[政治] 北方領土の日はあるのに竹島の日がないのはおかしい

 
             2月22日は、「竹島の日」でした。
 しかし、この日は島根県が独自に定めるもので、政府が決めた日ではありません。

 平野官房長官は、政府として2月22日を竹島の日と定める予定はない、などと言っています。

 現に今月22日の竹島の日に開催された島根県の大会では、民主党政権から一人も参加者がいないという異常事態になっています。

 毎年2月7日の北方領土の日は、衆参両院の決議と閣議による了解で定められているものですが、竹島の日だけは島根県が独自に条例と定めているものに過ぎません。

 おかしくはありませんか?

[お猿さんでも分かる] 政教分離と政党

 
             昨年は、いまや平成の失言王というべき民主党の石井一参院議員が、公明党やその支持母体である創価学会に対して「政教分離違反だ」などと批判したことが、ネットを中心に話題に上ったが、実際、国会で議論されるところの「政教分離」が必ずしも憲法の求めるそれとは異なっていることに気づかなければならない。

 たとえば、これは公明党に限らず、幸福実現党[法律上は政党ではない]もそうだが、宗教法人が政党を作ることは政教分離を定める憲法20条1項・3項に違反するであろうか。
 政党なるものが憲法の明文で定められていない以上、政党を作ることも結社の自由としてその保障が宗教法人にも及ぶと考えられるため、宗教法人が政党を組織することは否定されない。

 また、宗教政党が政権与党となることができるか、という問題もあろうが、政党である以上は政権与党に与しても問題はないと考えられよう。

 仮に、宗教政党が完全に形骸化し、宗教法人が国家の統治権を行使しているものと同視しうる場合は、違憲の余地もあるかもしれないが、そのような場合は現実にはまず考えられない。

 そもそも政教分離といっても、完全な分離まで求められるものではないことにも留意すべきだ。
 完全な分離を求めれば、寺社に対して文化財保護の観点から公権力が支援することも、宗教団体が設立した宗教学校を助成することもできなくなるだろう。

 それに、既成の政党であっても特定の宗教団体の支援を受けていることはよく知られたところであり、上に名前を出した石井一氏もある宗教団体の大会に頻繁に参加されているようである。

 とどのつまり、宗教団体と政党との係わり合いは、どの政党も不可避的なものである。
 そのことすら認めたくないのであれば、政教分離を姑息に持ち出すのではなく、そのような宗教団体とズブズブの議員を選挙民が選挙で落選させるしかないと思う。

(といっても、当選議員のほぼ全員が特定の宗教団体に支援を受けていると思いますが…)

[祝日] 建国記念の日は「愛国心を養う」日

 
             明後日2月11日は、建国記念の日です。

 神武天皇が即位した日が2月11日とする建国神話に由来していますが(紀元節)、この日は明治憲法[大日本帝国憲法]の発布記念日でもあります。

 祝日法2条によれば、建国記念の日は『建国をしのび、国を愛する心を養う日』とされ、日本国の建国に思いを馳せ、愛国心を養う日とされています。
(祝日法は、愛国心が法律で明文化された希少な例です。)

 日本共産党は建国記念の日が紀元節を復活させ、皇国史観と軍国主義を押し付けるものとして、今でも強く反対をしているようです。

 いずれにせよ、建国記念の日に際して、日本とは何であるか、国家・国民とは何たるかを考えてみるのは大切なことです。

 どんなに世界がグローバル化しても国家の存在だけは否定することができないものであって、これからも私たちが国家というシステムの中に暮らして行く以上、この国のあるべき姿(国家観)を考える良い機会にしたいものです。

[報道]「小沢氏は幹事長を辞任すべきか」と問う世論調査の怪

 
             マスコミの世論調査の問題は、前から書いているように、国民の「世論」を知るための資料ではなく、マスコミのスタンスを知るための資料にすべき、というのが私の前々からの持論です。

 だから世論調査を過度に重視すべきではないし、世論調査に振り回される必然もないのですが、少しだけ書かせてください。

 最近、大手既成メディアは、ほぼすべてが政治資金規正法違反で元秘書らが起訴された件について、「小沢氏は幹事長を辞任したほうがいいか」について世論調査をしています。

 7割近くが「辞任したほうがいい」と答えたそうですが、この調査に私は強い疑問を感じています。

 そもそも、幹事長は、党内の役職に過ぎません。国民とはほぼ無関係の党内の役職を辞めることにどんな意味があるのでしょうか。
 
 国会議員が「全国民の代表」(憲法43条)として選挙で国民の信託を受けて選ばれるのですから、国民にとっては、国会議員が議員を辞職するかどうか、に関心がおかれているのであって、幹事長などというものは党内の問題に留まり、どのようになろうと国民の知るところではありません。

 したがって、マスコミも世論調査をするのであれば、「小沢氏は議員を辞職すべきかどうか」を聞くべきだったでしょう。
 政治家が国民との関係で責任を果たすための唯一の手段は、議員を辞めること以外にありえないからです。

 さて、だとしても、私は現時点で小沢氏が何等かの対応をとる必要があるとは考えていません。

 幹事長を辞めるかどうかは党内で決めてもらえばいいとして、元秘書起訴の段階で議員を辞めるべきではないでしょう。(それは前政権から続く一種の相場みたいなものです。秘書起訴≠議員辞職)

 では、起訴された石川議員はどうかですが、ご本人が嫌疑を認めているのであれば、今すぐにでも辞職して、地元選挙区で補選を行い、国民の意思を問うべきです。

[ネタ] 小沢幹事長への私の本当の気持ちに気づいた

 
             いま、自分の本当の気持ちに気づきました。

 くるくるさんの「小沢信奉度」は、86%です。http://twirate.appspot.com/u/HYt9x
 くるくるさんの「小沢一郎愛度」は、70%です。 http://twirate.appspot.com/u/Pi2dW

 そうだったのか、わたしは小沢さんのことが好きだったんだ。ウホッ!(^ω^)

 スンマセン。もう少し真面目になります。。(´・ω・`)

theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済

tag : 小沢一郎 民主党 鳩山由紀夫

[司法] 死刑制度容認が過去最大に

 
             死刑制度存置を望む国民がここまで膨れあがっていることにまず驚きました。

 統計方法についてですが、私は基本的に問題はないと考えています。
 質問内容が存置論に誘導的になっているとの批判もありますが、今回の内閣府調査で設定された質問は以下の3通り。

1.「どんな場合でも死刑は廃止すべきだ」
2.「場合によっては死刑もやむを得ない」
3.「わからない・一概に言えない」

 場合によっては死刑をやむを得ないと考えるのが存置論であるのは明らかであるし、いかなる場合であっても、いかなる罪を犯した場合であっても死刑を選択することは絶対的に禁止されるべきだと考えるのが廃止論の立場であるから、上記質問項目は適切でしょう。

 批判者の多くは廃止論者なのでしょうが、廃止論とはそういうものである以上、そのような質問をされても「廃止すべきだ」を選択するだけの覚悟が必要です。

 という私も廃止論に与しますが、このような世論を受けた以上、即時、現行死刑制度を廃止するよう求めることは、問題があると言えるでしょう。
 国民感情を無視して刑罰制度を論じることは避けなければならないからです。

 最近、死刑廃止論者も柔軟な態度を示すようになっており、中には、死刑の代置制度として、仮釈放のない、いわゆる絶対的な終身刑を設けるべきではないか、との意見があるようです。

 私もそのような意見には耳を傾ける必要があるとは思いますが、憲法36条の禁止する「残虐な刑罰の禁止」に抵触しないかは別途論じる必要があり、学者の中にも、絶対的終身刑が仮釈放を絶対に認めず、自然な形で死に至るまで一定の場所に合法的に監禁を強いるものであるとする点で、「残虐な刑罰」に該当するのではないか、との意見もあるくらいです。

 絶対的終身刑を導入する場合には、かかる違憲論に対してどのような反論をすべきか理論的に固めておく必要があるでしょう。

 私は、まず国民が死刑制度をはじめとする我が国の刑罰全般に対する知識を持つことが必要だと感じています。
 たとえば、無期懲役刑は、確かに数年前までは仮釈放も柔軟に認められており、ある一定の期間が経過すると、仮釈放が認められ、仮釈放中に別の罪を犯して逮捕される…などということも多々ありました。実際、死刑に処せられた者の一部は、仮釈放に罪を犯したがために死刑判決を受けたものもいるくらいです。

 ただ、今でもそのような「甘い」無期懲役刑がなされていると考えているのであれば、そのような認識は今にでも改めたほうがいいでしょう。
 ここ数年は、仮釈放が認められた者は10人に満たない数に止められ(まず20年内に出られることはないと考えるべきです。)、一時期は「10年くらいで出てこられる」などと言われた無期懲役受刑者ですが、今は40年以上懲役に服している者も珍しくはなくなりました。

 このような運用を知らず、無期懲役刑が甘いからと言って安易に死刑制度を存置することを希望している者も少なくはないと思います。まずは運用実態を知ることから、死刑制度を考えてみてはいかがでしょうか。そもそも我が国の死刑執行の方法すら知らない人もまだ大勢いるのでしょうし。

 もちろん、わたしは自分の廃止論を他人に押しつけるつもりはないし、国民の多くが存置論を妥当と考えているからといって、他の廃止論者のように国民をバカにするようなことはすべきではないと思っています。

 また、我が国の一つの文化として他国と明確に違うのは、「死をもって償う」文化がある、というのも尊重すべきだと思います。死者に鞭を打つようなことは言わないというのも、このような精神的文化によるところが大きいのでしょう。
 だから、文化の異なる他国から「死刑で人は救われない」などと言われる筋合いもない、との意見も理解することができます。

 それに、我が国の司法が長らく無視し続けてきた「被害者」の人権にも、ようやく光が当たろうとしています。
 これまで社会的にも法律的にも無視されてきた被害者(これはもちろん遺族を含む。)の過酷な現実が世に知られるようになったことで、国民が我が国の司法に怒り、被害者を支援する動きに伴って、死刑制度の存置を支持する人が増えている一つの現象もまた認められるのでしょう。
(もちろん遺族の中には死刑廃止を望む人もいますが、まず例外であって、そのほとんどが死刑の存置を望んでおられる現実も受け止める必要があります。)

 なお、上記毎日新聞の記事によれば・・・

1.死刑を容認する理由(複数回答)
(1)「死刑を廃止すれば被害を受けた人や家族の気持ちがおさまらない」(54・1%)
(2)「命をもって償うべきだ」(53・2%)
(3)「死刑を廃止すれば凶悪犯罪が増える」(51・5%)

2.死刑を廃止する理由(同)
(1)「生きて償ったほうが良い」55・9%
(2)「裁判で誤りがあった時に取り返しがつかない」43・2%
(3)「国家であっても人を殺すことは許されない」42・3%

・・・というのが、各立場の意見のようです。

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tag : 死刑 死刑廃止 死刑存置 死刑廃止論 被害者の権利 人権 適正手続

[判例] 砂川市「空知太神社」無償貸与違憲判決

 
            砂川市「空知太神社」無償貸与違憲判決(最高裁平成22年1月20日大法廷判決)

第2 上告代理人新川生馬,同朝倉靖の上告理由について
 論旨は,本件神社物件の宗教性は希薄であり,町又は市が本件土地1及び2を取得したのは宗教的目的に基づくものではないなどとして,本件利用提供行為は政教分離原則を定めた憲法の規定に違反するものではないというものである。
 しかしながら,本件利用提供行為は憲法89条に違反し,ひいては憲法20条1項後段にも違反するものであって,論旨は採用することができない。その理由は,次のとおりである。

1 憲法判断の枠組み

 憲法89条は,公の財産を宗教上の組織又は団体の使用,便益若しくは維持のため,その利用に供してはならない旨を定めている。その趣旨は,国家が宗教的に中立であることを要求するいわゆる政教分離の原則を,公の財産の利用提供等の財政的な側面において徹底させるところにあり,これによって,憲法20条1項後段の規定する宗教団体に対する特権の付与の禁止を財政的側面からも確保し,信教の自由の保障を一層確実なものにしようとしたものである。
 しかし,国家と宗教とのかかわり合いには種々の形態があり,およそ国又は地方公共団体が宗教との一切の関係を持つことが許されないというものではなく,憲法89条も,公の財産の利用提供等における宗教とのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,これを許さないとするものと解される。

 国又は地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地としての用に供する行為は,一般的には,当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として,憲法89条との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。

 もっとも,国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されているといっても,当該施設の性格や来歴,無償提供に至る経緯,利用の態様等には様々なものがあり得ることが容易に想定されるところである。例えば,一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても,同時に歴史的,文化財的な建造物として保護の対象となるものであったり,観光資源,国際親善,地域の親睦の場などといった他の意義を有していたりすることも少なくなく,それらの文化的あるいは社会的な価値や意義に着目して当該施設が国公有地に設置されている場合もあり得よう。
 また,我が国においては,明治初期以来,一定の社寺領を国等に上知(上地)させ,官有地に編入し,又は寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって,国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じた。このような事例については,戦後,国有地につき「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」(昭和22年法律第53号)が公布され,公有地についても同法と同様に譲与等の処分をすべきものとする内務文部次官通牒が発出された上,これらによる譲与の申請期間が経過した後も,譲与,売払い,貸付け等の措置が講じられてきたが,それにもかかわらず,現在に至っても,なおそのような措置を講ずることができないまま社寺等の敷地となっている国公有地が相当数残存していることがうかがわれるところである。
 これらの事情のいかんは,当該利用提供行為が,一般人の目から見て特定の宗教に対する援助等と評価されるか否かに影響するものと考えられるから,政教分離原則との関係を考えるに当たっても,重要な考慮要素とされるべきものといえよう。

 そうすると,国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が,前記の見地から,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては,当該宗教的施設の性格,当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,当該無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。

 以上のように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁,最高裁平成4年(行ツ)第156号同9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁等)の趣旨とするところからも明らかである。

2 本件利用提供行為の憲法適合性

(1) 前記事実関係等によれば,本件鳥居,地神宮,「神社」と表示された会館入口から祠に至る本件神社物件は,一体として神道の神社施設に当たるものと見るほかはない。
 また,本件神社において行われている諸行事は,地域の伝統的行事として親睦などの意義を有するとしても,神道の方式にのっとって行われているその態様にかんがみると,宗教的な意義の希薄な,単なる世俗的行事にすぎないということはできない。
 このように,本件神社物件は,神社神道のための施設であり,その行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われているものということができる。

(2) 本件神社物件を管理し,上記のような祭事を行っているのは,本件利用提供行為の直接の相手方である本件町内会ではなく,本件氏子集団である。本件氏子集団は,前記のとおり,町内会に包摂される団体ではあるものの,町内会とは別に社会的に実在しているものと認められる。そして,この氏子集団は,宗教的行事等を行うことを主たる目的としている宗教団体であって,寄附を集めて本件神社の祭事を行っており,憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に当たるものと解される。
 しかし,本件氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を町内会に支払うほかは,本件神社物件の設置に通常必要とされる対価を何ら支払うことなく,その設置に伴う便益を享受している。すなわち,本件利用提供行為は,その直接の効果として,
氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にしているものということができる。

(3) そうすると,本件利用提供行為は,市が,何らの対価を得ることなく本件各土地上に宗教的施設を設置させ,本件氏子集団においてこれを利用して宗教的活動を行うことを容易にさせているものといわざるを得ず,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものである。
 前記事実関係等によれば,本件利用提供行為は,もともとは小学校敷地の拡張に協力した用地提供者に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったもので,本件神社を特別に保護,援助するという目的によるものではなかったことが認められるものの,明らかな宗教的施設といわざるを得ない本件神社物件の性格,これに対し長期間にわたり継続的に便益を提供し続けていることなどの本件利用提供行為の具体的態様等にかんがみると,本件において,当初の動機,目的は上記評価を左右するものではない。

(4) 以上のような事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すると,本件利用提供行為は,市と本件神社ないし神道とのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして,憲法89条の禁止する公の財産の利用提供に当たり,ひいては憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権の付与にも該当すると解するのが相当である。

第3 職権による検討

1 本件は,被上告人らが地方自治法242条の2第1項3号に基づいて提起した住民訴訟であり,被上告人らは,前記のとおり政教分離原則との関係で問題とされざるを得ない状態となっている本件各土地について,上告人がそのような状態を解消するため使用貸借契約を解除し,神社施設の撤去を求める措置を執らないことが財産管理上違法であると主張する。

2 本件利用提供行為の現状が違憲であることは既に述べたとおりである。
 しかしながら,これを違憲とする理由は,判示のような施設の下に一定の行事を行っている本件氏子集団に対し,長期にわたって無償で土地を提供していることによるものであって,このような違憲状態の解消には,神社施設を撤去し土地を明け渡す以外にも適切な手段があり得るというべきである。例えば,戦前に国公有に帰した多くの社寺境内地について戦後に行われた処分等と同様に,本件土地1及び2の全部又は一部を譲与し,有償で譲渡し,又は適正な時価で貸し付ける等の方法によっても上記の違憲性を解消することができる。
 そして,上告人には,本件各土地,本件建物及び本件神社物件の現況,違憲性を解消するための措置が利用者に与える影響,関係者の意向,実行の難易等,諸般の事情を考慮に入れて,相当と認められる方法を選択する裁量権があると解される。本件利用提供行為に至った事情は,それが違憲であることを否定するような事情として評価することまではできないとしても,解消手段の選択においては十分に考慮されるべきであろう。
 本件利用提供行為が開始された経緯や本件氏子集団による本件神社物件を利用した祭事がごく平穏な態様で行われてきていること等を考慮すると,上告人において直接的な手段に訴えて直ちに本件神社物件を撤去させるべきものとすることは,神社敷地として使用することを前提に土地を借り受けている本件町内会の信頼を害するのみならず,地域住民らによって守り伝えられてきた宗教的活動を著しく困難なものにし,氏子集団の構成員の信教の自由に重大な不利益を及ぼすものとなることは自明であるといわざるを得ない。
 さらに,上記の他の手段のうちには,市議会の議決を要件とするものなども含まれているが,そのような議決が適法に得られる見込みの有無も考慮する必要がある。
 これらの事情に照らし,上告人において他に選択することのできる合理的で現実的な手段が存在する場合には,上告人が本件神社物件の撤去及び土地明渡請求という手段を講じていないことは,財産管理上直ちに違法との評価を受けるものではない。
 すなわち,それが違法とされるのは,上記のような他の手段の存在を考慮しても,なお上告人において上記撤去及び土地明渡請求をしないことが上告人の財産管理上の裁量権を逸脱又は濫用するものと評価される場合に限られるものと解するのが相当である。

3 本件において,当事者は,上記のような観点から,本件利用提供行為の違憲性を解消するための他の手段が存在するか否かに関する主張をしておらず,原審も当事者に対してそのような手段の有無に関し釈明権を行使した形跡はうかがわれな
い。しかし,本件利用提供行為の違憲性を解消するための他の手段があり得ることは,当事者の主張の有無にかかわらず明らかというべきである。また,原審は,本件と併行して,本件と当事者がほぼ共通する市内の別の神社(T神社)をめぐる住民訴訟を審理しており,同訴訟においては,市有地上に神社施設が存在する状態を解消するため,市が,神社敷地として無償で使用させていた市有地を町内会に譲与したことの憲法適合性が争われていたところ,第1,2審とも,それを合憲と判断し,当裁判所もそれを合憲と判断するものである(最高裁平成19年(行ツ)第334号)。原審は,上記訴訟の審理を通じて,本件においてもそのような他の手段が存在する可能性があり,上告人がこうした手段を講ずる場合があることを職務上知っていたものである。
 そうすると,原審が上告人において本件神社物件の撤去及び土地明渡請求をすることを怠る事実を違法と判断する以上は,原審において,本件利用提供行為の違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて適切に審理判断するか,当事者に対して釈明権を行使する必要があったというべきである。
 原審が,この点につき何ら審理判断せず,上記釈明権を行使することもないまま,上記の怠る事実を違法と判断したことには,怠る事実の適否に関する審理を尽くさなかった結果,法令の解釈適用を誤ったか,釈明権の行使を怠った違法があるものというほかない。

第4 結論

 以上によれば,本件利用提供行為を違憲とした原審の判断は是認することができるが,上告人が本件神社物件の撤去請求をすることを怠る事実を違法とした判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。そこで,原判決を職権で破棄し,本件利用提供行為の違憲性を解消するための他の手段の存否等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

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