[政治]外国人が内閣総理大臣を選ぶ一票を投じることの是非

 
             民主党の代表選。
 菅総理か,小沢前代表か。どちらが代表になるとしても,事実上その者は内閣総理大臣になることが約束されたに等しい。

 一部メディアでも報道があったように,民主党の代表選は,自民党の総裁選と異なり,在日外国人を含む党員,サポーターであっても投票することができる。

 この制度は,果たして妥当なのだろうか。

 我が国において,外国人参政権が認められていない現状から明らかなように,外国人は,国政及び地方選挙において選挙権を有しない。
 最高裁は,外国人が仮に永住者であっても,なんらこの理は変わらない,としている。

 そのような外国人が,民主党の党員又はサポーターという資格に基づいて,事実上内閣総理大臣を選ぶ選挙において一票を投ずることは問題があるのではなかろうか。

 例えば,政治資金規正法は,外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄附を受けることはできない,とされている(22条の5)。

第22条の5 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織〔…〕から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。ただし、日本法人であつて、その発行する株式が金融商品取引所において5年以上継続して上場されているもの〔…〕がする寄附については、この限りでない。
2 前項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものは、政治活動に関する寄附をするときは、同項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものである旨を、文書で、当該寄附を受ける者に通知しなければならない。

 外国人が党員及びサポーターになることは問題ないように思うが(会費の支払いは「寄付」に該当しないと考えるべきだろう。),彼らが具体的な代表選において投票権を行使しうるとするのは,上記政治資金規正法が外国勢力による日本の政治や議員活動に対する干渉を回避しようとした趣旨に鑑みると,いささか問題がある。

 民主党の代表選では,党員及びサポーターの票が選挙の結果を左右する可能性も否定できない。 

 菅がいいか,小沢がいいか,という話の前に,代表選の仕組みそのものを国民の意思に合致するように改めたほうがいいのではないか。
 

theme : 民主党・菅直人政権
genre : 政治・経済

[政治]外国人が民主党の党員・サポーターになることができる件

 
             今日は,民主党が,在日外国人に党員資格を認めて,代表選における投票権を認めていることに関連して,各党の党員資格等を簡単に整理してみたいと思います。

 【民主党代表選】最大の争点は「親小沢」か「脱小沢」の選択(産経新聞)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100901/plc1009011314014-n1.htm

 今回の代表選は国会議員412人に加え、地方議員2382人、34万2493人の党員・サポーターが参加する。民主党は在日外国人にも党員・サポーターになるのを認めている。“次期首相選”である同党代表選に外国人が投票するのは、「国民主権」をうたう憲法に反すると言わざるを得ない。


 産経新聞の主張が正しいかどうかは別として,確かに,在日外国人は,国政・地方共に参政権を有しないのに,事実上内閣総理大臣を決める代表選においては,投票する権利が付与されていることは,矛盾しているように思えますね。
 そこで,皆さんに考える判断材料をお示しするという観点から,各党の対応をまとめてみました。

 1.民主党
 民主党規約 第3条1 本党の党員は、本党の基本理念および政策に賛同する18歳以上の個人(在外邦人および在日の外国人を含む)で、入党手続きを経た者とする。

 2.自民党
 自民党党則第3条1 本党は、本党の目的に賛同する日本国民で、党則の定めるところにより忠実に義務を履行するとともに、国民大衆の奉仕者として積極的に党活動に参加するものをもって党員とする。

 3.公明党
 公明党規約第四条わが党の綱領及び規約を守り、その政策及び諸決議を実現するため党活動に参加しようとする十八歳以上の者は、国籍を問わず党員となることができる。

 4.みんなの党
 (党員)第3条 本党の党員は、本党の基本理念および政策に賛同する18歳以上の個人(日本国籍を有するものに限る。)で、入党手続きを経た者とする。

 5.日本共産党
 第四条 十八歳以上の日本国民で、党の綱領と規約を認める人は党員となることができる。党員は、党の組織にくわわって活動し、規定の党費を納める。

 6.社民党
 第4条〈党員資格〉1 本党の党員は、党員及び協力党員とし、本党の基本理念及び政策・党則に賛同する18歳以上で日本国籍を有する者及び18歳以上で、日本に3年以上定住する外国人で、入党手続きを経た者とする。

 意外なところでは,日本共産党が日本国民に党員資格を限定している点が注目されますね。
 そのほか,先の選挙で躍進したみんなの党自民党と同じく国籍要件を設けていました。

 外国人参政権を推進する党なのに,なぜ共産党は党員資格を日本国民に限定しているのでしょう?外国人参政権を反対する立場に対しては,ナショナリズムうんぬんと言っているのに,どうしてか気になります。
 

theme : 民主党・菅直人政権
genre : 政治・経済

tag : 民主党 自民党 社民党 日本共産党 みんなの党 公明党

[司法]君が代伴奏拒否事件(最高裁平成19年2月27日判決)

 
             最高裁判決の紹介です。ジュリスト重要判例の一つです。

1(事案の概要)
 本件は,市立小学校の音楽専科の教諭である上告人が,入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うことを内容とする校長の職務上の命令に従わなかったことを理由に被上告人から戒告処分を受けたため,上記命令は憲法19条に違反し,上記処分は違法であるなどとして,被上告人に対し,上記処分の取消しを求めている事案である。

2 事実関係等の概要


 (1)上告人は,平成11年4月1日から日野市立A小学校に音楽専科の教諭として勤務していた。

 (2)A小学校では,同7年3月以降,卒業式及び入学式において,音楽専科の教諭によるピアノ伴奏で「君が代」の斉唱が行われてきており,同校の校長(以下「校長」という。)は,同11年4月6日に行われる入学式(以下「本件入学式」という。)においても,式次第に「国歌斉唱」を入れて音楽専科の教諭によるピアノ伴奏で「君が代」を斉唱することとした。

 (3)同月5日,A小学校において本件入学式の最終打合せのための職員会議が開かれた際,上告人は,事前に校長から国歌斉唱の際にピアノ伴奏を行うよう言われたが,自分の思想,信条上,また音楽の教師としても,これを行うことはできない旨発言した。校長は,上告人に対し,本件入学式の国歌斉唱の際にピアノ伴奏を行うよう命じたが,上告人は,これに応じない旨返答した。

 (4)校長は,同月6日午前8時20分過ぎころ,校長室において,上告人に対し,改めて,本件入学式の国歌斉唱の際にピアノ伴奏を行うよう命じた(以下,校長の上記(3)及び(4)の命令を「本件職務命令」という。)が,上告人は,これに応じない旨返答した。

 (5)同日午前10時,本件入学式が開始された。司会者は,開式の言葉を述べ,続いて「国歌斉唱」と言ったが,上告人はピアノの椅子に座ったままであった。
 校長は,上告人がピアノを弾き始める様子がなかったことから,約5ないし10秒間待った後,あらかじめ用意しておいた「君が代」の録音テープにより伴奏を行うよう指示し,これによって国歌斉唱が行われた。

 (6)被上告人は,上告人に対し,同年6月11日付けで,上告人が本件職務命令に従わなかったことが地方公務員法32条及び33条に違反するとして,地方公務員法(平成11年法律第107号による改正前のもの)29条1項1号ないし3号に基づき,戒告処分をした。

 3 上告代理人****ほかの上告理由第2のうち本件職務命令の憲法19条違反をいう部分について

 (1)上告人は,「君が代」が過去の日本のアジア侵略と結び付いており,これを公然と歌ったり,伴奏することはできない,また,子どもに「君が代」がアジア侵略で果たしてきた役割等の正確な歴史的事実を教えず,子どもの思想及び良心の自由を実質的に保障する措置を執らないまま「君が代」を歌わせるという人権侵害に加担することはできないなどの思想及び良心を有すると主張するところ,このような考えは,「君が代」が過去の我が国において果たした役割に係わる上告人自身の歴史観ないし世界観及びこれに由来する社会生活上の信念等ということができる。
 しかしながら,学校の儀式的行事において「君が代」のピアノ伴奏をすべきでないとして本件入学式の国歌斉唱の際のピアノ伴奏を拒否することは,上告人にとっては,上記の歴史観ないし世界観に基づく一つの選択ではあろうが,一般的には,これと不可分に結び付くものということはできず,上告人に対して本件入学式の国歌斉唱の際にピアノ伴奏を求めることを内容とする本件職務命令が,直ちに上告人の有する上記の歴史観ないし世界観それ自体を否定するものと認めることはできないというべきである。

 (2)他方において,本件職務命令当時,公立小学校における入学式や卒業式において,国歌斉唱として「君が代」が斉唱されることが広く行われていたことは周知の事実であり,客観的に見て,入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をするという行為自体は,音楽専科の教諭等にとって通常想定され期待されるものであって,上記伴奏を行う教諭等が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難なものであり,特に,職務上の命令に従ってこのような行為が行われる場合には,上記のように評価することは一層困難であるといわざるを得ない。

 本件職務命令は,上記のように,公立小学校における儀式的行事において広く行われ,A小学校でも従前から入学式等において行われていた国歌斉唱に際し,音楽専科の教諭にそのピアノ伴奏を命ずるものであって,上告人に対して,特定の思想を持つことを強制したり,あるいはこれを禁止したりするものではなく,特定の思想の有無について告白することを強要するものでもなく,児童に対して一方的な思想や理念を教え込むことを強制するものとみることもできない。

 (3)さらに,憲法15条2項は,「すべて公務員は,全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではない。」と定めており,地方公務員も,地方公共団体の住民全体の奉仕者としての地位を有するものである。
 こうした地位の特殊性及び職務の公共性にかんがみ,地方公務員法30条は,地方公務員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し,かつ,職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない旨規定し,同法32条は,上記の地方公務員がその職務を遂行するに当たって,法令等に従い,かつ,上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない旨規定するところ,上告人は,A小学校の音楽専科の教諭であって,法令等や職務上の命令に従わなければならない立場にあり,校長から同校の学校行事である入学式に関して本件職務命令を受けたものである。
 そして,学校教育法18条2号は,小学校教育の目標として「郷土及び国家の現状と伝統について,正しい理解に導き,進んで国際協調の精神を養うこと。」を規定し,学校教育法(平成11年法律第87号による改正前のもの)20条,学校教育法施行規則(平成12年文部省令第53号による改正前のもの)25条に基づいて定められた小学校学習指導要領(平成元年文部省告示第24号)第4章第2D(1)は,学校行事のうち儀式的行事について,「学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。」と定めるところ,同章第3の3は,「入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と定めている。
 入学式等において音楽専科の教諭によるピアノ伴奏で国歌斉唱を行うことは,これらの規定の趣旨にかなうものであり,A小学校では従来から入学式等において音楽専科の教諭によるピアノ伴奏で「君が代」の斉唱が行われてきたことに照らしても,本件職務命令は,その目的及び内容において不合理であるということはできないというべきである。

 (4)以上の諸点にかんがみると,本件職務命令は,上告人の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に反するとはいえないと解するのが相当である。

 なお,上告人は,雅楽を基本にしながらドイツ和声を付けているという音楽的に不適切な「君が代」を平均律のピアノという不適切な方法で演奏することは音楽家としても教育者としてもできないという思想及び良心を有するとも主張するが,以上に説示したところによれば,上告人がこのような考えを有することから本件職務命令が憲法19条に反することとなるといえないことも明らかである。

(少数意見等は省略)

theme : 法律全般
genre : 政治・経済

tag : 君が代 伴奏 憲法 思想及び良心の自由

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