【J1第21節】甲府ー川崎【感想】

 
            8月17日(土)開催
天候 くもり
気温 29・9度
湿度 59%
主審 佐藤隆治
副審 平野伸一/馬場規
観客 12,657人

◆両チームの状況

H 甲府  14位 勝ち点18
A 川崎F 10位 勝ち点29

◆試合の感想

『一つの笛で試合の流れが変わった』

1  前半は完全に甲府のペース


   前半は完全に甲府のペースだった。川崎Fは、ブロックを固める甲府に対し、足元に固執したパスに終始し、サイドから効果的なクロスをあげることも、流動的な前線の選手による巧みな中央突破も成し遂げられない。
   試合後、川崎の風間監督がいうように、<相手の目の前でボールが動くだけ。それから動きも相手の目の前にいるだけ>になって、ボールにからむ選手の動きも消極的だ。

2  悪い流れのまま失点する川崎

   自分たちのリズムを作れぬまま迎えた前半30分にスコアが動く。
   川崎のFWアランピニェイロがMF中村に出した不用意な横パスが甲府MFマルキーニョスパラナにさらわれ、甲府のカウンターを許した。

   ボールを奪ったパラナは、素早く前線左サイドに張っていたFWジウシーニョにロングパス。これを受けたジウシーニョは、そのまま縦にドリブルし、中で待っていたFWパトリックの頭めがけてクロスを放る。
   このクロスは、迅速に対応した川崎GK西部がパンチングではじくも、そのボールがペナルティエリアすぐ外にいたFW柏のところに落ちてしまう。
   柏は、このボールを冷静に足元におさめ、ゴールを見やった後、右足をふりぬいてシュート。これには、川崎MF盛谷がスライディングしてシュートを阻もうとするが不発に終わり、柏の蹴ったボールは、鋭い弾道でゴールマウスに吸い込まれた。

3  後半「一つの笛で試合の流れが変わった」

   甲府・城福監督が<一つの笛で試合の流れが変わったことは本当に残念>と語ったのがすべてかもしれない。
   後半6分、甲府DF盛田が出した右足が川崎FWアランピニェイロの左足を踏む形になり、主審の佐藤さんは、PKのジャッジ。
   アランピニェイロが踏まれた左足は、ペナルティエリアの外にあったので、甲府の選手たちは主審・線審に抗議するも、佐藤さんの判断は変わらなかった。
   このPKを川崎FW大久保が冷静に決めて川崎が同点に追いつく。

   PKを決められて以降、甲府のブロックが崩れ始める。精神的なショックもあるのか、とりわけPKの原因となったDF盛田の動きは固く、川崎の選手の持つボールに不用意に足を出して簡単に最終ラインを超えられることがしばしば見られるようになった。
   後半8分には、甲府のFWジウシーニョがペナルティエリア内で川崎DFに背後からプッシングを受けて倒されたと主張するも、主審の佐藤さんはPKを取らない。確かにPKを得られるような微妙なプレイにも見えるが、かえってこの判定に抗議したジウシーニョが、佐藤さんからイエローカードを受けてしまう。以降、ジウシーニョは、判定に対するフラストレーションを募らせて、不正確なプレイに終始してしまうことになる。

   ブロックが崩れ、せっかく奪ったボールも前線の選手に繋げられないなどミスが増えるようになった甲府は、試合後の川崎FW大久保がいうように、「自滅」の途をたどってしまう。

   PKのショックを引きずったように、PKからわずか8分後には、甲府DF佐々木のミスで奪われたボールが甲府の最終ラインにいたFW大久保におさまり、大久保が丁寧に落としたボールをMF中村がダイレクトで甲府のゴールに突き刺される。
   さらに6分後、MFマルキーニョスパラナが下げたボールをMF保坂が触れず、あわててDF盛田がクリアしようとするも、クリアボールがそこに詰めていた川崎DF田中の身体にあたり、そのまま田中が倒れ込んでボールを保持し、ゴール前にいたFW大久保に出してゴールを決める。

   甲府は、わずか十数分の間に、1失点目はPK、2失点目も3失点目もDFないし連携のミスによる失点となった。
   この日、2得点をあげたFW大久保も<普通こういう(甲府のように守備のブロックを固めるような)チームは1点取れば守りきるけど、甲府は自滅したと思う>と語ったように、後半は、PKを取られたことを契機に、甲府は自らのミスによって敗戦を決定づけてしまう。

4  個人的な感想

   前半は、完全に甲府のペース。良いリズムのうちに柏の素晴らしいシュートで先制点をあげる。
前半は、川崎の左サイドを深くえぐった甲府FW河本のするどいクロスにFWパトリックが合わせる決定機があるなど、得点力の高い川崎相手に主導権を握り続ける。
   
しかし、甲府のゲームプランとして、前々節のC大阪戦のように1ー0で守り切るのは、簡単なことではない。甲府の後半への入り方を見ると、特に戦い方を変えるのではなく、前半と同じように、守備のブロックを固めながら、ボールを奪ったら素早く前線にいるFWパトリックにボールを入れて、パトリックがボールをキープ。そこに柏や河本(平本)などが絡んで、あわよくばカウンターで追加点を狙う、といったものであったように見える。

   とはいえ、後半は、PKの判定に動揺したのか、甲府の陣形が崩れ、個々の選手の動作の質が各段に落ちる。その中でFW柏は孤軍奮闘の働きを見せているように見えたが、少ないチャンスもFWパトリックを中心にシュートが枠に入らない。
   また、川崎の前線の選手が、甲府の最終ラインのパス回しが不正確であったり、ビルドアップが確実でないことを見抜き、積極的に前からプレッシャをかけにいくようになった結果、甲府DF陣は自ら致命的ミスを引き起こす。

   甲府としては、決して悪いサッカーをやっているわけではないし、3バックの中央をDF佐々木にしてから、守備の安定感が増している(川崎前3試合の失点数は2点に止まる)。
   とりわけ前線では、パトリックにボールがおさまるようになっており、またそれに絡むFW柏やFW河本も運動量豊富でコンディションが良さそうである。
   この敗戦を引きずらずに次節に臨むべきだと思う。

   川崎は、甲府の自滅に助けられた面が無かったわけではない。とりわけ前半「何もしていない」と風間監督が言うように、試合の出来は決して良かったとは言えないからだ。
   しかし、攻撃陣のプレイの質は高い。後半は、選手が活発に動き始め、連動したパス回しを成功させて甲府の守備のブロックを華麗に崩していた。
   また、前4試合で合計8失点していた守備陣も、安定してきたと言って良い。甲府に作らせた数回のチャンスも最後の最後で身体を寄せることでゴールマウスをわらせなかった。
   次節は、運動量の豊富な選手の集まる新潟戦。新潟の前線の選手たちを守備陣がどれほど止められるかが注目される。

・レフェリングの妥当性

  佐藤さんのレフェリングに関しては、既にネット上でさまざまな議論があるようだが、少なくとも、甲府DF盛田がPKを取られた場面は、私がビデオで見る限りは、足を踏んだ行為自体はエリア外で行われているように見えるので、ファウルを取るにしても、PKではなかったという指摘はうなづける。佐藤さんの位置から見ると、確かに盛田の足がエリア内にあったように見えたのかもしれないが、線審と確認した後もなおPKを支持していた。
  なお、後半7分に、甲府FWジウシーニョが川崎FのDFからペナルティエリア内で背後からプッシングを受け、倒されたように見えたプレーもあった点に関しては、これをPKとするかどうかは、主審の裁量内なので、個人的にはPKを取っても良かったかもしれないとは思うが、ジウシーニョがプッシングを受けることを予期して故意に倒されたように見えなくはないので、PKとしなかった判定は、過ちであったと断ずることはできない。

  いずれにせよ、この点は、両チーム共通して言えることだが、それぞれカウンターの契機となるような場面で、アドバンテージを取らない(笛を吹いてしまう)ということが少なくなかったと思う。これは、選手にとっては、ジャッジに対するフラストレーションをため込んでしまう要因の一つになっていたので、臨機応変にアドバンテージを見るという余裕が欲しいところ。
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