大地みんなの党か・・・(しかも60%だけかよ・笑)。

 みなさんはいかがでしたか。

tag : ボートマッチ みんなの党 新党大地

押尾学被告を裁くのであれば、あなたはどうする?

 
            裁判員裁判の対象事件ではありませんが、みなさんの感覚では、被告人押尾の適切な量刑はどのあたりで考えるのでしょうか。

本件では、MDMAの使用(一回、一錠のみ)を被告人は認めています。MDMAが通称「エクスタシー」の違法薬物であることも知っている、と公判廷で認めました。

検察は、被告人押尾が肉体関係があった女性と性的快楽を得るために、MDMAを使用した、と主張し、懲役1年6月の実刑を求めています。
これに対して、弁護人は被告人押尾が本件犯行現場に居合わせた女性からMDMAの使用をすすめられたこと、仕事や家族を失い、本人が父親と共に社会復帰を目指したいと思っていることなどを理由に執行猶予を付けるよう求めています。

両者に見解の対立が見られるところとしては、以下のとおりです。

1、どちらか薬物使用をすすめたのか

2、女性と会う前に被告人押尾が送ったメールに「来たらすぐいる?」と送っていることの事実的意味
→検察は「来たらすぐ【薬物を】いる?」と解釈(薬物使用の誘い)
 弁護人は「来たらすぐ【自分の体】をいる?」と解釈(性交渉の誘い)

あなたは実刑にしますか、執行猶予にしますか。

まずは東アジア共同体の定義付けを

 
             民主党政権が強く押し進める「東アジア共同体」。

 ネット上には、「仲良くすることは良いことだ」とか、「EUみたいでかっこいい」という意見もあるようだが、以下は、そういった人たちに特に一読しておいて欲しい記事だ。

 大前研一氏のコラム「東アジア共同体」を語る前にEUの歴史を学べ
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091019/189495/

 「東アジア共同体」構想については、すでに(予想された)米国からだけでなくアジア各国からも不協和音が聞こえてきている。
 シンガポールのリー・シェンロン首相は10月3日、訪日(10月5日から8日)を前に日本のメディアのインタビューに応じて、「東アジアの地域協力は、米国など域外国との関係も重視しながら進めるべき」「東アジアは米国と経済、安全保障の面で強固な関係を保つべき」との考えを示した。
 要するにリー・シェンロン首相は、「鳩山さん、東アジアを定義してみてください」と言いたいのだ。岡田外相は先日カンボジアのシェムリアップでのASEAN会議に出席したが、そこでも東アジア共同体を売り込んでいる。ということは東南アジアも入るのか、ASEAN+3(中国韓国、日本)とどう違うのか、などでますます混乱が広がった。

 リー・シェンロン首相は、リー・クアンユー初代首相(シェンロン氏の父)と同様に、「米国あってのアジア」という関係式を理解している人物だ。彼の目には、日本が突如打ち出した「東アジア共同体」構想が次のように映るのだろう。「日本は覇権を求めているのではないか。今は親分の米国に頭が上がらないから、東アジアで威張りたいのではないか。それはかつて日本がたどった道ではないか」、と。

 大前氏が指摘するように、「東アジア共同体」が良いかどうかの前提問題として、「東アジア」とは何を指して言うのか、「東アジア」の定義付けの問題がある。
 米国を含めるものだとすれば、APECと何一つ変わらなくなるし、東南アジア諸国を広く含めれば、ASEAN+3と異ならなくなる。

 仮に、そうではなくて、日中韓だけの国家共同体を創設しようというのであれば、今度は東アジア共同体を創設する意味が無くなる。

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genre : 政治・経済

tag : 大前研一 東アジア共同体 岡田克也 東アジア 国家共同体 中国 韓国 ASEAN

中国人の日本への個人旅行緩和へ

 
             中国人の日本への個人旅行緩和へ 年収要件などの緩和検討
 http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101801000298.html

 前原国土交通相は18日、中国の邵国家観光局長と名古屋市内で会談し、現在は富裕層に限定している中国から日本への個人旅行について、年収要件などの緩和を検討する方針を表明した。〔…〕
 年収要件以外にも、日本政府が指定した旅行業者しかビザ発給を申請できず、旅行後に中国の業者が帰国を確認し日本側に報告しなければならないなど制約が多く、交流拡大の障壁になっているとの指摘が出ていた。


 課題克服に向け情報提供実施~日中韓観光相
 http://www.news24.jp/articles/2009/10/18/04146032.html

 日本、中国、韓国の観光相が観光交流の拡大などについて話し合う会合が18日、名古屋市で行われ、前原国交相が出席した。
 会合では、新型インフルエンザなどの課題を協力して克服していくために情報提供を行うことなどで合意した。


 現在、中国人が国内を個人旅行するには、年収350万円以上ないとできないことになっています。中国人旅行客の不法残留がかなり増えているからです。
 前原大臣は、上記年収要件を緩和する方針を表明しています。

 不法残留を防止することと年収要件の関連性が今後の議論の対象になってくると思われます。

 なお、不法残留は出入国管理及び難民認定法違反(不法残留の罪)となります。

theme : 民主党・鳩山政権
genre : 政治・経済

tag : 中国 民主党 前原誠司 不法残留 年収要件

〔保守再生)そもそも日本に保守がいたのか

 
            ○〔保守再生)そもそも日本に保守がいたのか


 谷垣氏「鳩山政権は社会主義」 街頭演説で保守の理念強調
 http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101601000835.html

 自民党の谷垣禎一総裁は16日、横浜市などで街頭演説した。鳩山政権が掲げる子ども手当創設や公立高校の実質無償化などの施策に関し「ゆとりのある人は自分で頑張らないといけない。社会主義のような国を目指しているのではないか」と批判し、同日初会合を開いた党政権構想会議で保守政治の原点に立ち返り基本理念づくりを進める考えを示した。



 「日本解体を阻止せよ」保守派議員が総決起集会 政権への批判続出
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091017/stt0910171934004-n1.htm

 【正論】衆議院議員、弁護士・稲田朋美 保守の旗を立て道義大国めざす
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091016/stt0910160315000-n1.htm

 そのために、1つは立党の精神に立ち戻って「道義大国」をめざすと宣言すること、2つ目はポピュリズム(大衆迎合主義)からの決別、そして3つ目は「伝統と創造」の理念に基づいた保守の旗を立てることである。



 「保守」なんて、そもそも日本にあるんですかね?

 そこで使われる「保守」とは何を指すのだろうか?エドマンド・バークのような保守主義のこと?
 それに、保守すべき「伝統」とは何か。なにをもって「伝統」というのか。(なお、一般に保守と呼ばれる人々は、明治維新の日本の姿を「伝統」と言っている人が多い。)

 たとえば、上記保守派議員らの総決起集会は、夫婦別姓に反対するデモをおこなったというが、民法制定前の日本は「夫婦別姓」であった。
 夫婦同氏になったのは、民法制定以降の話である。

tag : 自民党 民主党 保守 夫婦別姓

あの追悼演説に込められた思い

 
            先日、帰りの電車の中で、ニュースを見ていたところ(いえ、普段からこんなことばっかりはしていませんぜ。)、関連リンクに、ふとあるblogを見つけた。
 そのblogにアップされたエントリには次のように書かれていた。

 故人への追悼を述べる際には、ネガティブな意味合いを込めた侮蔑や中傷、毀損に資することは厳に慎むべきであり、大人、社会人としてのデリカシーがそこに機能しなければ、ご本人の人格と品位が疑われかねません

 出典『博士の独り言

 これを見て、私は国会での、ある出来事を思い出した。尾辻秀久さん(自民党)による山本孝史さん(当時、民主党)の追悼演説である。

 国会で追悼演説は毎年のように行われているけれど、これほどまでに魂の込められた演説を私は他に知らない。

 先日、ある与党議員が、中川昭一元財相や軍事評論家の江畑謙介さんがお亡くなりになって「死人に口なし」になったことを良いことに、好き放題blogで書いている、と人づてに聞いた。

 私の死生観を押しつけるわけではないが、相手が亡くなってからその人の人格を咎(とが)めるようなことを言うのって卑怯じゃないだろうか。


 私もまた、おおかたの人がそうであるように、死者に鞭を打つようなことは慎むべきだ(死後まもない人の場合は特に)という考えには大いに賛成だ。(そもそも、このような認識が国民の間で共有されているから、我が国で死刑制度が存置されているのである。)


 短い一生の中で、論敵と呼べる相手と正々堂々言論の世界で勝負すればいいのに、どうもこの与党議員は、卑怯なことに、相手が口を利けなくなった途端に、やれ「不自然な死は多く「金」の問題と関係がある」とか、「擬似専門家」などと根拠のないことを言って、死者の名誉を傷つけている。


 死者の名誉は法律上保護された利益であることくらいは知っておいてほしいものだ。
(民事では『落日燃ゆ事件』東京高判昭和54年3月14日判時918号21頁。また、刑事では、刑法230条2項。)

 また、立派な巨大与党に所属する国会議員の一人なのだから、最低限、死者に対して物の言い方というものを弁(わきま)えるべきだ。でなければ、これまで自公政権に対してしてきた「失言」批判がブーメランとして返ってくることになろう。


  
  

theme : これでいいのか日本
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tag : 民主党 自民党 博士の独り言 尾辻秀久 山本孝史

民主党:年金問題調査に使う派遣労働者を3年以上雇用せよ

 
            民主党年金問題調査に使う派遣労働者を3年以上雇用せよ

 日本経済新聞。
 長妻厚労相、製造業派遣は原則禁止 年金記録も再調査
 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090918AT3S1703317092009.html

 長妻昭厚生労働相は17日の記者会見で、「製造現場への労働者派遣は原則禁止する」と述べ、労働者の派遣規制を強める考えを示した。ただ、「専門業務は例外だ」との認識も示した。年金記録問題については、死亡したと推定される人など、前政権が「一定の解明が済んだ」としてきた記録の再調査に乗り出す方針を明らかにした。
 派遣規制の強化については、「専門家を交えて検討するのも欠かせない」と語り、審議会による議論などを進めていく意向を示した。年金記録問題については、「国会で追及してきたがやはり不十分。サンプル調査を指示した」と語った。


 年金問題では、調査に派遣労働者を使うそうだ。

 雇用規制に躍起の民主党だが、今回の年金調査に派遣労働者を使う例を見ても分かるように、その根底にある彼らの<製造業への派遣はダメで、一般業務への派遣は可能だ>というロジックがいまいち分からない。

 民主党は「コイズミの規制緩和の反省を生かして雇用規制を強化しよう」と言いたげだが、実際、それだけの理由で雇用規制に打って出られるわけがない。

 雇用規制すれば現状は打開できるか、と言われれば答えはNOとせざるを得ない。

 このようなことで民主党を皮肉るのはあまり良いことではないかな。

 しかし、前にも書いたように、今一度考えて欲しいことがあるのである。
 これまで「フリーターこそ最高の生き方だ」とか、「会社に束縛される正社員なんて嫌だ」と言って、雇用規制緩和を求めてきたのは、今では「プレカリアート」だの、「階級闘争」だのと言ってきた人たちではなかっただろうか。
 正社員なんて、会社に束縛されて、一生を終えていくだけだ、だったら自由な働き方があっていいじゃないか・・・そう言っていったのは誰だったか。

 今でこそ「あれはコイズミのせいだ」とおおかたの人は言っているが、それよりも前から規制緩和を求めてきたのは、日本型雇用を批判し、「社畜」という言葉を流布していた人たちである。

 * * * * *

 社民党が言う「非正規を正社員に」というスローガンも、雇用主の側に何らかのインセンティブがなければならない。
 企業の賃金原資が底をついているにもかかわらず、有期雇用をやめて、正社員を雇うわけにはいくまい。彼らがよく口にするユニクロだって、人材のエンクローズという戦略的意図があったからだ。

 そこで、いま、民主党がすべきなのは、年金問題調査にあたった派遣労働者たちを3年以上雇用することだろう。3年経過する前に雇止めも、中途解約もしてはならない。


[追記]
 ところで、国民総背番号制に頑固に反対し、「徴兵制に繋がる」とか、「軍国主義の再来だ」などと言っていた連中が、民主党が政権をとった途端、「社会保障に限ってなら、別にいいかも・・・」などと言い始めたのは興味深いですねえ。。

theme : 民主党・鳩山政権
genre : 政治・経済

tag : 派遣 社畜 民主党 長妻昭 厚生労働省 年金

記者クラブ開放の話はどこへいった

 
            ○ 記者クラブ(Kisha-Club)開放の話はどこへいった

 報道は常に「国民の知る権利」に資するものであるよう務めなければならない。
 にもかかわらず、行政機関ないし公的機関が記者クラブに部屋を無償で提供し(最近は電気代などは負担しているようだが)、記者らは足を運ばずに行政の垂れ流す情報をそのままうのみにして記事に書いているのが現状だ。
 行政の垂れ流し記事をそのまま記事にしているため、それが朝日新聞だろうが、産経新聞だろうが、報じる内容はほとんど異ならない。

 その構造の実質は、大本営発表と異なるところがない。大マスコミは、官僚の御用記者となり、統治権力の監視というマスメディアの存在理由を問うべき事態に陥っている。朝日新聞風に言えば、記者クラブの存在は「軍靴の足音が聞こえてくるようだ」、である。

 そのような、いわば談合機関に属しているせいか、ばかばかしいことに、報道各社の多くが「特落ち」*を恐れているらしい。もはや記者クラブ内で健全な競争原理が働く余地はないのだろう。

*特落ち=新聞・雑誌などで、複数の他社が載せたトクダネを載せ損なうこと。(大辞林第二版)

 国境なき記者団のサイトで、毎年「報道の自由度ランキング」が掲載されているが、日本は世界で30位前後と順位が低い。その主な理由は、記者クラブという閉鎖的な制度を世界で唯一維持していることだ、とされる。。
 なお、日本語がそのまま英語になった例として、Hentai(変態)とか、Gyosei-Shido(行政指導)といったものがあるが、記者クラブももはや英語で通用する言葉になってしまった。その珍しさ故のことなのだろう。
 <Kisha club From Wikipedia, the free encyclopedia>
 http://en.wikipedia.org/wiki/Kisha_club

 民主党は当初、記者クラブの開放を主張して、政権奪取前はフリージャーナリストや海外メディアを会場に入れた状態で会見をおこなってきた。
 だが、政権が誕生した9月16日に行われた会見はフリージャーナリストを排した状態でおこなわれ、記者クラブの開放とはほど遠い状態になっている。

 それ以後、唯一、岡田外相が記者クラブを開放した状態で記者会見をおこなう方針を明らかにしただけで、他の閣僚はそれに従う姿勢を見せていない。

 マスメディアもほとんど報じぬままだ。メディア関係者も、いまだに記者クラブを開放すれば、報道の自由が侵されてしまう、などと言っている。

 個人的には、記者クラブを開放したら、取材ができなくなるようなマスメディアは潰れてしまえばいい、とおもう。
 その程度で何も報道できなくなるようであれば、もはやその報道機関はマスコミではない。

*次回更新:近日以内

theme : 報道・マスコミ
genre : 政治・経済

tag : 記者クラブ マスコミ 民主党 自民党 鳩山由紀夫

ウィニー裁判:大阪高裁の判断は人々に行動の自由を保障するに違いない。

 
            今さらな感がありますが、大阪高裁のwinny開発者の無罪判決について、少々書きたいと思います。
 国民の司法参加が叫ばれる今日にあっては、なるべく平易な形で法律解釈の説明をしたいと思います。

 ウィニー開発者に逆転無罪
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091008/trl0910081009002-n1.htm

 ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を開発・公開してゲームソフトなどの違法コピーを助けたとして、著作権法違反幇助(ほうじょ)罪に問われた元東大大学院助手、金子勇被告(39)の控訴審判決公判が8日、大阪高裁で開かれた。小倉正三裁判長は、罰金150万円(求刑懲役1年)とした1審京都地裁判決を破棄、金子被告に無罪を言い渡した。
 ウィニーをはじめとするファイル共有ソフトを用いた著作権侵害は増え続けており、開発者の刑事責任を認めるかどうかが注目されていた。1、2審を通じた争点は、ウィニーの開発が著作権侵害目的だったかどうか、面識のない利用者の違法行為に対するソフト開発者の幇助罪が成立するかどうかの2点だった。

 まず、この事件のポイントをおさえておきましょう。

1.winnyを用いた著作権侵害は後を絶たない。

2.しかしながら、winny自体は有用なソフトであって、十把一絡げに著作権侵害を幇助するためのソフトだと考えることはできない。

3.winnyによる著作権侵害の実態はまだ客観的に明確な形で把握されているわけではない。


4.被告人(金子さん)は、winnyというソフトを不特定多数に提供したに過ぎない。


5.winnyをいかなる形で、いかなる用途に用いるかは、ひとえに利用者個人の選択に委ねられており、被告人は利用者の意思を把握し、それを統制する立場にはない。


 マスコミは被告人が「違法コピーを手助けた」という前提で報道をしていますから、つい被告人は違法コピーを奨励したかのように思えるかもしれませんが、それは一つの思いこみに過ぎません。

 大阪高裁の判断は、罪刑法定主義(犯罪と刑罰はあらかじめ法律で定めておかなければならない)に適う至極まっとうなものだったと考えます。
 どこからどこまでが違法なのか、これが明確になっていないと自由な生活を送ることができません。だから、犯罪が成立するためには、何が必要なのか、一般国民が分かる形で明確にされていなければなりません。それが罪刑法定主義の根本精神なのです。

 本件でも同じことがいえます。著作権侵害に使われているソフトを作った者が、どこまで責任を負わなければ行けないのか、どこから罪になり、どこまでが罪にならないのか、ということです。
 
 大阪高裁は、被告人に罪が成立するためには、利用者に違法な形での利用を勧める認識で、ソフトを提供した場合にのみ、幇助犯が成立する、という判断枠組みを示しています。

 そして、被告人が、提供したwinnyが違法に利用されるかもしれない、とは認識していたが、違法な利用を奨励したわけではないので、罪は成立しないのだ、と考えたようです。

 いわゆる幇助犯というものは、実際には処罰範囲が不明確です。どこまでが犯罪の手助け(幇助)をしたのか、必ずしも明確ではないことが多いのです。

 大阪高裁の判断は、そうした処罰範囲の明確化に資するもの、と言うことができるでしょう。
 どこまでが犯罪なのか、犯罪でないのか。これを明確にすることは、人々に行動の自由を保障することになります。

 これまで幇助犯として広く処罰されてきたものを限定していこうとする、裁判官の法律家としての良心を感じます。
 

theme : 気になるニュース
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tag : winny 罪刑法定主義 刑法 裁判 幇助犯

日中韓共通教科書:「国民の生活第一」の実現にとって必要も実益も何一つない

 
            日中韓共通教科書:「国民の生活第一」の実現にとって必要も実益も何一つない

 韓国の中央日報が以下のような記事を配信している。

 日本外相「韓日中共通教科書が理想的」
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=121308&servcode=A00&sectcode=A00

岡田克也日本外相が韓日中3カ国の教科書問題と関連し、「韓国・日本・中国共通の教科書を作るのが最も理想的」と述べた。[…]
岡田外相は歴史問題をめぐり韓日中間で葛藤が生じることに関し、「(日本の侵略戦争について謝罪した1995年の)村山談話にもかかわらず、一部納得していない人たちがいるのは事実。いまや言葉よりも行動をする時」と主張した。
岡田外相は「韓日中共通の歴史教科書を作るのが理想的だが、そこまでいく第一歩として歴史に対する共同研究を実施することが重要だ」と述べた。

 鳩山内閣はどこへ向かおうとしているのだろうか。
 わたしは岡田外相が戦略的意図をもって<共通歴史教科書>を策定しようと言っているとは到底思えない。共通歴史教科書の作成を口にする動機は、中韓に対する親近感だけなのだろう。

 鳩山首相も文字通りの<友愛>で突っ走る。そこにあるのはstrategy(戦略)ではない。そこから感じられるのは、鳩山首相の人柄の良さに過ぎない(汗)。

 鳩山首相「韓国の文化が大好き」 首脳会談後の記者会見で
 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091009AT3S0901309102009.html

 「韓国の皆さんと文化が大好きだ」。鳩山由紀夫首相は9日の日韓首脳会談後の記者会見の冒頭、韓国への親近感を強調した。「ほとんどの日本国民は同じ気持ちを共有している」とも付け加えた。
 首相は「近くて近い国にしようという思いを共有できたことは素晴らしいし、うれしいことだ」と表明。李明博(イ・ミョンバク)大統領も柔らかな空気作りに努め、2人の信頼関係が構築できたかと問われると「できたと思っている。鳩山首相がどう思っているかわかりませんが」と冗談交じりに語った。

 別に韓国と仲良くするな、と言うわけではない。だが、鳩山首相は暢気と言うか、脳天気というか、どうも現実を見ていないような気がする。なにせオバマ大統領とたった30分しか会談していないのにもかかわらず、<信頼関係の絆(きずな)ができた>などと満足げに言えちゃうくらいなのだから。

 共通の教科書作成が外交カードとなりうる要素は認められない。というか、日中韓の歴史認識問題について、外交上のpriority(優位性)が基本的に日本にはないことに気づかなければならない。ちょっと乱暴な言い方をするが、歴史認識問題については、日本が中韓の相手をすることそれじたいが無駄であって、日本にとって何一つとして利にはならないのである。

 仮に、それらの原則論を度外視(どがいし)したとしても、共通教科書を作成するメリットはどこにあるのだろう。私には見いだせない。

 平成14(2002)年に、菅直人幹事長(当時)が中国にある『南京大虐殺遭難同胞記念館』を訪問し、生存者代表に会って謝罪したように、民主党の議員は歴史認識問題に熱心なかたが多い。
 日中韓で共通の歴史認識を構築することが、日本の東アジアにおける外交上のpresence(存在感)を高めると信じているようだ

次回更新:10/18

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マードック:何のために日本にやってきたのか

 
            マードック:何のために日本にやってきたのか

 以前、「世界のメディア王」と言われるルパート・マードック=ニューズ・コーポレーション会長=の動向は、国際情勢を見る上で極めて参考になる、と申したことがあったと思う。

 最近の例では、北京五輪だ。日本の志あるかたがたがチベットの人権に関心を寄せられ、北京五輪開催に抗議の意思を示してくださったのは記憶に新しいが、私はチベットを支持しながらも、北京五輪開催の方向性は変わらない、と述べた。
 その証拠に、聖火リレー後は、不思議なことに、欧米メディアは北京五輪とチベット情勢をリンクさせるような報道をしなくなった。

 なぜ、私がそのように考えたか。
 マードック氏が自身のニュースメディアを使って、露骨に北京を強力にバックアップしたからだ。

 一人の老人にそんなことができるか、という人も多いかも知れない。
 だが、世界中のマスメディアをその支配下に置いているマードック氏の影響力は米国大統領と同等、いや、それ以上と言っても過言でない。

 あらかじめ言っておくが、私はユダヤ陰謀論に与するものではないマードック氏がユダヤ系だからといって、決めつけで物を言うつもりはない。

 マードック氏の影響力については、映画評論家の町山智浩さんのblogが簡潔によくまとめられていて参考になる。少しばかり引用させていただきたい。

 戦争煽動を認めたメディア王ルパート・マードック
 http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20090621

 マードックがFOXニュースを使って国民にブッシュ政権を支持させ、イラク戦争を煽動したことは陰謀論でも何でもなく、マードック本人が認めた事実です。[…]
 アニメ「ザ・シンプソンズ」ではマードックのコネを使ってイギリスのブレア首相(当時)に本人の声をアテさせ、ブレアへの影響力を示しただけではなく、マードック自身が自分の声をアテて「私がメディアの世界支配を企むマードックじゃー」というセリフを言っています。
 「007トゥモロー・ネバー・ダイ」の悪役は、中国に衛星テレビで進出するために中国と英国の間に戦争を起こさせて、それを中継しようとするメディア王ですが、あれはマードックがモデル。
 実際にブレアとブッシュにイラク戦争を起こさせて、それを中継することでFOXニュースはCNNを抜いて視聴率ナンバーワンの座を奪うことができた。
 ブッシュ政権に都合のいいニュースしか流さなかったように、現在は中国政府に都合のいいニュース以外は流さないことで、世界最大の市場中国のテレビを支配しようとしている。[…]
 つまり勝ちそうな方、権力を握りそうな方に、左右を問わずに近寄って自分の懐に抱え込もうとするのだ。[…]
 だからマードックは単なるメディア王ではなく、世界の政治を実際に操る男の一人なのだ。

 町山さんのblogではイラク戦争の例が挙げられているが、マードック氏は、先の米国大統領選挙でもその強大な力を使って結果を左右動かそうとした
 実際、大統領選直前の米国オバマ礼賛報道は常軌を逸するものだった。今さらNewsweekなどは「オバマを礼賛したマスコミはナンチャラ~」と言い始めているが、「オバマ大統領」はマスメディアに担がれたのは否定できない事実だ。

 「世界のメディア王」マードック氏ははじめはヒラリー・クリントンを支持していた。

 しかし、面白いことに、選挙情勢がハッキリしてくると、マードック氏は、オバマ氏を支持。これまでオバマ氏を「チンパンジー」などと差別してきた人間が、「彼は大統領になるだろう」との予言をしてみせたのだ。
 私はそれを聞いて、「ああ、オバマが大統領になるのだな」と確信した。
 やはりマードック氏がオバマ支持を表明してから、FOXなどマードック氏の息のかかったメディアはもはやオバマ氏を批判しなくなった。マードック自身も、これまで自分がやってきたオバマ氏への痛烈な人種差別発言などを陳謝、オバマ大統領誕生まで惜しみないバックアップをすることを約束した(現に、マードックの娘がオバマ氏のために選挙資金集めを目的とするイベントを開催するなどして、資金的にオバマ陣営を支えたのであった。)。
 参考:http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2008/04/01/murdochs-daughter-hosts-obama-fund-raiser/

 そのマードック氏が今月5日に日本を訪れたのをご存じだろうか。
 ちょっとエントリが長くなってしまったので、続きは後日書くが、マードックは意外な人と会談を行っている。

 ところで、マードック氏に関して述べたblogは日本でも有力なものがいくつかあるが、その多くがいわゆるユダヤ陰謀論だ。
 だが、私はそれには与したくはない。ほとんどが明確なソースなく書かれているからだ。
 ただし、マードック氏への警戒は怠らないようにしておきたい。個人的に、マードック氏は自分のメディアを使って、米国と中国の架橋を行おうとしているのではないか、と考えている。

 今年は何度「Japan Passing」との言葉を聞くことになるのだろう。。

* 次回更新 10/11今日もう一本上げます。

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日本人が世論調査に慣れてきている?

 
             日本人が世論調査に慣れてきたのは民主主義が成熟している証拠か

 鳩山内閣発足直後に、各報道機関は鳩山内閣の支持率をまとめた。
 支持率と言っても、鳩山内閣が発足しただけで、まだ何も着手していない段階での調査なので、あまり大きな意味はないと思う。
 だが、以前にも、マスコミ各社の世論調査については、あまり過剰に反応すべきでなく、調査結果には「国民の意思」ではなく、「マスコミの意思」が反映されたものだと考えるべきだ、と述べたように、世論調査は、現政権での各社のスタンスを知る上で意味ある資料だ。

 共同通信    : 支持率72・0%
 NNN(日テレ): 支持率67%
 JNN(TBS): 支持率80・1%
 FNN(フジ) : 支持率68・7%
 朝日新聞    : 支持率71%
 日経新聞    : 支持率75%
 ニコニコ動画  : 支持率25・3%(笑)


 個人的な感想としては、TBSの80%というのは、数字を上乗せしすぎだと思うが、おおむね各社70%の前後で帳尻あわせをしてきたなあ、という印象だ。

 ただ、今ではぼろくそに言われている安倍内閣でさえ、発足当初は支持率70%を超える高水準だっただけに、民主党はこの結果に油断をしてはならない。これからの政権運営次第では、4年後には、ニコニコ動画あたりの水準にまで落ちていてもおかしくはない。

 日本の世論調査に関して、あるメディアが興味深い指摘をしていた。それは、韓国の中央日報である。

 「無料」公約に冷静な日本人
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=120740&servcode=A00&sectcode=A00

 鳩山由紀夫新首相が率いる民主党政権が先週発足した。
 鳩山首相は初閣僚会議から今年の会計年度追加予算の一部を執行中断するように指示するなど、民生と福祉を中心にした公約履行のための迅速な措置を取り始めた。
 衆院選挙での圧勝と、主要日刊紙世論調査で2001年小泉内閣スタート当時に続き歴代2位と高く出た70%台の内閣支持率をもとに改革作業を強く勧める勢いだ。内閣支持と合わせて主要公約に対する履行の必要性に対する調査で賛成率が高く出たのも鳩山内閣の改革を進めやすくしてくれる。
 しかし一つ、例外が目立った。高速道路無料化問題だ。[…]
 しかし執権後、世論調査では意外な反応が現れた。高速道路無料化公約を履行しなければならないかという質問に対して回答者の中で約3分の2(毎日新聞63%、朝日新聞67%)が反対すると明らかにした。賛成は24%(朝日)~33%(毎日)にとどまった。
 これからお金を出さなくても良いという、それでも他の名目で補充するというのでもない「無料化」公約に対する日本国民の反応は驚くものだ。無料も良いが、高速道路無料化による交通量の増加、それによって起こる交通停滞と物流システムの混乱、温室ガス削減に逆らっていくという時代精神の問題など逆機能の方が大きいものと見た国民が多いという話だ。
 「建設費を充てようとする目的を果たしたら無料化することが国民に対するサービス」と公約履行を掲げてきた民主党を気おくれさせる世論調査だ
 注目したいのは自民党時代には無料化に極力反対し、民主党政権になると「調査結果、物流費用が大きく下落し、国益に役立つ」と言いだした国土交通省の態度だ。まさに筋の通らない公務員の典型だ。
 日本国民が公務員改革を前面に掲げた民主党を選択した理由が分かりそうだ。
 無料の誘惑はどの時代、どの国にでもあるものと決まっている。しかし現実的制約と逆機能を同時に考えようとする姿勢、日本国民が見せてくれたものがそんな姿ではないかと思う。

 記事の指摘どおり、政権交代を経験し、その目を肥やす国民とがいるいっぽうで、マスコミはいつまでも記者クラブの中に籠もって政治的事柄の弁別も付けられないで、メディアの多極化という時代の流れに逆らって、むしろ退化を続けている。

 これからはマスコミが政権交代をする番ではないか。

 民主党、特に鳩山首相は記者クラブ開放を意向だったが、政権発足直後から既成メディアの批判をくらって、尻込みをしてしまっていたようだ。この対応は、さすがは「友愛」好きの鳩山首相だ、としか言いようがないが、先日、岡田外相がとうとう汚名返上へ向けて動いてくれた。

 岡田外相、記者会見開放を宣言 ネット・フリーランスにも
 http://www.j-cast.com/2009/09/19050063.html

 こういったことは、自民党政権では絶対に成し遂げられなかったものだ。
 岡田外相の対応を歓迎したい。

 そういえば、ある番組で、原口総務相も「記者クラブの開放」に言及していたけれど、原口氏が記者会見を開放した、というニュースは未だに聞こえてこないなあ。
 原口氏は、マスコミに媚びているようなところがある(と私は感じている。)。口で言うのは簡単なことだが、政権を持った以上は、有言実行、言ったことは責任を持って実行してほしいものだ。

* 次回更新 10/11(Sun)

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tag : マスコミ 記者クラブ 民主党 鳩山由紀夫 世論調査

千葉景子法相を中心とする民法改正論議について

 
             わたしの家にもいよいよ台風が本格的にやってきました。

 今日の帰りに読んだ「夕刊フジ」では<平成最大>のキャプションが付けられていて、台風による被害が心配です。

 みなさまも明日外出する際はくれぐれも気をつけてくださいね。

 * * * * *

 女性の「再婚禁止」短縮を検討=相続差別撤廃も-民法改正で法相
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009100100965

 千葉景子法相は1日、閣議後の記者会見で、女性の再婚禁止期間短縮や非嫡出子の相続差別撤廃などを内容とする民法改正を目指す考えを表明した。法相は選択的夫婦別姓の導入のための同法改正案を来年の通常国会に提出する意向を表明しており、同時改正も視野に検討を進める方針だ。
 法制審議会(法相の諮問機関)が1996年に答申した民法改正案では、離婚後の女性の再婚禁止期間を現行の6カ月から100日に短縮することや、非嫡出子の相続分を嫡出子と同等とすることを定めている。法相は「国際的な指摘や子供の権利を踏まえて必要なことだ」と述べ、同答申案に沿って改正実現を目指す意向を示した。
 夫婦別姓導入を含む一連の民法改正をめぐっては、これまで与党だった自民党内で家族の一体感を損なうなどとして反対論が強く、実現してこなかった経緯がある。これに対し、民主党は衆院選前に発表した2009年版政策集で、これらの法整備を進める方針を明記していた。



1.選択的夫婦別姓は必要か

 夫婦別姓のほうが男尊女卑だ、という意見もあります。
 よくお隣の国も夫婦別姓なのだから日本も・・・という人がいますが、なぜ東アジアの、特に儒教的思想の強い地域で夫婦別姓が採られているのか、ということをよく考えておく必要があります。
 ただし、夫婦同氏こそ「日本の伝統」というのは大きな誤解です。
 夫婦同氏になったのは少なくとも明治民法が作られてからのことです。それまでは日本も夫婦別姓でした。(この問題は詳しくは後日エントリをアップする予定です。)

2.非嫡出子(法律上の結婚をしていない夫婦間に生まれた子供)の法定相続分を嫡出子の半分とする民法の規定に関して

 法律婚を促進するためにこのような規定が設けられたと言われています。
 最高裁も<民法は法律による結婚を保護する立場を取っており、格差には合理的な根拠がある>として、この規定が合憲であると判断しています。
 しかし、わたしは、この規定は憲法違反なのではないか、と考えています。
 生まれてきた子は、残念ながら親を選べません。たしかに、私も法律による結婚をすることを尊重すべきであって、法律関係が不安定になりやすい事実婚には消極的な立場ではありますが、たまたま親が法律上結婚していなかったがために、その子のもらえる相続分が減ってしまう、というのはおかしな話です。
 もし法律婚をしていないペナルティを与えるのであれば、子ではなく親に対してなされるべきであるのに、これでは「親の因果が子に報う」事態を招くことになってしまいます。

3.女性の「再婚禁止期間」短縮の必要性

 この規定も以前から違憲の疑いの強い規定だと言われてきました。
 現行法では、女性に限り再婚禁止期間が6ヶ月とされていますが、現在の改正案では100日程度に短縮する方針です。
 以前、自民党はこの短縮案について「家族の絆が壊れてしまう」などという批判をしていましたが、そもそもこの規定は「父性の推定の重複」を回避するためのもので、早い話が、その女性に後で生まれてきた子どもが誰の子か、分からなくなってしまうことを避ける趣旨のものです。
 ですから、乱暴な言い方ですが、離婚後の女性が身ごもっている子どもが誰の子であるかを確定できれば良いのです。それを一律に6ヶ月とすることが果たして適切な期間設定といえるかどうか・・・不必要に長すぎるとわたしは考えています。

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中川昭一氏死去:父親の因縁を感じさせてしまうところにこの国の病理がある

 
            中川昭一氏死去:父親の因縁を感じさせてしまうところにこの国の病理がある

 中川昭一元財務相が亡くなった。
 4年後の再起に期待がかかっていただけに、地元ではショックが広がっているようだ。

 事件や自殺の可能性は低いそうだが、どうしても昭一さんの死は、父・一郎氏の自殺を想起させてしまう。

 この国の政治家はなぜこうも最期に、孤独に、死んでいくのだろうか・・・

 最近では、松岡利勝さん、永田寿康さんが ー 彼らは自殺ではあるが ー これまで国に尽くしてきた人としてはなんとも悲しい亡くなり方をしている。

 先の衆院選で私が感じたのは、国会議員の「商品」化である。
 別に衆院選の結果に不満があるから言っているわけではない。

 だが、近年の選挙では、国会議員という商品の消費者と成り下がった国民には、長期的な展望、つまりは、何年、何十年後の日本にとって必要な国士かどうか、という視点がなくなっている面はあると思う。
 その国会議員が何を考え、どのような国家を作ろうとしているのか、ということはあまり重要視されず、国民は「郵政民営化の抵抗勢力かどうか」だとか、「官僚をこらしめたくはないのか」と言う二項対立の図式に惑わされる(二項対立の方法を好んで使ったブッシュ元米大統領がマスコミと国民の絶大な支持を受けてイラク戦争を始めたことを忘れてはならない。)。

 なにやらこの国には、根が深い病理があるような気がしてならない。

ー ー ー ー ー

 中川昭一氏のご冥福をお祈りします。
 どうか地元支持者の皆様は、一家の大黒柱を失った奥様とお子様を支えてあげてください。
 

theme : 自民党
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tag : 中川昭一

崩壊したかのようにイデオロギーも未だに人の目を欺き続けている

 
            ○崩壊したかのようにイデオロギーも未だに人の目を欺き続けている

 今日はお家でゆっくり晩酌です(うふふ)。
 小難しいタイトルを付けましたけれど、お気楽に読んでくださいね。

 ー ー ー

 先日、ある人から「しんぶん赤旗」の日曜版を見せていただいた。
 一面には、左側には日本共産党の志位委員長の写真、右側にはオバマ米大統領の写真が同じくらいの大きさで掲載されていた。
 ちょっと前までは「米国帝国主義」と批判していた彼らも変わったものだ。「反米」から「オバマ大統領マンセー」への変わり身はいったいどういうわけなんだろうか。

 最近、こういう人が増えているんじゃないだろうか。「日本は米国の属国だー」と意気盛んに言っていた反米主義者が、オバマ大統領の「プラハ演説」で「核兵器のない世界」に言及したとたん、「日本は米国に追従せよ」なんだから、困ったものだ。

 反米主義者に限らず、オバマ大統領の提唱した「核兵器のない世界」に魅了されてしまった日本国民も多いだろう。「いよいよ核兵器のない世界が来るんだ!」と期待を寄せるブロガーもいるようだ(オバマ大統領は自分で「私が生きている間には(核兵器のない世界の実現は)無理だろう」と言っているけど・・・笑)。

 そういえば、産経新聞にもこんな記事が掲載されていた。

 創価学会の池田名誉会長が「核兵器のない世界実現を」と提言
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090907/stt0909071810009-n1.htm

 創価学会の池田大作名誉会長は7日、「核なき世界」を提唱したオバマ米大統領のプラハ演説を受け、日本が先頭に立って核兵器のない世界の実現を目指すとする「核廃絶提言」を発表した。
 提言は核軍縮、核拡散防止、核兵器に依存しない安全保障への移行などが重要と指摘。「被爆国の日本が核武装の検討をすることは許されない」と訴え、今後も非核三原則を堅持するよう求めた。日米が協力し、北朝鮮の核問題を含む、北東アジアの平和構築に臨むべきだと呼び掛けている。

 もう「核兵器のない世界」と書けば、なんでもいいのかね(ならば、「宗教法人"核兵器のない世界創造教"」でも作ろうかしら・笑)。

 だが、こういうときこそ冷静に、そして、フェアな姿勢で物事を見つめてほしい。

 もしオバマ大統領が本当に「核兵器のない世界」を目指しているのならば、なぜ、彼は、老朽化する核兵器製造施設を最新型にしようとしたり、新たな核弾頭開発のための資金提供を提案しようとしているのだろうか。

 あるブログでは「軍縮・平和のオバマ大統領」などと書かれていたが、とんでもない話だ。

 もしそうであるのならば、オバマ大統領が、アフガニスタンのカルザイ大統領のおこなった悪質な選挙違反を見逃し、民衆を貧困のどん底に陥れる代わりに、一部の軍閥への利益誘導をはかる愚策を無視するようなことはしていなかっただろうに。

 日本共産党委員長が米国の大統領とニコニコ握手をしている時代は、一見すると保革対立はおろかイデオロギーの対立が崩壊したかのように見える。
 だが、我が国は、広い意味での「戦後」というイデオロギーを引きずり続けているのが現実のようだ。

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鳩山首相とチベット:警戒心を高めていた中国も楽観モードか

 
            鳩山首相が中国の胡錦涛国家主席と会談し、チベット問題について、<基本的には国内問題だ>としながらも、<対話により解決される>べきだと発言しました。

 もちろん初めての会談ということもあって、大目に見るべき点は多いとしても、過去の鳩山首相のチベットに対する考え方を知っている人間にとっては、やや残念と言いますか、戦う前から白旗をあげてしまったような印象を持ちました。

 * * * * * * *

 鳩山首相はかねてから"pro-tibet"よりの発言を繰り返してきました。

 鳩山首相は、平成19(2007)年4月12日の広島市内の講演で、チベット問題について<大きな人権問題だ。ないがしろにはできないというメッセージを送ることが必要だ>と発言しています。
 また、平成19(2007)年11月23日には、都内でダライ・ラマ14世と会談し、猊下にチベットの目的である<高度な自治>を支持し、<力強くサポートさせていただく>との決意を語っています。

 さらに昨年3月17日には、チベット騒乱について、鳩山首相ら有志議員で以下のような姓名が出されました。

 <(チベット騒乱は)中国によるチベット人権弾圧、文化破壊に遠因がある。中国は真実を明らかにし、人道的見地で問題解決に努めるべきだ>。

 鳩山首相は当時会見で<チベット人は一貫して対話と非暴力での問題の解決に努めてきた>とチベットを擁護しています。

 鳩山首相の過去の言動から、中国側は当初、鳩山首相に警戒感を持っていたようです。

 ですが、鳩山内閣において、外務大臣に選ばれたのは岡田克也氏。これで、中国側の不安も払拭されてしまった印象があります。

 民主党:「岡田外相」起用 中韓が好意的報道
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090907ddm003010125000c.html

 岡田克也・民主党幹事長が外相に起用される人事が固まったことについて、中国や韓国では好意的な報道がなされている。[…]また、岡田氏が08年5月の四川大地震で街頭募金を行ったことや靖国神社への不参拝、チベットやウイグル問題で「中国内政」への不干渉を表明していることも伝えている。

 実は、先の日中首脳会談で鳩山首相が発言したとされる<チベット問題は基本的には中国国内の問題>というのは、鳩山首相個人の考えではなく、岡田外相の持論です。親中派としても知られる岡田外相の影響が、こういったところでつぶさに見られるのは、少しばかり警戒しておかなければなりません。

 外交上、態度を明確にしないことも重要な意味があります。
 たとえば、8月15日の終戦記念日を前に、鳩山首相は<参るつもりはないし、閣僚にも自粛していただきたい>と発言しましたが(岡田外相も<A級戦犯が合祀されており、総理や閣僚の公式参拝には問題がある>としています。)、そんなことはいちいち明言する必要のないことです。

 私は、鳩山首相に靖国参拝してもらいたいとは思いませんし、無理に参拝する性質の施設ではないとは思いますが、靖国問題では、実質的に日本側に外交上のプライオリティがあります。
 つまり、問題視しているのは、中国や韓国なのですから、いちいち「参拝しない」だの「自粛してほしい」だの言う必要はないのです。

 しかし、岡田克也氏を外相にしてしまったことで、チベット問題では、日本は外交上のプライオリティを失ってしまった感が否めません。しかも、「東アジア共同体」の創設という、中国にとっても日本にとっても「お世話な話」を持ち出したばかりに、チベット問題を「中国国内の問題」だと位置付けるしかなくなってしまいました。

 自ら外交カードを捨てるようなことをして、これからの対中外交は大丈夫なのでしょうか。

 * * * * * * *

 これは余談ですが、最近よく「核持ち込み密約問題」って騒がれていますよね?
 でも、「密約」なるものは、既に米国立公文書館で公開されているわけであって、それをただ日本政府が認めていないだけの話ではないですか?

 よく「密約」を明らかにすることで、米国は追い込まれるぞ~という期待を示している人がいますけれど、私はそうは思えません。
 「密約」調査なんてものは、前政権が隠してきた情報の一つを明らかにする意味で、自民党にとってはダメージになるのかもしれませんが、外交上ほとんど意味がないのではないでしょうか。
 米国のキャンベル国務次官補が言っていますけれど、密約なるものは、<日本の内政問題>なのだ、と。まったくそのとおりなのであって、米国にとって見れば、「だからなんですか?」と言いたくなるような、その程度のものなんだと思いますが・・・

* 次回更新 10/4予定

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 主に政治ニュースを取り扱っています。メディア・リテラシーを身につけて客観的に物事を見つめる能力を養うことが目的です。
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