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鳩山代表=民主党=は情報に対して警戒せよ

 
            衆院選が終わりました。結果はみなさんもご想像のとおりとなりました。マスメディアが事前に報じていたほど、自民党は負けませんでしたが(ある報道では100議席を割ると言われていました。)、それでも選挙の結果は歴史的な政権交代が実現するに十分なものとなりました。

私は自民党にも民主党にも投票しませんでした。自分の投票行動が示すとおり、これからも自民党・民主党の二大政党に振り回されない客観的な立場から冷静に政治を見つめていこうと思います。


さて、民主党の大勝から二日が経って、ある論文が物議を醸している。

 鳩山代表:「論文」に米国内波紋「アジア寄り?」
 http://mainichi.jp/select/world/news/20090901k0000e010052000c.html

 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)などに掲載された鳩山由紀夫民主党代表の論文がワシントンで波紋を広げている。東アジア共同体の創設を提唱するなどアジア重視の姿勢を掲げ、米国からの「自立」を強調したためだ。新政権は当面、「米国と距離を置く政権」とのイメージをぬぐい去るため、釈明に追われることになりそうだ。
 「日本は中国などとより緊密な関係を築きたいようだ。日米関係は変わるのか」
 「新指導者は米国への従属から脱却したいと言っている」
 8月31日のホワイトハウスの報道官会見では、鳩山論文を踏まえた日米関係に関する質問が相次いだ。ギブス報道官は「どんな政権になろうが日米の強い関係は継続すると信じている」と応じたものの、「鳩山氏がどういう意味で(米国への)従属と言っているのか分からない」と不信感ものぞかせた。

 毎日新聞も言っているが、米国では日本の衆院選への関心が決して高くはなかった。
 だが、米国の有力紙である「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は投票日3日前の8月27日に、鳩山代表が書いたとされる論文を掲載した。この論文の内容が問題になっている。

 論文のタイトルは「日本の新しい道」。「米国主導のグローバリズムは終えんに向かう」と主張する一方、通貨統合や集団安全保障も視野に入れた東アジア共同体の創設を提唱。日米安全保障条約について「日本の外交政策の礎石」と触れているものの、日米同盟の将来像については言及していない。

 しかし、鳩山代表側はNYTの記事について、以下のように反論している。
 鳩山論文「寄稿の事実ない」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090901-00000061-san-pol

 民主党鳩山由紀夫代表は31日、月刊誌「Voice」(9月号、PHP研究所)に掲載された自身の論文「私の政治哲学」が、8月27日付のニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に転載されたことについて「寄稿した事実はない。中身が一部ゆがめられている。論文の全体をみれば反米的な考えを示したものではないと分かる」と述べた。党本部で記者団に語った。
 鳩山事務所によると、論文は鳩山氏側がPHP研究所に持ち込んだ。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙にも転載されたが、一部省略されているという。芳賀大輔秘書は、「PHP研究所とIHTの間ではやり取りがあったようだが、IHTとニューヨーク・タイムズでどうなっているのかは知らない。IHTなどが論文を転載する際、事務所に事前許可を求めることはなかった」と話している。

 さきほど確認したが、たしかにNYTに掲載された論文はかならずしも鳩山論文の原文のとおりに英訳されていなかった。

 鳩山論文の中では、いわゆる「市場原理主義」に関して批判する文脈があるのだが、原文は<Freedom is supposed to be the highest of all values but in the fundamentalist pursuit of capitalism, [...]has resulted in people being treated not as an end but as a means.>となっているのに、Freedom以降の文章がNYTではカットされてしまっている。
 原文では「自由が史上なる価値ではある」と原則論を踏まえているのに、NYTでその文脈がカットされたために、「自由は重要でない」と誤解される文章に改変されてしまっている。

 前々からNYTは日本に関して事実を歪め、日本をとがめるような報道を繰り返してきたのではないかと日本からは非難の声が上がったこともある。それ故、今回もNYTが意図的に鳩山論文を改変し、誤ったイメージを米国人に植え付けたのではないか、という疑いを持たざるを得ない。

 しかし、残念なことに、日本側ではNYTに掲載された「鳩山論文」の内容を前提に記事が書かれてしまっており、文意を誤解した的外れな批判が噴出している。

 鳩山論文、米国内で批判の声 「グローバル化に否定的」
 http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20090829D2M2901J29.html

 民主党鳩山由紀夫代表が米紙に寄稿した論文に米国内で批判的な声が広がっている。米国主導による経済のグローバリゼーションを否定的に論評したことに反発。鳩山政権が誕生した場合、オバマ米大統領との初の首脳会談が友好的な顔合わせにならないとの見方も出ている。
 米国の知日派が懸念するのが、鳩山氏が提唱した「アジア共通通貨」の創設構想だ。主要国が腐心する世界経済のブロック化の防止とは対照的な動きと映るためだ。



 私も鳩山論文の内容を全面的に支持するわけではないが(「東アジア共同体」の必要性を感じない)、NYTが論文の一部を捏造したかどうかはともかくとして、鳩山代表は本意と異なる文章がNYTに掲載されているのだとすれば、明確に抗議してしかるべきではないか。

 なんでもかんでも「友愛」では国際社会をやっていくことはできない。国際社会は基本的にノールールの世界であり、各国が自国の国益を追求しようと手段を選ばずに、したたかな戦略的外交を続けている。
 
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tag : 小沢一郎 民主党 鳩山由紀夫 NYT 米国 国際 報道

comment

Secret

こんにちは。あれから2度も更新されていたんですね。^^
失礼いたしました。

このニュースを知った時、さて米がどんな圧力をかけてくるやらと思っておりましたが、真実はこういうことだったんですね。

私もアジア共通通貨構想には反対です。日本に百害あって一利なし。通貨の価値が各国で全く違っているのに円の価値を下げるつもりでしょうか。鳩さんは「米国債売却」などとおっしゃってますが、ドル基軸を捨てて新しい基軸をつくることがどういうことか、鳩さんは理解してらっしゃるのかしら。日本と同様に多額の米国債を有する中国からも批判され、友愛どころか、経済外交で孤立します。
(もっとも米国が言うグローバルも所詮米国の都合、米国主導ですけど)

鳩山氏はこれまで体験したことのない「外圧」と向き合っていかなければなりません。
友愛外交が国際政治に通用するかどうか。退けば国益を失う。
これで目を覚ましてくれたら良いのですが。

この度のエントリーも、お勉強になりました。ありがとう。
個人的に、大変印象的、かつ深く染み込んだ一文は↓です。

>自民党・民主党の二大政党に振り回されない客観的な立場から冷静に政治を見つめていこうと思います

私も努力します。

次回の更新を楽しみにしております。それではまた。

リアリズムの反対語

国家の行動は他国とのパワーバランスによって左右されるのであって、政治体制や国家元首一個人の人格によっては左右されない。
というのが、リアリズムの前提であります。
たとえば、ボヘミアの伍長上がりと影で呼ばれていた例のチョビひげ男さえいなければ、戦争は起こらなかったでしょうか?私はそうは思いません。
ドイツのパワーが敗戦の痛手から回復すれば、自らの存在を危うくするベルサイユ条約体制を覆すために行動を起こしたでしょう。
話し合いで英仏がベルサイユ条約の放棄に応じる可能性が皆無である以上、戦争しかありません。
国家の行動の目的は生き残りにあるのです。
ドイツのパワー回復の試みは、ナチスが政権を握る以前から、推し進められていたのですから。
例の男は効率的なプロパガンダでドイツのパワーの復興を早め、戦争勃発の時期を少し早めたにすぎないと私は思います。

人間の本質は有史以来変化がありません。
歴史の教訓や昔作られた諺が今も有効なのがその証拠です。
当然人間が構成する組織の体質にも変化はありません。
このNYTの記事は人間の組織は情報伝達機構をプロパガンダに必ず使用する、というナチスとなんら変わらない体質を浮き彫りにしたものと言えると思います。

リアリズム(現実主義)の反対語はロマンチシズムではなく、リベラリズム(理想主義)であると言うことを日本人は理解するべきでしょう。
「友愛」外交など、リベラリズムの最たるものですね。
日本の議員はリアリズムからかけ離れているか、米中の代理人ばかりですが、個人的には小沢一郎が院政をしいて鳩山の手綱を握っているうちは、まだ「少しは」まともに機能するのではないかと、「ちょっとだけ」期待をしていますが・・・。
小沢一郎は「少なくとも日本の議員のなかでは」リアリスト的であると私はみています。
まあ世界的に見れば小沢一郎なんて、ただのアマちゃんなんですけどね。

今回の総選挙の本当の意義とは、公明党を政権から排除出来たことだと思います。
自公が政権を失ったのは喜ばしいですが、私は手放しでは喜べません。
民主党の中にも自民と同じように米中の代理人が多数いるからです。
そもそも小選挙区制度は、二大政党制にするための制度であり、これをなんとか廃止しないと、どちらの政党に政権が行っても結局売国が行われる、というオチがついて回ります。
今度は民主党を第二の自民党にしないために来年の参院選で民主党に単独過半数をとらせないことが重要になります。

失礼、長文になってしまいました。
しかし、この長さがくるくるさんへの期待度の強さだと理解していただければ幸いです。
最後に、リベラリストに以下の言葉を贈りたいと思います。
http://geopoli.exblog.jp/11850327/

鴻さん

色付きの文字 コメント、ありがとうございます。

 できるだけ今年の後半はエントリを更新できるよう努めますので、宜しくお願いします。コメントへのお返事が付けられないこともありますが、一つ一つコメントを拝見させていただいていますので、どうぞこれからもお気軽にコメントを残してください

 東アジア共同体については、日を改めて私のかんがえを書きたいと思っています。私はメリットがなにもないと思っているので、反対の立場を表明します。

> 鳩山氏はこれまで体験したことのない「外圧」と向き合っていかなければなりません。

 「外圧」の点、おっしゃるとおりです。
 友愛外交では通用しないのが国際社会であって、国際社会は「混沌」「無秩序」です。

 また、友愛の中にも、暴力的な愛もある、ということを知っておかなければいけません。世の中は常にトレードオフ、一方を利すれば他方を損なう結果になります。

 鳩山代表の頭の中がどうなっているのか分かりませんが、現実感のない人であることは確かかも知れません。
 それだけに、鳩山代表を上手に導いてあげられる優秀なブレインが必要だと思います。鳩山代表は、今日言ったことが明日には変わっているようなところがあります。信念というか、定まった政治観念がないのでしょう(友愛のような抽象的な観念は政治には不向きです。)。
 うまく鳩山代表を導いてあげられれば、どうにか民主党政権のはじまりを軟着陸させてあげられるかもしれませんね。

wizardo03さん

 コメントありがとうございます。

 Realismの核は、おっしゃるように、無秩序な国際社会における、国家間の戦略的なアライアンスを通じたパワーバランスを重視する点にあります。だからこそ、Realismの立場は政治を見つめる上において有用です。下らない観念論争に巻き込まれることもなくなります。

 NYTはイラク戦争のときも、国民を戦争支持に誘導する記事を書いてきました。しかし、今のNYTは戦争を後押しした自らの責任を度外視して、「我関せず」を決め込んでいます。その意味で、NYTの本質を理解できなかった鳩山事務所は危機意識に欠けていますね。

> リアリズム(現実主義)の反対語はロマンチシズムではなく、リベラリズム(理想主義)であると言うことを日本人は理解するべきでしょう。

 同感です。せっかくWIZARD03さんがご紹介してくださったので、私もE. H. Carrの言葉を借りて言えば、「歴史とは現在と過去との対話である」なのです。
 その意味では、「政治は因果」であり、「常に繰り返されるもの」とも言えそうです。

 Realismの目的は、いかに人間に歴史から学ばせるか、にあると思っています。ヘーゲルは「人間が歴史から学び取ったことは、歴史から学ばないことだ」と言いましたが、これを克服する取り組みがRealismです。

> 日本の議員はリアリズムからかけ離れているか、米中の代理人ばかりですが、個人的には小沢一郎が院政をしいて鳩山の手綱を握っているうちは、まだ「少しは」まともに機能するのではないかと、「ちょっとだけ」期待をしていますが・・・。

 日本側のlobbyistではなく、米中のlobbyistならいるんですよね(笑)。

> そもそも小選挙区制度は、二大政党制にするための制度であり、これをなんとか廃止しないと、どちらの政党に政権が行っても結局売国が行われる、というオチがついて回ります。

 私も同じ考えです。基本的に二大政党制には反対です。そして、二大政党制以降、もはや日本の憲法が機能しなくなりました。たとえば、衆議院は参議院に否決されても、議員の3分の2以上の賛成で、法律案の再議決をすることができます。憲法が3分の2としたのは、与野党の両方が賛成した場合を念頭に置いていると考えられています。3分の2を使うほど国家にとって重要な法律案ならば、過半数で議決すべき法律の成立を緩そうじゃないか・・・そういう趣旨の規定です。
 しかし、二大政党制が進むにつれ、一つの政党が300以上の議席を獲得するようになりました。もはや多数与党による法律の成立を妨げる手段は、道徳とモラルだけです。この状況がいつまでも続くのはどうかと思います。

 それに、YES or NOと聞かれて、「微妙」と答える日本人です(笑)。
 二大政党制よりも、幅広い選択肢が与えられた中選挙区制(大選挙区制)のほうが、国民性にも合っているのではないでしょうか。

> 今度は民主党を第二の自民党にしないために来年の参院選で民主党に単独過半数をとらせないことが重要になります。

 小選挙区制の行き過ぎを防止する唯一の手段は二院制だと思います。おっしゃるように、勝ちすぎた政党を勝ち逃げさせないよう、参院選までに厳しく民主党をウォッチすることが必要かも知れませんね。

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