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Il testimone...

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Names and natures do often agree.

 玻南ちゃんダメ?…名前受理されず、最高裁へ

 「玻(は)」という漢字を名前に付けた娘(生後11か月)の出生届を、名古屋市が「人名用漢字ではない」などとして受理しなかったのは不当だとして、同市東区の両親が受理を求めた裁判で、名古屋高裁は先月、訴えを退けた。
 このため矢藤仁さん(40)、清恵さん(38)夫妻の次女、玻南(はな)ちゃんは戸籍がないままで、両親は近く、最高裁に抗告する考えだ。
 「子供をおとしめる文字ではなく、意味のない当て字をしたわけでもない。思いを込めた名前をつけてあげたい」と訴えている。
 旧約聖書に登場する女性「ハンナ」と、「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」(つまらないものと混じっていても、素質の優れたものは輝いてすぐにわかる)ということわざから命名した。
 戸籍法は、名前に使う漢字は「常用平易な文字を用いなければならない」と定めており、市は、「玻」が常用漢字や人名用漢字にないことを理由に、出生届を受理しなかった。
 両親は名古屋家裁に審判を申し立てたが、1月に却下。即時抗告したが、名古屋高裁でも10月27日、「明らかに常用平易と認められない以上、戸籍上で使えないことはやむを得ない」との判断が示された。


 記事にもありますが、戸籍法は<常用平易な文字を用いなければならない>と定めています。親には、子に対する命名権(名付ける権利)がありますが、戸籍法は、名が社会的に重要な意味をもつことに鑑みて、誰でも読み書きができるような漢字を使うことを求めていることから、命名権を合理的に制限する趣旨の規定を置いたのです。

 命名権と言えば、思い出すのは、「悪魔ちゃん」事件ではないでしょうか(上の記事の事案とは少し性質が異なりますが)。

 自分の子どもに「悪魔」という名前を付けたところ、(東京都)昭島市が出生届を受理したのですが、後に法務省民事局長の指示で法務局支局長が勝手に「悪魔」と記載された名前欄を消して、「名未定」との文字を付したことが、違法ではないか、という事件です。
(この事案の説明を読んでいただければ分かるんですが、当時、マスコミから「悪魔ちゃん」裁判として騒がれはしたものの、実際の裁判は、行政が勝手に出生届の名前欄を消してもいいのかどうか、が争点になっていました。)

 命名権に関する裁判としては、名古屋で昭和38(1963)年に母親と同じ名前を子に付けたために、行政が出生届を受理しなかったことが違法ではないかが問われた事件がある程度で(不受理は適法とされました。)、本件は命名権を直接争った初めての裁判でした。

 まず、行政側は、(1)「悪魔」との名は問題がある、(2)したがって、名前欄を抹消した行為は適法だ、というロジックをもって反論をしていましたが、原告の側は親の子に対する命名権を侵害されたとして抹消行為は違法だ、としました。

 判決は次のようなものになりました。

 東京都昭島市長は、申立人(親のことです。)が、平成5年8月11日にした長男の戸籍に記載し、長男の身分事項欄の「名未定」との記載を抹消し、もって、長男の名の受理手続を完成せよ

 つまり、昭島市長は、消してしまった「悪魔」との名前欄を記載し直すとともに、抹消時に記載した「名未定」の記載を消せ、というものでした。

 判決理由のポイントは以下のとおりです。

1.名は極めて社会的な働きをしており、公共の福祉にも関わるものであるから、社会通念に照らして明白に不適当な納屋一般の常識から著しく逸脱したと思われる名は、戸籍法上使用を許されない場合がある。このことは、たとえば、極めて珍奇な名や卑猥な名等を想起すれば容易に理解できる。

2.明文上、命名にあっては、「常用平易な文字の使用」との制限しかない。

3.命名権の行使は、全く自由であり、一切の行政による関与が許されず、放置を余儀なくされるとするのは相当でなく、その意味で規制される場合のあることは否定できない。

4.命名権の濫用にわたるような場合や社会通念上明らかに名として不適当と見られるとき、一般の常識から著しく逸脱しているとき、又は、名の持つ本来の機能を著しく損なうような場合には、戸籍事務管掌者においてその審査権を発動し、ときには名前の受理を拒否することも許される。

5.(悪魔という名は)申立人(親)のいう本件命名に起因する刺激をプラスに跳ね返すには、世間通常求められる以上の並々ならぬ気力が必要とされると思われるが、長男にはそれが備わっている保障は何もなく、申立人自身が、上記の通り本件命名に起因する刺激のために、勤務先を退職していること等よりしても、本件命名が申立人の意図とは逆に、いじめの対象となり、ひいては事件本人の社会不適応を引き起こす可能性もあり得る、というべきである。

6.本件「悪魔」の命名は、本件出生子の立場から見れば、命名権の濫用であって、前記の、例外的に名としてその行使を許されない場合、と言わざるを得ない。

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  1. 2009/11/22(日) 21:50:28|
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